第66話 対峙
俺たちを背に乗せ、エヴァは夜風を切って真っ直ぐに竜人族の里へと飛び続けた。
「地平が明るいな……」
針路上の地平が燃えているのか嫌な明るさだった。
「あれは妾たちの里じゃ……!!しっかりと掴まっていてたもれ!」
エヴァは、翼をはためかせると増速した。
やがて視界にありありと映し出された光景は―――――
「酷いのじゃ……」
竜人族の里の上空に到着した俺たちを待っていたのは、燃え盛る村落だった。
そして火の手は、山の方向へと続いていた。
「ドラゴンが今更来やがった、撃ち落とせ!」
俺たちを背に乗せてきたエヴァを見て地上にいたイリュリア王国軍が騒ぎだした。
「大丈夫だ、守ってやる【
「魔法耐性のある鱗ゆえ、大丈夫とは思うが助かるのじゃ!」
地上から撃ち上げられる攻撃魔法の全てを無効化しながら飛び続けた。
「既に山に避難を終えておるらしいの!」
里には逃げ遅れた竜人の姿はなく、エヴァがホッと胸を撫で下ろすのがよくわかった。
「だが、勇者パーティの連中は既に山へと向かってるらしいな」
麓に向かって森を焼きながら進んでいるのか、火の手は麓に向かって続いていた。
「そうじゃな、安堵の気持ちに浸る場合でもないようじゃ」
魔法攻撃を一身に受けつつ旋回し、方向を変えた。
「勇者パーティの先頭にいるのはおそらく最近力をつけたと 二人だろう。その前に俺たちを降下させてくれ」
「あいわかった」
【
「そろそろ降下態勢に入る!」
エヴァは減速させながら高度を下げ始めた。
「Graaaa!」
咆哮一閃、着地予定の地点をエヴァは焼き払った。
地表すれすれの高度まで降りた俺には、
「よぉ
相沢が剣を構えた。
「今、お前が仲間と降伏するのなら命は取らない!」
天童がそれに追従して、そんなことを言った。
他のクラスメイトたちはなぜドラゴンと一緒にいるのかと不思議そうな顔を浮かべている。
「ご配慮痛み入る。でもな、俺たちにも竜人族を守るっていう仕事があってな?」
そこまで言うとヒルデガルトは魔剣を抜いた。
コルネリアもまた
「だからお前たちを倒す」
俺は宣言した。
それでも向かって来るというのなら、クラスメイトとはいえ容赦なく叩きのめす。
「エヴァ、お前はイリュリアの王国軍連中の相手をしていてくれ。勇者パーティは俺たちで引き受ける」
【
申し訳ないがエヴァには離れてもらうことにした。
本人が魔法耐性のある鱗で魔法攻撃は無効化できる、と言っているのだからそれを信じるとしようか。
「舐めた真似を!今の俺たちはな、この前までとは違うんだ!」
天童は声を大にして言った。
「何があった?」
どうせ話してはくれないだろう、そう思ったが何を思ったか彼らは
「聞いて驚くなよ?俺たちは神に選ばれたんだぜ」
余程自慢したいのだろう、その経緯を自ら口にした。
やはり神の介入があったわけか……。
「そりゃ良かったな」
「おかげで近接戦じゃ俺たちは無敵だ!テメェらで証明してやるよ!!」
相沢は剣を構え直すと突貫してきたのだった――――。
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