02.名探偵レックス

ギルド職員: 「ようこそ冒険者ギルド『挑戦者の旅立ち亭』へ。 冒険の仲間をお求めのあなた達をベストなパーティにマッチングしてあげるわね? ご要望は?」


魔術師レックス : 「無制御ファイアボール使いを許してくれるパーティ…ありますか…?」

ギルド職員: (私には荷が重すぎる注文ね…)

爆弾魔サウマ : 「有望なテロリストのセリフが聞こえたぞ、今。私も一枚かませてくれ」


神官剣士ジュリアス : 「当方ドワーフ前衛二名。魔法使い募集中」

武闘僧 サツキ : 「炎には強い!」


ギルド職員: (決めた、このドワーフ前衛に押し付けてしまいましょう!)


ギルド職員 : 「ごほん。ではこの場にいるソロの方々を適切なマッチングにした結果がこちらになります。えー。ファイアーハーケン兄妹。魔術師のレックス くん、魔動機師のサウマ さん。それとあと一人くらいほしいわね…そこの妖精使いさん、今の契約はどんな感じかしら?」


炎嵐使いカナ: 「――はーっはっは! 私を呼んだか? 契約なら今は炎・風・光の3属性だ」


ギルド職員:「そう、回復を行える光属性契約があるなら安心して任せられるわね。あなたも放り込んでこれで良し、と」


武闘僧 サツキ : 「よろしく頼むッ!」90度直角の礼

神官剣士ジュリアス : 「うむ、よろしくお願いするぞ!!」


爆弾魔サウマ : (お、ドワーフの前衛か。ほんなら遠慮はいらねぇな)


ギルド職員: 「それじゃあパーティ結成を祝して早速溜まっている依頼のどれかを選んでもらうわね? ケルベロス退治とエルダードラゴン討伐とサラマンダー駆除と、誘拐事件の捜査があるんだけどどれを受けるかパーティで相談してね?」


カナPL:「たしかサラマンダーは炎無効持ちだから避けた方が良いよね?」

サツキPL:「炎無効なのはサラマンダーだけじゃないんだわ」

ジュリアスPL:「選ぶ余地のない一択」


神官剣士ジュリアス : 「誘拐事件とは許せんな!!これにしようこれに!!」

武闘僧 サツキ : 「同意です兄者!」

ギルド職員 : 「誘拐事件ね! それじゃあ依頼の概要を説明するわね」


ギルド職員の話によると最近、長命種の樹人族メリアばかりを狙う誘拐事件が多発しているとのこと。


GM:「ここで犯人である魔物について当たりをつけられるか魔物知識判定を行ってもらいます」


魔術師レックス:「セージ持ちの俺が振るよ。(コロコロ……)あっ、6ゾロだ」


サツキPL:「またレックスの中の人が6ゾロでシナリオ壊してるよ~!」


GM:「…………。ではレックスには犯人である魔物の正体がするっとまるっと分かります。アルボルシニアです。データはサプリメント『モンストラスロア』の80ページを参照してください」


魔術師レックス:「みんな、聞いてくれ。この事件の犯人が分かった。アルボルシニアという蛮族の仕業に違いない!」


武闘僧サツキ:「レックス殿、それはどのような魔物ですか?」


魔術師レックス:「アルボルシニアはアルボルという樹人の上位種だ。攫われているのが樹人族メリアの長命種ばかりというところでピンときた。奴らは樹人族メリアをさらって交配し仲間を増やす苗床にしようとする邪悪な種族なんだ」


神官剣士ジュリアス : 「ということは……メリアは繁殖用か……! 一刻も早く救出せねば!」

武闘僧 サツキ : 「流石です。レックス 殿は物知りですね!!」


魔術師レックス:「不幸中の幸いでセージ技能の方は呪われなかったからね」


炎嵐使いカナ:「呪い?」


魔術師レックス:「(杖を見せながら)この杖に呪われていてね。俺は炎系統以外の攻撃魔法を満足に扱うことができなくなってしまったんだ」


炎嵐使いカナ:「ふむ。炎魔法には支障がないと言うのも不幸中の幸いであったな。ゆえにこうして私たちでパーティが組めておる」


武闘僧 サツキ : 「それで、レックス殿! そのアルボルという連中はどんな戦法を使うのでありますか!?」


魔術師レックス : 「え、なんかこう。炎に弱いくせに…燃える」


カナPL:(爆笑)


魔術師レックス : 「アルボルは神代の戦いの折にドワーフが武器を作るために伐採して燃やした木々が第二の剣イグニスの力によって怨念と共に蘇ったと言われていてね。ドワーフや住処の森を脅かす魔動機師たちを恨んでいるんだ。その恨みの炎の力を使って戦うんだけど、元が樹木の精だから結局、火には弱い」


神官剣士ジュリアス : 「我が神、炎武帝グレンダールの恵みを悪事に使うとは……許せんな!」

武闘僧 サツキ : 「ええ! 私達が正しい炎の在り方を叩き込んでやりましょう!」


爆弾魔サウマ : 「技術進歩を阻む連中とは許せねぇな。マギスフィアを投げ込み以って爆発四散としてやろう」


GM:さて、ではあなた達が会話をしていると外の大通りから子供の悲鳴が聞こえてきます。

メリアの少女:「キャー! お母さんが!変なフードの人たちに連れてかれちゃった!」


爆弾魔サウマ : 「おうガキ、連中はどっち行った? さっさと吐け、嘘とわかればお前も爆散だぞ」


メリアの少女:「ばくさん…!? えっと、あっちです!」指をさす


GM:「ではスカウト技能+敏捷度で各自振ってみてください」


爆弾魔サウマ : 「私は開発者の先制攻撃思想から足が速く作られているんだ。スカウトの私に任せておけ!(ころころ……)ん? 出目が悪いな」


GM「残念ですが、失敗です。スカウト技能のない方も振っていいですよ。6ゾロ振るかもしれませんし」


魔術師レックス : 「あっ、惜しい。5,6」


サツキPL:「あーあ、名探偵レックス君が6ゾロ届かなかったせいで逃げられちゃった」

レックスPL:「ゴメン。……いや、ゴメンじゃなくないか!?」


レックスの6ゾロによって調査パートショートカットで真実に迫った一行。


次回、追跡編につづく。

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