第2話 氷 (2005:8:17)

真っ黒の部屋に、ひたひたと風呂上がりの濡れた足跡が付く。冷凍庫を開けて、適当に掴んだガラスコップに氷を投げ入れた。からりと小さな音。冷蔵庫を覗くと、橙の照明に飲みかけのサイダー。注げば炭酸が鼻先に掠って、思わず一息で飲み干した。

息継ぎするように窓を覗けば、朧げに夏の匂いがした。


ここは俺の家ではない。

知り合いの家でもない。

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