第40話 枚田美瑠と藤屋蛍

 入社早々その会社の闇を知りました。はい、GGです。

 ここにいても仕方がない。藤屋さんを連れてとりあえず会議室にでも行こう。


 「藤屋さん、行きますよ?」

 「う〜ん……う〜ん?」


 彼女はいろいろ考えてるのか、目線を上にあげたり、腕を組んで目を瞑ったり、いかにも考え事していますといった様子だった。

 本当にマイペースを極めている。


 「仕方ないですね……ほら! 行きますよ!」

 「う〜ん……う〜ん」


 これは返事ではないと容易に読み取れる。思いふけっている彼女の手を握り会議室へと手をひいた。



 ****


 「ということなので、藤屋さんの今までの配信で気に入っているところとかありますか?」

 「………」

 「ふーじーやさん!」


 だめだ。全然返してくれない。マイペースすぎてやりづらいったらありゃしない。


 さっきの部長の電話を聞いての悩みだろう。一体何を考えてるのやら。私には分か「枚田さ〜ん!!!!」「!? 急になんですか!!!!」


 本当に分かんない!? こんなんで本当に大丈夫なんでしょうか!! 私で彼女のマネージャー務まりますかね??? 


 「ここの部長絶対悪いことしてる〜! この汚れた事務所を変えませ〜ん?」

 

 おぉ……あんだけ長考して発した言葉がこれですか……それより今は打ち合わせ中だ。

 とりあえず次のコラボで話さないと。


 「そうかもしれませんねー。それより打ち合「枚田さ〜ん」


 だめだ。さすがと言えば良いのだろうか? 疲れてきた……


 「枚田さんは〜“誇り”持てますか〜? 今勤めているぐらぶるダクションに」

 「誇りですか……」

 「ちなみに私は〜〜無理で〜す」


 事務所が何か悪いことを企んでいる……たしかに自分の勤めてる会社がそんなんだと恥ずかしいな。

 恥ずかしいと誇りは似たり寄ったりだな。今は逆だけどようは、誇りに思ってないから恥ずかしいってことですね。


 しかし、どうなんでしょう……恥ずかしいからって雇ってくれた事務所を変えようとするのは。確かに悪いことしてそうですが、してるという証拠なんてないし……そもそも私たちに変えられるんですかね? 行動したところで意味が……


 「逃げる言い訳はいらないです」


 私が色々と考えていると鋭い発言を受けた。図星だったからか、さっきまでいろいろ考えていたがやめた。


 先ほどまで間延びいた口調をピタリと藤屋もやめたからつられたのかもしれない。


 「枚田さん……誇り持てる人になりましょ……これは間違いないです。この事務所は間違ってるんです……今すぐにでもこの事務所を誇りに持てないのならそれは変えるべきなんです」

 「大変だよ? 今回たまたましれたけど、これからも部長がボロ出すことなんてないかもですよ?」

 「それでもです。間違いは見逃すためにあるんじゃない。正すために存在するのです……ぐらぶるダクションは私の誇りでありたいのです。Vtuberという楽しい舞台に連れてもらったから」


 遊び感覚で言ってるわけではなさそうだ。本当にガチで変えたいと思っているからこその行動力なのだろうか? いや、違う。



 これは彼女の信念が突き動かしているものだ。“全てのことに誇りを持ちたい”という信念から生まれるものだ。


 私にもある。信念。


 『失敗は引きずれ! けど進むのはやめるな!!』


 信念というより座右の銘に近いかな。向井くんを励まそうと思って言った言葉だ。


 『今後につながるから失敗は引きずるな! 切り替えろ!』こういう言葉もある。部活の顧問に言われた言葉だ。

 

 けど思うんだ。失敗を引きずらず忘れて、失敗をなかったことにするのが“本当の失敗”だと。

 失敗だって人生の経験だ。それを忘れるのは人生を忘れると同義だと思ったのを覚えている。


 だから私は“引きずる”。あーすればよかった。こーすればよかった。を何回でも言う。

 だがそのかわり“進むのはやめない”。後悔しながらでもこれからの自分の人生を“濃く深く”するために。


 人間はさまざまな“可能性”を対戦した数ほど強くなると思っているから。





 自然と隠していた気持ちを藤屋さんに白状していた。これは一度蓋をしたやつ。


 「たくさん受けた面接で唯一ここだけが私に採用をくれました。凄い感謝したからこそ頭が上がらなかった。今度はクビにされないようにと部長にビビってました……(向井くんから聞いていて)だめなことをしていることも」

 「………」

 「けど違いますね。感謝だからこそ、この会社を良くするために遠慮なく行動しないといけませんね………ありがとう。そして一緒に変えましょう」

 「……はい〜!! ふふふ〜私たちは革命軍ですよぉ〜!!」



 こうしてラピスベリー(最爽、浅羽)←小平、秦李ペアとぐらぶるダクション(ハゲ狸)←枚田、藤屋ペアのマッチングが成立した。


 4人の信念が奴らを追い詰める……







 そういや、枚田さんたち打ち合わせは?

 お〜〜〜い! 忘れとるで〜〜〜〜! 

 おぉ〜〜〜ブチッ(シャットダウン)




 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 下準備は整ったって感じです。枚田さんたちの無理矢理すぎたかな?笑

 

 次回は彼らのコラボをした後、ラピスベリーとのコラボです!





 皆さんスプラしてます? 今日からフェスですよ? どっちの陣営にしました?? 

 ちなみに私は“くさ”です!!










 





 


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