引っ越しを控えて
来週の金曜日、10月7日にいよいよ大阪への引っ越しを控えて、ふとなんとなく感傷的な気持ちになってきた10月2日の夕方。そういう時に酒を飲みながら語れる相手で一番に浮かんでくるのがかなもり君である辺りがまあなんとも自分らしいなあと思いつつ、LINEで連絡をしてみたところ、
久【おつ。今夜時間あるようだったら飲みながら話でもどうかね?】
か【ズームかい?
了解や。】
予想通り快諾。彼も引っ越して一ヶ月ちょっとくらいだから新生活にも慣れた頃だろうという思惑もあったのでした。
お互い家庭の用事とかを済ませて23時頃からZoom飲みを開始。
か「おうお疲れ。真一は今日はどうしたんや?」
かなもり君は開口一番、そんな一言。去年くらいだったら「寂しくなったんか?」という軽口を叩いてきたものですが、なんとなくそういう雰囲気でもないと思ったのでしょうか。
久「引っ越しを控えておセンチな気分になってな。なんとなく話せればってな」
か「そうか……」
特に何も聞かずにただそれだけ。付き合いが長いってのもあるのですが、意外と雰囲気に敏感な彼は茶化していいと思った時は茶化すけど、そうじゃない時は気持ちを汲んでくれるのはありがたいものです。
そういえば、かなもり君は引っ越して一ヶ月ちょいだけどどんな様子だろうということで、聞いてみることに。
久「引っ越して一ヶ月ちょっとくらいやったっけ?あのすっごい量の段ボールなんとかなったん?」
以前にLINEで引っ越したばかりで段ボールの山(数十箱くらい)が積み重なった写真を三人のグループに投げてきたのを思い出して、ちゃんと引っ越しは完了したのだろうかと少し心配になったのでした。
か「おう。ちょっとだけ残っとるけどほぼ終わったわ」
久「お疲れ。でもまだ残っとるんか……」
か「そこら辺はしゃーない」
少し苦笑いした感じでそう言った彼ですが、かなもり君の奥さんは片付けがかなり苦手なのでその辺もあるのだろうなと流しつつ適当に雑談へ。
ロシアとウクライナの戦争や新しい職場での出来事、転職について。あるいは、Zoomの背景と人物写真の区別方法とか、AIの進歩などなど、とりとめもなく一時間くらい話した後、
久「それじゃ、またこっちの引っ越しが終わったら」
か「ああ。落ち着いたらまたな」
そんなやり取りを交わして終わったのですが、ちょっと印象的だったやりとりがありました。
か「そういえば前に転職の話しとったけど、真一はGoogleでも行かんのか?」
兼ねてから自分の能力を高く評価してくれてる彼にしてみれば、割とふつーの会社でふつーよりちょっと良い程度の給与で働いているのがもどかしいらしく、時々冗談混じりにそんな事を言ってくるのです。
ただ、手が届かないわけでもないのですが、Googleは日本だとエンジニアを募集してるのは東京のみ。リモートワークも一時的なものでいずれ出社前提に戻す方針を堅持しているので、個人的には候補外。てなわけで、
久「Googleはエンジニア募集してるのは日本だと東京オフィスだけやし、リモート前提やないからね。関西に戻ってきた今となってはなしやね」
そんな感じで躱したのですが、
か「それやったらアメリカの本社行けばええやんか」
とちょっと意外な言葉。
久「いやいや。俺は日本の生活環境好きなんやって。アメリカはなあ……」
か「真一は京都好きなんやろ?アメリカ行って、マウンテンビューやったか?あそこに真一が好きな京都ぽいもの作ればええやん」
冗談ではあるものの、そういう発想はしたことがなかった私はといえば、
久「わからんでもないけど、いくらなんでも無理やって」
と笑いしながら返したのですが、
か「いやいや。たとえば、世界中どこ行ってもチャイナタウンとかあるやろ?日本も世界からすれば未だにエキゾチックなわけやし、日本人街とかもあるやろ?真一がやろうと思えば出来ると思うで」
少し真面目な顔でそんなことを言ったのでした。それでふと思い出したのは、数ヶ月前に京都で交わしたちょっとした会話。
か「なんかさー。真一は博士取って、色々活躍しとるわけやん。それが長年営業しとるだけの俺とあんま変わらん給料なのは間違っとると思うわけよ」
久「まー日本やと外資でも行かん限り、技術者の給与ても、これ以上なかなか上げるの難しいんやって。かなもりの言いたいことはわかるけど。自分も割ともらってるわけやし、満足やって」
先日の情熱大陸云々の時も思ったんですが、彼としては自分にはもっとふさわしい活躍の場があるんじゃないか?みたいな気持ちがあるんでしょうね。
そう評価してくれてることを嬉しく思いつつも、自分としては好きな土地で友達と仲良く過ごせることの方が重要なのよね、と心の中で思ったのでした。別に技術の追求は特定の土地じゃないと出来ないなんてこともないわけですし、パソコンさえあれば色々出来る立場でもありますしね。
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