第15話 友達に紹介!?
“ピリリリリリッ…”
「…誰?…もしもし…」
「美優、あんた付き合ってるの!?」
「え!?」
「どうして言ってくれなかったの!?友達じゃないの!?」
「え!?え!?」
美優は布団の上でアタフタした。
(どうしよう、写真撮られちゃったかな><)
「ヒロと付き合ってるって言ってくれればよかったのに!」
「………え?ヒロ?」
「まだ携帯チェックしてないの!?もう大学中知ってるよ!」
携帯をみるとラインなども100通以上きていた。
「え!?待って、どうしてそうなったの?」
「昨日イルミネーションみてたでしょ!それがたまたまテレビで放送されてて、お似合いカップルって紹介されたしいよ!私もみてて写メしたからみてみなよ~後ろから抱きしめられちゃって…うらやましい!」
「いや、あれは、そういうのじゃなくて…」
「何よ~あんなラブラブなのみせられても幼馴染っていうの~」
「…私、別な人が…」
「は!?」
「別の人とその…」(結婚なんていえないしな涙)
「え!?じゃあヒロとは付き合ってないの!?でもヒロは好きなんだよね!?」
「う…」
「私もう大学来ているけどあんたたちの話題で持ちきりよーあんなのみたら誰だって付き合ってるって思うよ~」
「そうだよね…」
「ファンの子達がとにかくショックがすごくて…覚悟して大学きなよ~」
「怖いこと言わないでよ~」
「あ、ヒロだ!とにかく美優も大学きなよ。じゃあ。」
「…大学行きたくない~」
美優は布団に包まりながら叫ぶ。
(でもこれが相手が巧だったら…家にこうやっていることもできないかも…)
「よし!とにかく誤解を解こう!」
美優は急いで着替えをして大学へ向かった。
大学へ向かう途中周りの反応が怖くて仕方なかった。
(なんか最初の一歩が怖い…)
コソッと大学に入り、愛と待ち合わせをしている大学のカフェテリアへ向かう。
「美優!」
「大きな声出さないでよ~」
ビクビクしながら愛のところへ向かう。
「大丈夫だよ~ヒロがちゃんとファンの人に説明してたよ~」
「え?説明?」
『美優には別な人がいて、俺が片思いしているだけなんだ…これ以上騒ぎを大きくしたら美優は大学に来づらいだろうし、そっとしてほしい。』
「これがまた儚げにいうもんだから、母性本能くすぐられちゃって、みんな『はい!応援します!』ってなってたよ~」
「いや、応援はちょっと…」
「てか別な人って誰!?ヒロよりいい男ってことよね?」
「いや~どうだろ?」
「紹介してよ!」
「紹介はちょっと…」
「今週の大学祭に連れてきてよ!」
「え!?」
「みんな美優の相手が気になるみたいだよ~」
「それに美優が付き合っている人がいたら、みんなちゃんとヒロと付き合ってないって信じるんじゃない?」
「う~ん…でも仕事忙しいからな~」
「聞いてみなよ。今!」
「今?わかった。たぶん無理だと思うけど…」
美優は巧に電話してみた。
「あ…今大丈夫?」
「何?」
「あの…昨日のイルミネーションのときテレビで放送されてたみたいで…その…」
「アイツに抱きつかれてた時ね…」
「それで大学の皆が付き合ってるって勘違いしているみたいで…」
「だから?」
「本命を大学祭につれてきたらって…仕事だよね?無理だよね?」
「いつ?」
「今週の週末…」
「土曜日行く。夕方から仕事だからちょっとだけだけどな。」
「え!?ちょっと待って。え?正気?どうやってくるの?」
「心配すんな。じゃあな。」
そういって巧はぶっきらぼうに電話を切った。
「寝起きだったのかな?」
「どうしたの?」
「なんか態度が冷たいっていうか…でもいつもこんな感じか~」
「妬いてるんだよ!当たり前じゃん!」
「え!?そうなのかな?」
「だって彼氏からすれば面白くないじゃん!」
「まあ、そっか…」
(巧でも妬くんだ…)
そう思ったらちょっと嬉しく感じた。
「うわ…もう真っ暗…」
美優はあれから学園祭の準備をしていたらすっかり暗くなっていた。
「美優!」
「ヒロ…」
「帰るの?」
「うん、あ、一緒に帰ろッ…」
いつもなら帰り道は同じだから帰ろうといつも誘っていたが、今この状況で誘っていいか美優はわからなくなった。
「危ないから一緒帰ろう。」
ヒロから結局誘ってくれた。
「う、うん。」
「準備どう?」
「うん、サークルの出し物が何とか間に合いそうなぐらいのレベルで前日は徹夜かも~」
「そっか…」
「ヒロは?映画研究部だっけ?」
「うん、順調に進んでもうやることないから、手伝うよ。」
「ありがとう~ヒロのところにも顔出すね。」
「アイツ…」
「え?」
「アイツ来るんでしょ?女の子達が言ってたよ…大丈夫なの?」
「こないっていうと思ったんだけど…どうするんだろうね?」
「…美優、うちにご飯食べに来ない?」
「え?いいの?」
「もう遅いから作るの大変だろ?お手伝いの森さんも美優に会いたがっていたよ。」
「森さん…そういえば全然会ってないな…」
「おいでよ、ね?」
「…じゃあ、お邪魔します。」(ご飯食べるぐらいいいよね?)
