第2話 ゆめ美の場合
ゆめ
純文帝国と同じように、そんなゆめ美も自由企画はちょくちょく利用している。自分の小説も読んでほしいし、未知の作品と出会うチャンスが広がるからだ。
「読みま専宣言」
ゆめ美も、この企画名にはぎょっとした。
とてつもなくアナーキーというか怖い物知らずというか、「カコカヨモカ」そのものへの挑戦に思われた。
この人は、何を考えているのだろうか。
過激なタイトルに恐れをなしてか、参加者は今のところゼロである。どんな恐ろしいことが書いてあるかと思うと、具体的な説明を読む気にもなれない。
自由企画に不満なのだろうか。
確かに、ついていけない企画も散見される。
軽い気持ちで読み合いに参加したら、
「あなたは現在、1つしか読んでいません。今後どうしますか、どのくらい読めるかお知らせください」
と連絡があり、あわてて、ごめんなさい、参加辞退します、となったこともある。
読み合いへの熱意はわかるが、もっと気楽に読みたいんだよね、とゆめ美は思う。
「星、欲しいよね。皆で星のマシンガンを撃ちまくりましょう」
なんてタイトルも、ちょっと怖い。
ゆめ美の小説に企画主が星をつけてくれたのだが、正直、その人の作品はピンとこなくて、星をつけなかった。すると、ゆめ美の小説についていた星は削除された。要するに、読み合うというより星を付け合う企画だったのだ。
という訳で今は、
「シンプルな読み合い」
「置いてください」
「いろいろ読みたいです」
といった、穏やかな感じの企画にのみ目を通し、参加したりしなかったり。
そんな平和主義者のゆめ美にとって、「読みま専宣言」という企画は、近づかないに限るのだ。
ゆめ美自身も、自由企画を立てたことがある。
「ゆるい読み合い」として、恋愛、ラブコメを募集した。自分の作品も参加させ、「よろしかったらどうぞ」と控えめに宣伝した。
企画者への忖度なのか、最低でも参加者の数と同じくらい応援のポチはついた。PVもそれなりに。
時々、「ご好評につき再度開催」なんて書かれた企画があるが、予想以上に成果があった、おいしい思いをした、ということなのか。
はっきりと「私の作品を読んでくれた人から優先的に読みます」と書く人もいる。
「コメント、レビュー書きあいましょう」
という企画を立てる人は本当にコメント等が欲しいのだろう。
ゆめ美もコメントをもらったら嬉しいけれど、無理に書いてもらおうとは思わない。自作を読んで、面白い、作者に思いを伝えたい、と自然に思えたらコメントするけど、うーん。
しばらく考えこんでいたが、やはり「読みま専宣言」の内容が気になる。
ゆめ美は、こわごわ、企画名をポチした。
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