幼馴染同士の結婚という奴の実情
フィクション、特にライトノベルでは幼馴染同士の恋というやつは鉄板ですよね。恋人になった後を描く作品なら結婚で終わるのも定番と言ってもよいでしょう(幼なじみものばっかり書いてる作者が言うかって感じですが)。
そんな幼馴染同士の恋というやつですが、特に小説の読者だと「フィクションの中でしょ、はいはい。居ても大体大きくなる頃には疎遠になってるよ」と思っている人も多そうです。というか、私が実際に感想欄で読者さんの一人に言われた記憶が。
しかし、少なくともデータを見る限り、幼馴染同士の結婚というのは少数派であるものの、絶滅危惧種という程少なくもないらしいです。
たとえば、以下のブログによれば、
https://www.yutorism.jp/entry/2015/06/19/013111
> 1982年の調査から、『幼なじみ・隣人』の比率は下落を続け、直近の2005年には1%まで減少していたのが、此処に来て2.4%へと急増しています。1.4%は全区分の中で最高の上昇幅です。
とのことで、この内、幼なじみでない隣人比率がどのくらいかという議論はありますが、そもそも隣人と結婚するという時点で思春期くらいには出会ってる可能性が高い感じがします。
かなり低めに見積もって2010年に結婚したカップルの0.5%が幼なじみとすると、以下の厚生労働省のデータ
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei10/index.html
> 婚姻件数は70万6000組、婚姻率(人口千対)は5.6と推計される。
を信用するのなら、706000 * 000.5 = 3530 カップルが幼なじみ婚。2.4%をそのまま採用するなら、706000 * 0.024 = 16944カップルが幼なじみ婚ということになります。
年1000カップル以上が幼なじみ婚だとすると全国には普段身近には目撃しないであろう幼なじみ婚をしたカップルがたまにいるくらいには珍しくないようです。普段目にしないのは、おそらく地域やコミュニティの偏りがあるせいで、一つは東京より地方都市にどうも幼なじみ婚をしたカップルは集中しているようで(上記ブログ参照)、他の要因としてはそもそも幼なじみ婚をしたカップルの友達が私みたいな、妙ちくりんなものを書いてるケース自体が極めてレアなせいでしょう。
まあ、どうでもいいデータですが、それはともかくとして、私の身近にも幼なじみ婚をしたカップルがいます。というか、幼なじみグループの男女だったので周囲は皆一様にびっくりしたものです。男性の方はおくだかずひろ(仮名)、女性の方はいいやまかほ(仮名)とでもしておきましょうか。
おくだ君の方は小学校の頃からそこそこ親しくしていましたが、小学校の頃からスポーツマンで女子から大人気。将来は野球選手になるのだと言っているような男の子でした。いわゆる小説で出てくる爽やかイケメンキャラで想像される人物像に近いでしょうか(それより多少は暑苦しいかも)。
かほちゃんの方は小学校の頃は接点が少なめだったのですが、控えめで割と無口な大人しいお嬢様という感じです。実際、かほちゃんのお父様は娘を大層溺愛してたらしく、大学生時代は夜遅くなったかほちゃんをかなもり君が家に送り届けるというシーンも目撃しています(ていうか、私も家の前まで同行した気がしますね)。
さてさて、そんな二人ですが私たちが30歳になる頃に唐突に結婚。私も式と披露宴には呼ばれたのですが、幼なじみグループの内一人(女性)がくっつく後押しをしたとかしていないとか。
ところで、身内に幼なじみ婚をした二人がいるとなると気になるのは人間のサガというもの。先日、かほちゃんにLINEで実際の所どうだったのか聞いてみることにしました。
【おはよー。ちょっと今回は相談ってより取材(?)みたいな話なんやけどええかな。恋愛系のネット小説書いててその題材にみたいな変な話やけど(笑)】
読み返してて、最初のLINEがこれってのは何か人として間違ってる気がしてきました。ともあれ、かほちゃんもまあ私がちょっと変な子というのはわかってるので、約2時間後に返信。
【そんなん書いてるんやー👍
いろいろやってるんやねー👍
良いよー👍】
なぜ👍だったのかはわからないですが、まあそれはともかくとして。
【お。ありがとさん♪なんていうか、ネット小説は割と恋愛もの人気なんよね。特にいわゆる幼馴染(感覚的に言うと同じ小学校出身で今も連絡取り合ってる人らは世間的には幼馴染らしい)同士の恋愛みたいなのウケいいんよね。おくちゃんとかほちゃんって同小出身で結婚したわけやし、ちょいモデルに出来ないかなと(笑)。途中色々あったんは知っとるけど(笑)小学校の頃、おくちゃんとはどういう感じやったんかなと(もちろん、答えられる範囲でええんやけど)】
まあおっけーなら聞いてみようと率直に尋ねてみることにしたのでした。
【なるほどね〜
あんまりネタにならないかもよ💦
小学校の時とかあんだけ少人数の学校やのにほとんど関わりなかったしね〜💦
成人式後にかなが定期的に招集かけて呑み会があったけど、そこでもほぼしゃべってないかも】
返事はといえば、うーむ、これではネタにならないじゃないかという代物でした。いや、ネタになるために結婚したわけじゃないでしょうけども。ちなみに「かな」というのはかなもり君の愛称で、私やまゆこちゃんも時折使っています(なお、愛称を使うかどうかは気分に左右されることが多いです)。
成人式後にかなもり君が夏と冬の集まりを企画してくれることが多かったのですが、確かに記憶をたどってみれば二人が親しくしゃべっていたことはあんまりないかも……。大学四年で誰かが企画した京都卒業旅行では二人も一緒だったはずなんですけど、確かに基本的にはわいわいがやがやするキャラではなかったし、まあそういうものかもしれません。
【なるほどー。確かにあんましネタにならないかも(汗)
小学校の時もあんま接点なかったんやね。あの呑み会でも確かにあんまししゃべっとらんかった気がするね~
ここは聞いてええのかわからんけど、まつむらが色々仲介したよーな話聞いた記憶あるけど、その辺りがおおきい感じ?】
まつむらひろこ(仮名)。やっぱり成人式で再会した……いや、なんか中学でも時々接点があった気がするんですが、まあいいとして。そのまつむら(ここが呼び捨てになる辺りが微妙な距離感を表してます)が二人をくっつけるために暗躍したとかなもり君やまゆこちゃんから聞いていたわけで、何があったのだろうとは気になっていたのです。
【そやねー
みんな大阪から離れていってて近くの3人で、よく遊ぶようになったんがきっかけかな】
【お互いタイミング的にフリーやったのもあるし👍👍
おまつがくっつけた感じやね】
まつむらのまつに「お」をつけて「おまつ」。同小時代の仲間が大阪から離れてくのが寂しかったのでしょうね(かなもり君なんかもその一人)。まつむらが二人と遊んでいる内にくっつけようと画策したというところでしょうか。
【なるほどなるほど。確かに皆大阪離れてった時期やったねえ。元々関東から参加やったけど、少し気持ちはわかる気がする。まゆこちゃんやかなと連絡取るの増えたんは京都戻って来たのきっかけやし
でも、まつむらがそんなお節介焼いとったんやなー。人に歴史ありちゅうか。
色々教えてくれてありがとー。
そいえば今日はおくちゃんの誕生日やけど、なんかお祝いとかあるん?】
実はこの話をしたのは彼の誕生日。夫婦二人で何かお祝いでもしているのだろうかと聞いてみたのですが。
【あんまりお役に立てずごめんねm(_ _)m
そうなんやけど、実は先週コロナなって、今日やっと自宅療養(外周禁止)が解けたんよー👍
多分ケーキ買いに行くくらいかな
本人にきいても何食べたいとかリクエストもないし
ひさしぶりの外出緊張するわ(笑)
小説頑張って〜👍】
かほちゃん、👍使い過ぎではと思いましたが、それはともかくコロナになっていたらしく、しかもおくちゃんの方も誕生日のリクエストはなかった模様。以前、別途おくちゃん経由でかほちゃんはすっごい尽くしてくれるんやけど、逆に尽くしたがり過ぎてちょい気を遣うことがあるとは聞いていたので、病気明けの嫁さんに何か頼むのも……てところでしょうか。
文面から、かほちゃんがちょっぴり寂しく思っていそうな感じもするのですが、以前彼女とLINEで話したときに「今でも尽くしてるなと思うときがある」と書いてたので、尽くしてあげたい側としてはリクエストがないと多少物足りないのかなと思ったりします。
【そっかー。コロナなったんやったら大変やったやろね。お疲れー
おくちゃんも何かリクエストしてあげればいいのに(笑)
かほちゃんもがんばってー】
こうして、割とどうでもいい取材は幕を閉じたのでした。結論としては、二人の間にはなんか大学時代にロマンチックな出来事とかはほぼなくて、逆に皆が大阪を離れてから寂しくなって距離が近づいたというのが真相だったようです。
幼馴染同士の恋というやつは他の人づてに聞いて話でも、情熱的な恋というより「安心感」がメインになるという実感は持っています。多くの幼馴染カップル(自分が知っている範囲では)は、お互いの親を多少なりとも知っている仲だし、小学校時代に親しくなくても相手の有様を見ているし、授業風景なんかも共有しています。寂しいからという理由でも二人で遊べば割と気持ちが募っていくなんてこともあるでしょう(妙に実感が籠もった物言い)。
タイミングさえ良ければ距離を縮めるのは案外難しくない関係なのかもしれないと割とマジで思ったりしています。両者がある程度歳を重ねて結婚を意識するようになればなおさら。
そんな身も蓋もないことを改めて考えた今夜でした。
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