時々無神経なかなもり君と結構気遣いの細かいまゆこちゃん

 前々話でまゆこちゃん馴染みのバーに行ったときのお話です。

 バーのマスターから


「三人はどういうご関係なんですか?」という


 質問があって、そこにまゆこちゃんが


「小学校からの友達なんですよー。こっちの彼は東京から帰ってきてましてー」


 と返したところ、隣に居たかなもり君が


「真一はそれほどでもないけどな。再会したの大学に入ってからやし」


 微妙に私が気にしていたことを……まあ酔ってたってのもあるんですが、ドヤ顔で口に出してくれやがりまして。この台詞はどっちかというと私とかなもり君と、というより私とまゆこちゃんの関係についての茶化しだったと思うのですが。


 そこでまゆこちゃんが表情を一瞬険しくした後、黙って、パンとかなもり君の頭をはたいたのでした。


「真一が気にしとるやろ」

「いやごめんって」


 やりとりはこれで終わったのですが、かなもり君が無神経なことを言ったときにはフォローしてくれたりする一面もあるのでした。


 あくまで比較なのですが、三人で仲良くしているとはいえ、かなもり君とまゆこちゃんの方が付き合い長いわけで、多少コンプレックスがあるんですよね。二人は中学一緒で、高校は違うけど同じ塾に行ってたので。


 そういうことを見てたりする辺り、大雑把かと思えば結構、気遣いの細かい一面もある彼女なのでした。もちろん、かなもり君はあえてジョークとして言ったんでしょうし、私もそこまで引きずるほどのネタではなく、実際、まゆこちゃんのフォローがなくても「お前、人が気にしとることを……」くらいのツッコミはいれたと思いますが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る