創作論との付き合い方
冴木さとし@低浮上
第1話 分からなくても大丈夫。コツコツ頑張れば、きっとあなたの糧になる!
あるゲームで1つの高級装備品が必要かどうか? を語る場があったとしましょう。
①ある人はこの装備はこの数値を積み重ねることによって攻撃回数が爆発的にあがる。だからこの2%を上乗せして22%にすることがとても重要なんだ。
②ある人はその高級装備品が1つあっても他の装備品がなければ、22%になんてならないから、持ってなくていいと思うよ。
③ある人はその装備品の入手難易度や、買う場合にかかるお金を考えると費用対効果が割に合わない。他の装備があれば2%の誤差くらい、なくても困らない装備だよ。
と1つの高級装備品を色んな方が、様々な方向から考えました。そして
これは身も蓋もない答えのようでいて、みんなが納得せざるをえない答えなのです。
1⃣『みんなが持っている装備品はみんなそれぞれ違うからです』
この「装備品は好きに汁!」。高級装備品を創作論と置き換えるとそのまんま『創作論は好きに汁!』になりますがこれはいくら何でも暴論ですよね?
私もそう思います。でも当たらずとも遠からず、とも思っています。では、なぜそう思うのかをお話ししていきましょう。
まず①の方の主張ですね。この方はゲームをかなりやり込んだ方で、他の装備品も全て揃えて頑張った方です。
だから創作論を身に付けてその結果、創作論はすごいよ! 身に付けた方がいいよ! とたった2%の誤差の効果が計り知れないことを知って、みんなにお勧めしてる方なんです。①の方はプロの方と考えるのが自然かもしれません。
◇
では②の方はどうでしょうか? この方は初心者です。今まさにゲームを始めたばかりの方で装備品が全然そろっていません。
短編小説をこの前、書いてみました! 長編はまだ書いたことがありません! という状況の方たちです。
この方に創作論のプロットがすごい! とかテンプレがすごいんだよ! とお話してもなかなか共感はしてもらえないでしょう。
でも知りたいと思うことは自由です。やる気があるのは良いことなんです。後々、役に立つかもしれないからです。だから丁寧に教えてくださる創作論の作者様がいらっしゃるんです。質問して答えてくれた作者様には感謝して、お礼をお伝えすればきっと良い関係が築けると思いますよ?
私は「頑張れ!」という知識もあまり必要ない精神論だけは、なぜか割と書けてしまうような気もしています。単なる気のせいか、血迷ってるだけかもしれませんけどね?
◇
では③の方はどうでしょうか? 装備品もそこそこ集めこのゲームで色んな冒険をした方々です。中級または上級冒険者と言っていいでしょう。
この②と③の段階に当てはまる方が私も含めて一番多いのではないかなと思います。創作論について一番悩んでいる方たちだと思います。悩む原因は「どの創作論が自分に効果があるのか分からないから」なんです。
この状況を踏まえて考えた時、中上級者の方に初心者向けのお話をするのはかえって失礼なのでは? と創作論を書く作者様は考える方が多いのではないかなと思います。言い方が多少、荒々しかろうがそれは時間を無駄にさせたら悪いかなという思いやりであり優しさです。照れ隠しかもしれません。
では中上級者の方はどうしたらいいのか?
(私のようなカクヨム様に2022年7月19日に登録して2ヶ月経つか経たないかというような初心者が、中上級者の方にアドバイスするのが、そもそもおかしいとは思うのですがそこは目をつぶって頂いて)
創作論を色々読んで自分が必要だと思ったところを、実践していくのが良いと私は思っています。でも私がこう言っても、中上級者の方は「既にやれることは実践した」という方が多いのではないでしょうか?
創作論を書いてる作者様たちだって、自分の創作論をすべて真似してもらえば名作ができるなんて思って書いてる方はいないでしょう。
できそうなところだけ実践してもらって、効果を実感してもらえたら嬉しいと思って書いてると思いますよ?
だから色々な方の創作論を読んで使ってみた後で、これは自分の個性がなくなるなと思ったところは実践しなければいいと思います。
お知恵はありがたく拝借したらいいんです。使ったか使ってないかなんて、どこどこで実践したって言われないと作者様だってきっと分かりません。
単純に忙しいから見て分析する時間なんてないんです。
実践して効果がでたって報告してあげたらきっと喜びますよ? お役に立ててよかったなって。その方が良いお付き合いできると思いませんか?
創作論はそういう意味で小説を書く時の方法論です。一度は使ってみて効果があれば使えばいいと思います。
注意してほしいのは自分に効果がないからといって、他の方にも効果がないと断定してはいけないということです。あなた様には効果なかったかもしれないけど効果があった方はいるかもしれないからです。
でも小説書いて色々悩んだ後で勉強してみると、実はこんなに便利だったのかって思うのが恐らくプロットとテンプレです。
色々読んで実践して、それでも行き詰って必要だと感じた時に、ややこしいプロット、そしてテンプレを勉強するのがいいと思います。
やることやって、どうしてもこのままだと未来が見えないとか、もやもやするとか、自分の欠点を直さないといけないと思ったとき、それがプロットやテンプレで解決できると思うなら勉強した方がいいです。自分が必要だと思った時は何も考えてない時より、やる気が全然違うので理解度が違います。
迷いながらやるのが一番時間がかかります。時間は有限ですよ! 大切にして創作活動頑張ってください!
