第3話 減りの早い魔除け線香 と 粗悪品のランタン



 肉体強化を使って飛ばしすぎずにスペース配分を心がけて走る走る。

 もしかしたら途中でトラブルに巻き込まれるかもしれないし余力は常に残しておきたい。こまめに休憩を取りながら私は走り抜けた。



 でね、やらかしたんだ。


 朝にダンジョンいくじゃん?

 ケガをして病院にいくじゃん?病院で待たされるじゃん?

 ワクワクしながら半日かけて走るじゃん?


 着いたら復興が放置されるくらい人気が無い山で真っ暗じゃん?


 やばい、暗い。

 魔除け線香を焚いていれば危険度はほぼ無いに等しい場所だけど走ってゴールに着いたら真っ暗なのは気分的にとても疲れてしまう。やーな感じ。

 

 テントを張ってランタンを付けてマナを温存する。

 ここまで肉体強化でコツコツ使ったしほぼ安全な場所とはいえ野営で万一があるかもしれないのでガンガン文明の利器に頼っていこう。


 テントの中でゴロンと仰向けに寝転がり。テント内を吊るすランタンを眺める。


 魔除け線香もランタンも遺物ではない。

 遺物を解析して作られた現代のアイテムなのでお金さえあれば手に入るのだ。

 お金が無いのでその中でも粗悪品の部類だけどね…


 粗悪品っていったって魔除け線香はちゃんとしたやつより燃えやすくて短い時間で燃焼してしまうけど量を使えばいい話だし。それでも安い。

 ランタンは壊れやすくて運が悪いと打ち上げ花火みたいにテントの屋根でパーンと飛び散る。けど1年使ってもそうなったことは無いのでずっと使い続けている。

 打ち上げ花火…トウキョウだとあるらしいけどどんなのかなぁ。



パーン!



 ランタンが砕け散り爆散しテント内を一瞬だけ強く明るく照らしその生涯を閉じる。

 なるほど、これが打ち上げ花火かー。寝る前にいいものをみたなー。



「って良い物じゃないよ!明日からどうしよう…!」



Qここで問題です。そばかす褐色冒険者少女ブランちゃんは2週間分の食料をもって山に来ました。初日にランタンが壊れました。明日からどうすればいいでしょう?


A医者「無駄に危険な事やめよ?」



 いかんいかん。脳内医者から怒られる。これで山でケガをして病院に行ったら今度は何を言われるか…!!





 そうだ。山ならヒカリゴケがあるんじゃないか?

 ヒカリゴケっていうのはマナを吸ってそれを灯りに変えて。寄ってきた虫や動物が生存競争になるのでその死骸で育つなかなかタフな植物だ。

 土ごと回収すればテント内で灯りになるかもしれない。さすがにランタンほど明るくないだろうけど魔除け線香とセットで2週間なんとかなるじゃないだろうか?よし、ライトの魔法を使わずに外をうろつけば明るいから目立つだろう流石私だ。災い転じて福となす。さて暗いままテントの外に出「あいたっ!!ランタンの破片危なっ!?」


 ライトの魔法で灯りを付け、テント内の掃除をしてから外に出た。

 もちろんライトは発動しっぱなしだ。夜の山で照明無しとかそんな危険な真似はできませんよ。

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