ヒロの家の大豪邸が目の前に現れる。
「いつ見てもすごいな~」
「そうかな?生まれた時からだから見慣れちゃったよ…」
「お帰りなさいませ…まぁ、美優ちゃん!?お久しぶりでございます。」
「森さん、お元気でしたか?急で何も持ってこなくてごめんなさい。」
「何をおっしゃいますか…綺麗になられて…」
「森さん美優にもご飯いいかな?」
「はい、ご用意して参ります。あ、奥様…」
「…母さん。」
顔色が悪くフラフラとした状態で楓が現れた。
「母さん、寝ておきなよ。」
「大丈夫よ…お客様?」
「あ、初めまして。神田美優と申します。いつもヒロさんにお世話になってます。」
「神田美優…?美優ちゃん?」
「え…?」
「…初めてじゃないわ…小さい頃会っているわよ。」
「え…そうなんですか?ごめんなさい…」(え…そうだったっけ?)
「あなたには可哀想なことしたわ。まだ記憶が戻ってないのね。」
「………え?」
「あの…それ、どういういうことですか?」
「母さん!まだ調子悪そうだから横になっておこう、ね?」
ヒロが楓の肩を支えて寝室へ行くように促す。
「ヒロ…」
「…母さん最近疲れてるんだ。きっと誰かと間違えているんだよ。」
「でも、今の…」(そういう感じじゃなかった…本当に私のこと知っているような…)
「俺、着替えてくるから。美優は先にご飯食べておいて。」
そういってヒロは自分の寝室へ向かった。
“パタン…”
ヒロが自分の部屋に入ると机に封筒が置かれていた。
ヒロが封筒をあけ、中の書類に目を通す。
“パサパサ…”
ヒロは手に持っていた書類を床に落とし、机においていた巧の帽子を手にとり、床に投げつける。
「何で今頃…何でなんだよッ!」
「え?ヒロ体調悪いんですか?」
「そうなんです…だから美優ちゃんにはご飯食べさせてくれって…」
森さんがヒロに言われたことを美優に説明する。
「ヒロは大丈夫ですか?この間も体調崩してたから…」
「最近なんだか奥様もなんですが、お二人とも何だか不安定で…」
「…そうですか…あ、森さん!」
「はい?」
「森さんってヒロが小さいときからこの家にいました?」
「そうですね…3歳ぐらいからだったと思います。」
「私、そのくらいの頃からこの家に遊びに来てました?」
「はい、あの頃はみんな楽しそうに遊んでましたよ。」
「みんな?…ヒロと私以外に誰かいたの?」
「あ…」
「教えてください!なんか覚えていないみたいで…」
「美優ちゃん…あれは事故だったし、美優ちゃんが悪かったわけじゃないの。だから、思い出せないなら思い出さないほうがいいわ、ね?」
「でも…」
「さ、ご飯食べましょう。冷えちゃうわ。」
森さんは話題をそらそうと必死だった。
(私…なんで覚えてないんだろう…)
出されたご飯は豪華で美味しいはずなのにまったく味がしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます