第2話 名誉の負傷
「あー…こりゃ脱臼だね」
でっぷり太ったちょびひげの白衣のおじさんは私を脱臼と診断した。
狭い隠し通路の先に進もうとした私は負傷をし撤退をよぎなくされた。
「は?あの通路の奥に行こうとしたの?昔から代々子供の秘密基地になっているんだよあそこ。10歳以下くらいじゃないと通れない程狭かったでしょ?だーめだよ無理に体ねじ込んじゃ…」
言葉の節々になにしてんの君と言わんばかりのニュアンスを込めてそう言われた。
少なくとも脱臼するまで頑張ることじゃなかったよね?とそう締めくくられた。
いや、だってもしかしたらスタンビードは発動するとんでもない罠とかあったかもしれないしさ?ソロで挑んでも仕方ないよ、子供の遊び場だったけど。
「いいかい?ダンジョンは基本的に危険なんだ。今回脱臼したあとに味方も居ない状況…ってのが15層以下だったら本当に危険だったんだからね?ちゃんと頼れる仲間と一緒に行動するんだよ?脱臼したあと今ハメなおして回復魔法もかけたから痛みは無いだろうけど2週間はダンジョン潜るの禁止ね。ちょっと頭を冷やして仲間のありがたみを思い出しなさい。スタンビートになる罠とか10階より手前じゃ発見されたことが無いんだから」
くどくどくどくど。
白衣のおじさんのありがたいお説教を右から左へ受け流してお金を払って外に出る。
病院に運ばれた冒険者は体が治っても、ケガをした分が悔しくて無謀に再突撃をして死亡率が高いとかでお医者さんにはダンジョンの再突入を制限する権利があるのだ。
だよねー5階までは10歳そこらでも降りられる子もいるのに、3階で狭い通路に気づいてウキウキしてた私はなにやってるんだろうか一体…
「はー…お宝だと思ったら子供の遊び場で、収入だと思たら出費になっちゃったよ…」
ボヤきたくもなる話である。
ついでにいえばこの町の孤児院で育った私が知らないということはおそらく孤児院をハブってる他所の子たちの遊び場だろう。くそう、遊び場は共有してくれよ。ハブられた孤児院の子はこんな風に不幸になるんだぞ。
ダンジョンがダメって言われたら仕方ないのでダメ元で地上を探索してみよう。ずーっと昔に地上で発見できる遺物は枯渇したって言われてて、ダンジョンなら遺物が手に入りやすいし地上を探す人なんて今やいないからね。
もしかすると長年放置されて自然災害で地形が変わって何か地面から露出したりしているかもしれない!そうだ、そんな気がしてきたぞ!
ワクワクした勢いのまま私は2週間ほどキャンプをできる用意をして町の外に旅立つのであった。
目指すは5日前に地滑りが起きて絶対に近寄るなと言われて復興は後回しにされて放置された部分的なハゲ山だ。肉体強化をしたまま走れば半日ほどで着くでしょ。
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