第11話 無双してからの炎上

 


ーーーーーーーーーーーーー


 試合を終えて我に帰る向井。


 「……や、やべ!! 全然コメントみてなかった!! 集中しすぎちゃった!!」


 ただただ男がゲームしてるだけの配信なんて面白くないだろうし……やらかしちまった!


 「みんなごめん!!!! 集中しすぎてて全然コメントみてなかった!!!!」


 誰も見てないのに机に勢いよく頭をつけ謝る俺。こういうのは気づいた時にすぐ謝る! これに限る!!


 ん? 


 【凄かったです! なんですかあの動き!?】 【異次元すぎた!】 【集中してたで片付けられるレベルじゃないw】 


 なんか意外と好評じゃね?


 「あれ? みんな放置してたんやで? 俺?」


 【そうだな】 【放置されて強くなった】 【放置女官じゃねぇーか笑】 【寂しかったわ〜】


 「だよな!? ほんまにごめん!! 本気出すと俺周り見えなくなるんだ。配信の時はあまり本気出さないって決めてたんだけどな……すまん、焦ったわ」


 レンの本当に強さをわかっているレンのリスナーならなんも思わなかっただろうが、

 ここは最爽エリーのチャンネル。圧倒的にレンのことを知らないリスナーガチ多数存在するのだ。

 これからエリーさんが戻ってきていざ本番ってなった時に、事前にしていた俺の配信のせいでリスナーが減ったら申し訳ないと思った向井。

 今いるリスナーを手放さないため本気を出した。


 だが、それが最適解だった。


 【別によくね? 上手いんだから】 【そうそう、普通の腕前のやつがアレだったらオモロくないけど】 【まじバケモンみたいなプレイ見せられたら逆になんも言葉でんわ】 【電話にでんわ! てか?笑】 【は?】 【は?】 【は?】 【すいませんでした】


 「そ、そっか! よかった……」


 【それよりさ、あれどうやってやっての!? イカロール!】 【バカうまかったよな!】 【それな! ガチ教えてほしい!!】


 一回会社から注意を受けたんだ。


 『ただゲームだけしてるって配信者として終わってる。別にすごさとかいらんからリスナーと会話して』


 これ以降、俺は配信で本気を出さなかった。別にリスナーの話しながらプレイするの楽しいからよかったけど……


 やっぱVtuberは楽しいな。


 「イカロールは進みながら逆方向にスティックを傾けてジャンプするんだ! こんな風にな!」


 【それは常識なんだよー】 【前進みながらイカロールしてたやん!】 【そう! そっち!!】


 「あーあれはコツがあってな〜逆側に切り返すという概念を捨てて、スティックを一回転させるねん! 一回転されてステックを前に持っていく時にジャンプ!!」


 【ちょっくらやってくる!】 【俺も!】 【これ習得したら絶対上手くなれるやん!】 【普通にやっててかっこいいしな!!】


 本気出してよかったと思う向井だった。


****



 「1時間経ったけど……最爽さん来ないな……」


 【大遅刻やん】 【コラボの時これは流石すぎる笑】 【遅刻って連絡あったってことは交通の問題か!?】 【あの後から連絡とかきてないですか?】


 「う、うん。来てないな」


 佐川さんとの連絡手段ないんだよな。連絡先交換したわけでもないし。

 小平さんに連絡するのは違うしな。


 「……予定は1時間だからな」


 一応学生だ。労基に引っかかるかもだしな。そういう契約だ。


 「んじゃ、終わろっかな。コラボ配信のはずがコラボ相手の配信を見ただけだったっていう謎のオチで終えようと思います」


 【ほんと謎のオチだわ!笑】 【前代未聞でしょw】 【コラボ配信がコラボしてない件!】 【ガチ草なんだけど】


 「ま! また今度機会があればコラボさせていただきましょう! ということで! 俺の配信おもろかったと思ってくれた方は面倒だけど俺のチャンネル登録してな!」


 【もうしてますが?】 【ツウィッターもフォローしてますが?】 【面白かった! 絶対行く!!】 【今度はレンさんのチャンネルで会いに行きます!!】


 「まじで嬉しい!! 絶対来てくれ!」


 今回の配信で俺だけ得してるけど許してください。帰った江東さんが悪いんで!


 「それじゃ〜! 乙がみ!!!」


 このまま配信を切り平穏に終わるはずだった。はずだったんだ。


 ガチャ

 「仕方ないからコラボしてやるよ。準備しな」


 配信を切る前に江東が戻ってきてしまった。

 

 【え、エリーの声?】 【遅刻魔人や〜】 【え、けどなんでそこにエリーおるん?】 


 「あ、え……エリーさん。到着したんですね。今ちょうど配信終わろうと……」

 「!? お前なんで配信してんだよ!」


 驚く江東。その反応に驚く向井。


 「え、だって佐川さんに先やっといてって……」

 「とりあえず配信切れ!」


 このやりとりで完全にリスナーが理解する。


 こいつら今同じとこいる。


 【は? ドユコト?】 【まじでなんでエリーいんの?】 【同じとこいるん!?】 【え、会ってんの?】 【は? じゃあほんとはオフコラボだったってこと?】


 コメントは荒れた。ツウィッターもオフコラボ疑惑で荒れた。


 炎上なう。



 ****


 「まじでどうしてくれんの!? 絶対オフコラボってバレたって!」


 オフコラボ疑惑で炎上してる中、こちらもこちらで最爽エリーこと江東響が荒れている。


 「いや、これってオフコラボですよね? バレたらダメなんですか?」

 「は? 当たり前でしょ? 男女でのオフコラボなんて絶対炎上するから! ましてや初コラボで!」


 いや、知らんし。それにそっちからオフコラボ申請してきたんだろ? 分かっててなんですんだよ。


 「それになんであたしがいないのに配信してるわけ!? 馬鹿なん!?」

 「は? それは心外だ。そっちの佐川さんに連れ戻してくるから先に配信したけって言われたんだよ。ですよね?」


 佐川さんに問いかけるが、パニクってるのだろうか? 「やばいやばいやばい……」と言って全然反応がない。


 「知らんわ! 普通コラボ配信なのに一人でやる!? 普通!!」

 「お前が配信直前にどっか行ったからだろ! それについてまず俺に謝れよ!」


 まじでなんでこんな態度取れるの? 元凶はあなたですよね? 


 「言いがかりやめて! 狡噛レンの正体がこんなガキじゃなかったら出て行ってなかったし!」


 それこそ言いがかりだろ。ガチで頭おかしいやつだ。そっちからオフコラボ頼んどいて『ガキ、萎えた』は筋違いだろ。


 「もういい! 帰って! このことそっちの会社に報告させてもらうから!」

 「勝手にしろよ。俺に何も非はないからな」


 俺は言われた通り部屋から出ていった。


 配信ではまた機会があればコラボしたいって言ってけど、二度と御免だね。

 最悪なコラボだぜ。




 ****


 「向井雄馬。いや、狡噛レンには配信活動を控えてもらう」


 どうしてこうなった……



ーーーーーーーーーー


 すみません。定期テストがあるので更新ありません。

 ストックで頑張ってましたが、足りませんでした。

 終わり次第再開します。

 





 


 

 

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