第38話 沙織の告白

「綺麗~!」




泊まるロッジは中は綺麗で5人で過ごすにはちょうどいいぐらいの大きさだった。




「荷物運ぼう~って部屋どうするの?」




愛が巧のほうを見ながらいう。




「じゃあ、私たくちゃんと話したいからたくちゃんと♪」




「はいぃ!?」




「愛…」




沙織の発言に愛はつっかかった。




「普通こうでしょ、こう!」




愛が美優を巧の横に立たせ、沙織の腕を引っ張った。




「美優と巧君のカップルと、友達みたいな。」




「え!?俺男一人とかいやだよ。」




「ヒロ!」




愛が肘でヒロをつつく。




「え!?美優ちゃん巧のこと好きなの?」




「え…」




みんなが一斉に美優のほうを向いた。




「私は…」




みんな見てる中なんて言えばいいの?




美優は緊張と戸惑いで汗が止まらなかった。




「俺は美優が好きだから美優と一緒の部屋希望。」





「巧…」




巧の発言に助けられた。




いつまでもこの中途半端じゃいけないのはわかってる。




だけど焦れば焦るほど気持ちがわからなくなっていた。









好きって…どんな気持ちなの?





恋って何ーー?







「部屋割りはやっぱこうでしょ!」




ヒロが巧の隣にいき、美優を沙織と愛のところへ行かせた。




「男性陣、女性陣、これで決まり!」




「まぁ、これが一番しっくりかな…美優はいい?」




「私はいいよ。沙織さんもいい?」




「別にいいよ。女同士で話したいこともあるし。早くいこう!」




そういって沙織は美優の手を引っ張って部屋に連れて行った。




「体ベトベトしているからお風呂入ろうよ!部屋にお風呂ついているんだね~じゃあ私から入っていい?」




「ど、どうぞ。」




「じゃあお先~」




沙織はテキパキと着替えを取り出し浴室に入っていった。




「…なんか嵐のような人だよね。」




「うん…元気っていうか…」




「お風呂、次美優入る?」




「私最後がいいや。先に入ってきて。」




「はぁ~いい湯だった。次どうぞ。」




「はやッ!」




沙織のお風呂の短さに愛は驚いていた。




「じゃあ、行くね…」




「うん。」




“シャーッ…”




浴室からシャワーの音が聞こえ始めた。





「ねぇ…」





沙織がソファに座っていきなり美優に話しかけてくる。




「…たくちゃんのこともう一度好きになるの?」




「え…それは、わからないけど…でも、好きになると思う。」




「何それ…変なの。」




「巧が…好きになるって言ってくれたから…」




「ふ~ん…」




沙織は髪の毛をガシガシとタオルで拭く。




「ドライヤーあるよ?使う?」




「ううん。いらない。ドライヤーはいらないからさ…」

















「たくちゃん、私にちょうだい。」












「え……?」




「あなたは友達がいるからいいじゃない。私はたくちゃんしかいない。子供の頃からずっと…たくちゃん一人だけだった。だけど施設から急にいなくなってまたずっと、ずっと、ずっと独りだった…」




「あの、でも…」




「そんな中途半端な気持ちなら、たくちゃんのこと苦しませないでよ。」




「苦しませる?」









「私は好きな人が…たくちゃんが片思いしているのなんて見たくない!」











“バタンッ…”




沙織は部屋から出て行ってしまった。




やっぱり沙織は巧のこと好きなんだ…




巧のことを必要として、あんなにも巧のことを想っている――




沙織の気持ちが痛いほど伝わったと同時に巧に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった…

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