まゆこちゃんにからかわれたお話

 大学時代のお話です。再会した私たちは、夏と冬辺りの年二回(年一回のことも)には集まって、飲み会をしたり誰かの家で泊まって一晩中騒ぐのが恒例行事と化していましたが、その中で大阪の飲み屋をハシゴしたときの出来事です。


 グループは四人。他の二人がたまたま前に出て私達が二人になったときに、突然、赤ら顔のまゆこちゃんが私の方にしなだれかかって来て、ぎゅうっと抱きしめてきたのでした。


「どうや?照れとる?」


 笑ってそう言いながら。私はといえば当時、異性との交際経験など皆無なわけで、どう対応すればいいのかわからずおろおろするばかり。顔も熱くなっていたのを覚えています。


 そんな反応が面白かったのか、


「真一はこんなことでおろおろして初心やねー」


 と笑われたのでした。この時に的確な返しができてればなあ、くそう、と今にすれば思いますが。ただ、いきなり抱きつかれてそれをうまくあしらえる大学生の方が少ないのではとか当時の彼女に抗議したいような気持ちもあります。


 この記憶が今でも焼き付いてる辺り強烈な思い出なのは確かですが、果てさて、当時の彼女は一体どういう思いでこんなことをしたのやら。きっと、彼女的には深い考えは無かったのでしょうけど(笑)


 

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