◇
という訳で、ここで終わりにしてもいいのですがプロットとテンプレの考えかたを自分のメモ代わりに残しておきます。この『創作論との付き合い方』を読んで、自分のことを言われているのかなって思った方は、そんな考え方もあるんだねって受け流しておいてください。
スルーする
正解なんてない世界なんです。作品を完成させることができた方だけが後々になって評価される、そういう世界なんだと私は思っております。
◇
さて次はプロットですね。
プロットは旅の予定表だと私は思っています。目的地を決めて旅をする。博多まで行きたいと考えた(第4章結末)。東京から出発して(第1章)、大阪(第2章)と広島(第3章)で観光したい。
大阪でたこ焼き食べたい(プロット1)。広島で広島風お好み焼き食べたい(プロット2)、と予定を立てた。
でも広島風お好み焼きを食べるなら、大阪で本場のお好み焼きを食べたいと考えた。
プロット1を書き換える。大阪でたこ焼きとお好み焼きを食べる(プロット1)。こういうことを簡単に変更できるのがプロットのいいところです。
あとは好きなように予定表組んでください。あなただけの予定表のできあがりです。できあがったものがあなたが書きたい物語のあらすじです。
予定表(プロット)に個性なんてでません。でも、他に伝えたいことはいっぱいあるんじゃないですか?
個性は実際にこの旅で、あなたが登場人物にどんな世界でどう行動させてどういう結果になったか? そして登場人物が何を感じたか? さらに言えば読者様に何を感じてほしかったか? です。
読書感想文に例えれば「つまらないと思いました」って書いてる子もいれば「犬が寝ているのが面白かったです」と書いてる子もいるかもしれません。
同じものを読んだのに2人の子が感じたことがまるで違う。この感じたことが2人の子の小説に関しての個性だと私は思っています。どちらが良い悪いなんてないんですよ? 普通の人が考えつかない発想が貴重だったりするおかしな世界なんですから。
絵のように個性があればだれの作品か分かる訳でもない、というのが文章の世界です。
そっくりそのまま真似したら盗作で犯罪ですが、同じものが簡単に作れてしまう。コピペされたか自分の中からひねり出したか見分けがつかない。そんな文章の世界の個性は、あなたが小説を書いていて感じたもの、感じてほしいもの。感情や体験そのものだと思います。
個性が出るとしたら恐らくこの辺だと思います。でも読者様に何を感じてほしかったか考えて、狙い通りになれば一番いいです。それが★につながったなら最高です。
でも自分の思い通りにならないから、小説は書くのも読むのも面白いんだと私は思いますよ?
◇
あとはプロットを使う人、使わない人。どちらでもいいと思います。作品を完成させるのが、どの創作論様でも最終目標だと思って読んでます。
プロットを使わないで完成できるなら別に使わなくてもいいと思います。書き直しの作業だって、作品を実際に書いた方が登場人物の感情を理解できて、さらに良いものができる可能性はあると思うからです。
でも執筆時間が足りなくなるとか、書き直しているうちに心が折れる、失った時間を考えるとやる気がなくなる等、何かしらの壁を感じた時はプロットをお試ししてみるといいと思ってます。
プロット使わずに感情の
売れるかどうかは売ってみないと分かりませんが、それくらいすごいものだと私は思います。
あとプロットができているんだからどこから書いても自由です。何も思いつかないならそこのプロットだけ削除したらいいです。
後半を書いてたら何も書けなかったところも、登場人物の感情が分かって書けちゃうときもあるかもしれません。
それにどこにも発表してないただの予定表なんですから、自分でつまらないなと思ったら予定を全部キャンセルしたらいいと思いますよ。自分がワクワクするような新しい予定表をめざして作り直せばいいんです。
スランプの方、昔に自分が読んで面白いと思った作品を読み直して、面白さを再確認するのだっていいことです。物語を読んでワクワクした。感動した。こんな物語を作りたい! そんな過去の自分の記憶と感情は、きっと物語を作る強い原動力になるはずです。
ついでに楽しんで読み終わった後で作者目線で分析してみて下さい。(初めから作者目線で読むと楽しめませんよ!)新たな発見、もしくは創作のヒントがあるかもしれません。
また創作活動していて自分の心が闇に落ちそうになった時、人はどうしたらいいのでしょうか? 先人はこんな作品を残してくれています。『ドラゴンクエ〇ト3』です。超有名なゲーム作品です。
このゲームには遊び人というジョブがあります。戦闘中もお尻をさわってまともに戦闘をしてくれません。けれども、レベル20になったら賢者にジョブチェンジできるようになります。
これ、面白い設定だと思いませんか?
「このゲームの製作者様は遊びも突き抜けたら賢者になれるって考えてるんですよ」
なんていうお話をある友人から聞いて面白いこと考えるなーって思いました。もちろんゲームの説明書にも設定にもこんなことは語られることはありません。でも間違いなく気づいてると私も思います。遊びも突き抜けたら1つのアイデアになるんです。
闇に
自分を追い込みすぎないこと。お金に無理のでない範囲で、生きるために楽しく遊んでください。それが創作活動のためにできるお仕事の一つです。
◇
さて、皆様はプロットを作り直す工程は無駄だと思いますか? そこは作品を全て書く前に、つまらない話だなと判断できてやめることができたと考えるんです。数時間プロットで試行錯誤することによって、丸々10万字の執筆時間が節約できたと考えればすごいことだと思いませんか?
また一人旅はつまらないなと予定表の段階で思いつけば、恋人と二人っきりの旅行にしたらラブコメになりますよ、たぶん。
プロットの段階なら登場人物「彼女」って書くだけです。で、あとは彼女の設定を作るだけなんです。便利だと思いませんか?
例えば実際に小説を書き進めたのに、最終話の博多について彼女いた方が面白い話にできたかも、と思ったら全部書き直しになる可能性高いですよ。けれども、それを避けれる可能性があるのがプロットという道具という訳です。
◇
さて最後にテンプレです。これはプロットの集まりです。予定表(プロット)に個性なんて、でませんとお話をしました。(私のテンプレの認識が微妙に変わっています。気になる方は 2023年5月23日に投稿した第4話 『読まれるものを書く? それとも書きたいものを書く?』 をご覧いただければと思います。)
だからプロットの集まりにも個性はでないんじゃないかなと私は思っています。
けれども、テンプレは読者様に受けのいいことが分かっているプロットの完成形です。先人の知恵の塊です。テンプレを崩さず、いかにプロットを付け加えて自分だけの自然なお話の流れを作ることができるか?
これが作者様の実力の差が出るところだと私は思っています。
テンプレ自体とテンプレを使ってできたものは全くの別物です。800文字のあらすじを読んでもらって、これが10万字の本編と同じものですって書いたあなたは思いますか?
きっと10万字を書いたあなたは「大筋は同じでも全然、違うものです。込めた想いが違います。一度読んでみてください。きっと分かっていただけると思います」って言いたくなりませんか? それがテンプレとできあがった作品との違いです。
ですが「一度読んでみてください。きっと分かっていただけると思います」って言いたくなっても、編集者の方には禁句であることもついでに覚えておくといいと思います。プロの書籍化作家様がおっしゃっていたのを見たので間違いないです。
それに、ちょっと編集者さんの立場になって考えてみれば納得いく話だと思います。この発言って自分のために、通常業務外のお仕事を無料でお願いしているようなものです。昔ならそういうこともあったのでしょうけど、最近の公募を見た限り、持ち込み禁止の出版社さんが多いです。持ち込み禁止って書かれている以上、門前払いされても文句は言えません。お互いの印象はマイナスですよね? なので素直に公募で新人賞を目指したり、小説投稿サイトに投稿して声をかけてもらう方が、お互いウィンウィンなのかなぁと思ったりしています。
脱線しちゃいましたが、テンプレは便利なので使わない手はないと私は思っています。テンプレの大筋を変えずプロット(予定)を付け加えていくだけであなただけのプロットの完成です。
しかも読者様の受けがいいのが確定してるんですよ?
例えば年に一度くらいテンプレを使って作った作品と使ってみた感想をメモしておいて、1年後にテンプレで作った作品と感想を比べてみるのもいいんじゃないかなと思ったりします。
プロットもテンプレも便利な道具だと思います。使う使わないは自由です。使い込むのもほったらかしにするのも自由です。
◇
いよいよ結論です。
以上のことを踏まえた上で、1⃣『みんなが持っている装備品はみんなそれぞれ違うからです』と、最初のゲームの高級装備品についてみんながだした結論「装備品は好きに汁!」を思い出してください。この2つを少し変換しますよ!
『みんな持ってる知識が違うから創作論に求めるものが変わるんです』その結果、生まれる結論は恐らく
「創作論は
でも私ならこう付け加えます。
「創作論は使って自分の
以上です。
◇
何も思うところがなかったなら、全てご存じの知識だったのかもしれません。だからと言って、分からなかったとしてもあなたのせいじゃありません。それは、きっと伝える力のない私の努力不足です。でも、読んでくださった方がちょっとでも迷いが晴れた、なんていうことがあればその事実だけで私は充分です。
ではでは今回はこの辺で。何か作品作りの参考になれば幸いです。
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
ここまで読んで頂いてありがとうございます!
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気になった方は読んで頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。
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