第7話 自衛隊所属45式戦闘機

 トロッコには乗ったことがある。

 加速すればするほど強い力で前から後ろへと押し付けられた、カーブでは外に向かって押し付けられた。だから乗り物ってのは速ければ速いほどそう言うのがあると思ってた。


「ええ…鳥より速いのに何も感じないんだけど…ていうか空…」

「慣性キャンセラーって言ってな、乗り物の中にかかる力を制限できるのさ。新幹線とか国鉄のグリーン車とかにも搭載されているけど初めてかいお嬢さん?」



 一人で山の中で活動していたはずなのに私の独り言に誰かが返してくる。遺物の中でも特に優れたものは意思を持つと聞いたことがあるけどこれは遺物の…この乗り物、鉄の鳥の声?気のいい兄ちゃんのような声が聞こえる。



「ええと、お兄さん?あなたは誰?」

「俺はこの戦闘機自身だ。自衛隊所属45式戦闘機、通称ヨンゴーな」

「ヨンゴーナ?お兄さんは遺物なの?」

「遺物?ちょっと聞いたことが無い言葉だな」


 そりゃそうか、遺物自身に遺物って言葉は知られていないよね。


「旧時代の価値のある高く売れるやつ。鉄の鳥なんて初めて見たし喋る遺物も珍しいしお兄さんって昔すっごく価値があったんじゃないの? …もちろん売るなんてことはしないよ!でもお兄さんは昔の…前時代が滅びる前に偉い立場にいたのかなって」


「まてまて、前時代?一体なんの話だ?鉄の鳥?俺の装甲は鉄なんかじゃ…すまないお嬢さん。どうも君の質問には答えられそうにない。センサー類が機能したいないものも多いみたいで俺にも状況がよく分からないんだ。だけど母艦まで無事に君を送り届けてみせるから安心してくれよ」


 お兄さんはそういって少しだけ外の景色が流れるのがはやくなったような気がした。さっきまで何も感じなかったのに少しだけトロッコみたいに乗り物の中にいるような圧力も感じた。



「ねえお兄さん、さっき言ってたなんとかキャンセラーだっけ?あれって今も生きているの?」

「…そうだな。キャンセラーくんはちょっと仕事を早上がりしたみたいなんだ。俺もそう遠くないうちにお嬢さんとお別れをしなきゃいけないみたいだ。もう少しだけ空の旅を楽しんでくれると嬉しいな。ほらあの雲、面白い形をしているぞ」

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