第39話 闇を知る枚田
枚田さん視点です。
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打ち合わせは無事終了。
コラボ内容は“自己紹介”だ。
至って単純、自分のことを説明する。
だが、好きな食べ物はなになにでーす。とかそんな意味のない自己紹介ではない。
自分の“配信”の自己紹介だ。お互いはじめての同期コラボだ。
それを知ってもらうのにもちょうどいいし、何より視聴者にぐらぶるダクションのライバーはこんな配信をしていると促せるし宣伝となる。
普通同じ事務所でのコラボとなるとイマイチコラボ相手の情報が伝わりにたくい。
コラボとなるとゲームを一緒にするみたいなのが主流だが、それだと宣伝材料は見た目、声、性格などしか伝わらない。
いや、十分かもしれないがいざきてもらえたとしても配信内容が合わないとなるときてもらった意味がない。
なら自分達の配信を紹介しようという直接的な考え方なのである。
直接見てくれた方が全てが伝わるし。
アーカイブなど見せていたら二時間とかになるため、配信者の彼女らにお気に入りな場所などを相談しながら“切り抜き”を見てもらう感じにするつもり。
説明しよう! 切り抜きとは配信での要点や一つのくだりを短くまとめる形で再編集して投稿する形式の動画のことである!
最近のYouTubはショートといい一分の動画を作れる。ショートはお手軽に見れるため毎日動画は動画でもショート動画ばっかみてる人が激増している。それにより切り抜きの需要が高まったんだぞ!
ということで、今から鷹葦ロミこと“藤屋蛍”(ふじや ほたる)と打ち合わせだ。
オフィスから会議室へ行こうとする道中聞こえてしまった。
「それじゃ鷹葦ロミは“リッタ・マドレーヌ”。鮫島ガブは“早坂椿”がコラボということですね」
自分の担当のVtuberの名前。急遽反応してしまった。こ、コラボ? 確かその2人ってラピスベリーのVtuberだった……
「なぜだろう……向井くんのコラボ事件で関係が悪くなるはずに思えるんだが……」
普通失敗した相手同士でまたコラボするか? いや、しないだろ。
冤罪だと分かった上で話す。
一度の失敗とはいうが、アレはかなりの規模だ。
現にひどいことだが、向井くんの狡噛レンはVtuber界では炎上ネタとしてかなり広まってしまっている。謎の考察班がありもしない虚言を言っている動画がかなり出回っている。ラピスベリーリスナーからしたら、ぐらぶるダクションはかなり目の敵にしているだろう。
「それなのにまたコラボ……」
「匂いますねぇ〜」
「ちょっとな……………!?」
だ、だれ!!?? …………なんでいるんですか。
「藤屋さん……なんでここにいるんですか」
「枚田さんが言ったんですよ〜打ち合わせするって〜」
「言いましたけど……ここにいる意味とは」
「しっ! 静かに! まだ何か喋ってます!」
「は、はい……」
彼女は鷹葦ロミこと藤屋蛍。私の担当だ。
本当にマイペースで読めない方で、配信も待機時間はあるものの、毎回ゲリラ配信ばっかする彼女。まさに神出鬼没とは彼女にふさわしい。
「いや〜本当に願ったり叶ったりだよ。あなたのシナリオに従っただけで本当にコラボしてくれるとは〜これでぐらぶるダクションもさらに大手に近づく! 向井には感謝だな〜〜あ、すみませんねぇ〜思い上がっちゃって口に出しちゃいましたよ〜ぐへへへ」
ラピスベリーのコラボで話していたということは、電話の相手はラピスベリーの関係者か? それもコラボなどの大掛かりなことを決めれるのは……
浅川副社長………私をクビにした人。
たぶん彼女によって向井くんに冤罪がかけられたんだ……これからもコラボさせてやるから、狡噛レンを活動休止にしろとでも言ったのだろう。
口封じのために……インターネットの世の中、速いものが全てを制す……
「はは……向井くんにいろいろ聞いてなかったら至ってない思考だな」
入社早々、その会社の闇を知ってしまった。
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短め御免で候。(最近古文頑張ってる)
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