コミカライズするなら感想 その3

第三会場 8 Boy Meets Hemorrhoids


とても文学的なコンセプトです。井上ひさし先生や筒井康隆先生のナンセンス文学にも通じる力を感じました。

ネタかな? とも思ったのですが、これはこれでコミカライズできるのですよね。ニーズもちゃんとありますし。

なので、そこから感想を書きます。

文字数の関係でしょうが、プロローグのみです。でもインパクトは抜群でした。

僕ならモノローグ的な部分は冒頭3ページまとめでネームを描いて、主人公が現実でトイレを振り返ってからのアクションで、ストーリーをはじめます。

都合8ページ前後で終わってしまうのが残念ですが・・・見え隠れするコンセプトもテーマも最高に面白いです。

まだプロローグなのでどのようなレーベルに向けて描くかもわからないですが、主人公の年齢から鑑みると、青年誌かなあと。

尻から出てくるヒロイン! 斬新すぎです。期待しかありませんでした。



第二会場 25 吸血鬼の杉宮さんは、俺の血をちゅーちゅー吸っていたい。

<作者様からのコメント> よろしくお願いします。


コンセプトは吸血鬼ものの学園ラブコメでしょうか。こちらも懐かしいラノベ的なスタートでした。下手な世界観説明ではなく、冒頭アクションで世界観を見せたところも、素晴らしかったです。ターゲットも絞りやすいので、ビジュアル化もしやすいでしょう。

コミカライズのポイントはやはり過去の名作・・・同じコンセプト作品との差別化になります。まだ物語も序盤で、主人公の行動原理がハッキリと開示されていないので、何とも言えないですが、そこが差別化になれば主人公のビュジュアルがまとまります。ヒロイン(の行動原理)で差別化をはかるのでしたら、主人公は無味無臭系になるかも知れませんね。その場合は、ヒロインのビジュアルがキーになるでしょう。

どちらにしても、コミカライズなら冒頭から「ここが過去の作品とは違う!」が見えないと、読者離れを起こしてしまいそうです。

文字数の関係でこれからなのでしょうが、個人的にはそこが気になる作品でした。



第一会場 8 元勇者の俺が魔王少女に転生した話 ~今世は女の子として“世界征服”目指します!

<作者様からのコメント> 女の子になった勇者様を、めいっぱい可愛く表現したいと思ってます!


いっけん良くある流行の「なろうテンプレ」集合体のようですが、ひねりも狙いもあり、作り込まれたプロットが冒頭から感じられます。

こういったコンセプトは強いです。「知っているけど知らない」世界へ、読者を引き込む準備が万全でした。

コミカライズもとてもしやすいです。サクサクとネームが書けるのではないかと感じました。ギャグコメディにふっても、ざまあを中心としたTSチーレム? にふっても、人気が出るのではないかと思います。

でもきっと、このような作品のコミカライズ企画には、僕は参加できないでしょう。

悪い意味ではなくて良い意味で。そう、強く感じました。



第三会場 3 ルゼの喝采、あるいはファランディールの偽典


7回読み返しました。簡単なネームも数ページですが描いてみました。

結論からお話しすると、僕の技量ではコミカライズは無理です。

感想も上手く書けませんで、申し訳ありません。

面白い作品ですし、構成も素晴らしいと感じています。

チャンスがあれば、ディスカッションで他の作家様に投げかけてみます。



第一会場 14 呪いはマナを、やぶれない~復讐したい闇堕ち元王妃は、偽りの家族愛に屈しないっ!~

<作者様からのコメント> 22時までとのことで、まだ間に合いますでしょうか。コミカライズ関連賞への応募を視野にいれているため、可能でしたらご意見をぜひお伺い出来ればと思います。よろしくお願いします。


まず、今回の企画に参加していただきありがとうございます。

コンセプトはハイファンタジーの王宮復讐劇。なろうの異世界恋愛などではよく見掛けるコンセプトですが、母子の愛情と言ったひねりが新規性として光っていました。

主人公の行動原理も明確で、押しも強く、その後の展開や世界観にも広がりが見られ、楽しく拝読させていただきました。

この作品のコミカライズのポイントは、ターゲットを何処に絞るかです。

既にコミカライズ関連の公募を視野に入れられているそうですが、応募するレーベル(連載する媒体)のターゲットに、『母子の愛』が、受け入れられるかどうかが受賞の鍵になりそうです。若い女性層を狙ったレーベルでは、ちょっとこのままでは難しいかもです。ママ層がメインのレーベルでも、主人公の恋愛事情が冒頭からからむ方が作画しやすいです。

もし僕がネームを描くなら、ヒーローが王子なら、年齢が恋愛対象に育ってからのビジュアルが冒頭に現れ、王弟も含めて主人公がモテモテ? 的なアクションから、回想として本文が展開するなどの仕掛けを入れます。そうすれば間口が広くなり、多くの読者の共感が得られるからです。

素晴らしい作品です。受賞を応援いたします!



第一会場 17  My genius


本格SFです。もうね、楽しくって面白くって、何度も何度も読み返しました。

主人公の敵対者であるネコちゃんが、「にゃー」と言う度に、文学的な香りすら漂ってきます。前後の文脈で、「にゃー」が別々の声音で聞こえるのですよ。これって、狙ってできることではないです。

僕は漫画原作者である前に小説家なので、このような素晴らしい文章に出会えると、どうしても嫉妬心すらわいてきます。

で、コミカライズですが、僕個人としては非常に向いていると確信しています。実際多いのですよね。ハイスペックヒーローともふもふの掛け合いが中心となる人気漫画って。

作者様は、そちら方面にも明るい方なのだろうと思います。

ただこれ、なろう小説やなろう系コミカライズとは違う世界(おしゃれ系漫画?)の話しなので、書き出し祭り的には受けないかもしれません。

個人的には「おじさまと猫」のようなネームを描きたいです。

大コマを多用し、セリフも極限まで削り、背景もできるだけ書き込まない。

作中ではネコちゃんは美しいアンドロイドですが、ビジュアル化するなら憎めないブサ猫とかに変えても面白そうです。

続きが気になる作品でした。



<推薦作品>

実はこれタイトルあらすじ公開時に「やられた!」と、直感した作品で、ついつい「この作者様を当てられるかも」とtweetした智子先生@tomoko_1962 に、からんでしまったきっかけでもあります。

そして智子先生とのやりとりで、今回の企画を立ち上げましたので・・・縁とは奇なり、です。感謝の意味も込めて、作者様には無断で感想をここに書きます。


●16-1-5.『リカちゃんの人形』


最近コミックで流行の一対一ラブコメの変化球です。「僕ヤバ」とか「着せ恋」をもう少しディープにした感じですね。

メスガキ的なヒロインとストーカー的な主人公が、斜め下方向に向かって爆走する感じです。大好きなコンセプトです。

作者当て的には黒(プロ作家さん)だと確信しています。コミカライズは、僕に仕事を振ってくれるのでしたら全力で頑張ります的な内容です。

ポイントはこのヒロインの「メスガキ」をどうビジュアル化するか。またテーマである主人公の行動原理が歪みきっているので・・・そのまま突っ走るか、柔らかくするかの判断です。

個人的にはテーマをバリバリに深く歪ませて、見せる部分はメスガキの色気よりも主人公の肌色を強調したコミカルな二人の掛け合いに絞る。が、一番ヒットしそうな仕掛けかなあと、感じました。

どうか作者名公開時には、僕に(仕事依頼で♡)お声かけいただけると嬉しいです。

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