読みま専宣言
チェシャ猫亭
第1話 純文帝国の場合
ペンネームから想像できるように、彼は純文学作家を志しているが、なかなか思うように小説が書けない上にPVも少ない。そこで当然の策として会員が読みあい評価しあう場を求めて自由企画を利用している。
今日も純文帝国は、参加できそうな企画を物色していたが、驚くべき企画に遭遇した。
「読みま専宣言」
である。
衝撃のあまり、彼は固まった。
なんという潔さだろう。
「読みま専」とは、読まない専門、つまり書き専、書くだけだよと主張してるのだ。
自由企画に寄せられる企画は基本、読み合いである。書いた以上は読んでほしいのが人情、苦労して書き上げたものを読んでほしくて当然だ。ただ読んでね、ではあまりに利己的、読んでね、こっちも読むからね、となるわけだ。
しかし、純文帝国にとって読み合いは苦行といってもよかった。小説の、というか文章の好き嫌いが激しいので、なかなか最初の三行から先に進めない、あまり読みたい小説がないのが本音だ。
結局「積極的に読み合いましょう」といった類の企画はパス。「最低一話は」なら参加、どうにか最後まで目を通して応援のポチをする。
いちばん嬉しいのは置くだけ企画だ。たまには「宣伝の場に利用してください」と太っ腹な人もいて、拝みたくなる。
読んでほしいけど読めない問題に悩まされてきた純文帝国は心をゆさぶられ、企画者に向けてメッセージを書き始めた。
フランシーヌ殿
前略、
私は純文帝国と申します。
貴殿の自由企画「読みま専宣言」に、猛烈に感動しています。
お互い「カコカヨモカ」に登録、活動しているわけですが、このサイト名は、「書こうか読もうか」の意だと思われます、書いてもいいし読んでもいいし、どっちか片方だけでいいよ、といったニュアンスを感じます。
しかし実態はどうでしょう、書いたものを読んでもらうためには、他者の作品を読めと強要されているように感じるのは私だけでしょうか。書いてもいいけど読めよ、と無言の圧力を感じる私は被害妄想なのでしょうか。
もちろん読み専の方もいらっしゃるし、その方々に読んでもらえるのは嬉しい事です。
「私は書き専で読むのは苦手ですが、たくさんの人に読んでもらいたいです。心の広い読み専様を募集します」
なんて企画を立てようかと悩んだこともあります、せこいですね。
そんな卑小な自分が恥ずかしくなりました、貴殿の「読みま専宣言」素晴らしい!
ひんしゅくを買うだろうに、反発や非難をおぞれず堂々と持論を主張される勇気に感服しております。
是非私も、「読みま専宣言党」の一員にしてください、一生ついていきます!
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