底辺ハンターのリベンジダンジョン！～モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います～

第十六話 弱点発見！

「これがD級ダンジョン。圧が違うね」

「そうだな。それより、ここで何をするんだ？　モンスターは、さっきの人たちが倒すからモンスターはいないぞ？」

「チッチッチッ、考えが甘いわね」

　優羽（ゆう）は、自信ありげな顔をして言う。

　俺は少しムカッとしたが、可愛いので許すことにした。

「どういうことだよ」

「まあ、いずれわかるよ。いこっ！」

　そうして、何も教えてくれずにダンジョンの奥へと進んでいく。

　しばらくの間歩いていると、

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「後ろからモンスターの鳴き声が聞こえる⁉」

「来た来た」

「そういうことか！」

　優羽（ゆう）の狙いは、後から湧いてくるモンスターだった。

　初めて行ったダンジョンで、いつの間にか俺たちはスライムに囲まれていた。

　それは、後ろからモンスターがやってきたからなのだ。

　理由は分からないが、ボスを倒すまでは次々にモンスターが湧くのだろう。

　優羽（ゆう）は、それを覚えていたため、この作戦を思いついたのだ。

「わかった？　私って、天才かも！」

「スゴイナー」

　優羽（ゆう）が自画自賛していたので、面倒くさくてそれを軽く流した。

　まあもちろん可愛いのだけど。

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「これは、『ヒト族』だな。もちろんこいつを倒す作戦は、考えてるんだろ？」

「あ……」

「ん？　考えてるんだよな？」

　俺は、作戦を優羽（ゆう）に尋ねたが、ちゃんとした返事がない。

　俺は、不安になりながらも、もう一度だけ尋ねてみた。

「ダンジョンに入ることで頭がいっぱいになってて忘れてた！」

「おいおい、マジかよ……」

　まさかとは思ったが、本当に見切り発車だったとは思ってもいなかった。

　まあそうだろう。急に飛び出してきたのだから。

「仕方ないな。レベル上げしたいし、俺が戦ってみるよ」

「ごめん、ありがとう」

　俺は、澄ました感じでモンスターの方へと一歩前に出た。

「これでスキルが試せるぞ！　やっひょーい！」

　正直、スキルを試したくてウズウズしていたのだが、そんなダサい姿を優羽（ゆう）に見せられる訳がない。

　そして、ちょうどいい感じの雰囲気になったので、上手く戦いに入れた。

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「敵は多分ゾンビだから、消し飛ばさないと甦るからねー」

「おっけー。任せて！」

　敵モンスターは、『ゾンビ』だ。

　こいつは、ホラーでよく出てくる姿のままだから、能力も同じだろう。

　ゆっくりと近づいてくるゾンビに向かって、スキルを使う。

「スキル【炎爆（フレイムバースト）！】」

　―バァーン！

　俺がスキルを使うと、凄まじい威力で爆発した。

「すごー！」

「これを、俺が放ったのか……」

　俺は、自分のスキルをみて感動していた。

　優羽（ゆう）も目を輝かせながら驚いていた。

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「うわっ！　まだ生きてるじゃん！」

「ギリギリ倒しきれなかったか」

　ゾンビは、身体のあらゆる所が千切れかけており、皮一枚で何とか引っ付いているという感じだ。

　しかし、それでも痛みを感じないのか、再び迫ってくる。

「一発で倒せないのか。なら、あれを試してみるか！」

　俺は、使えるかわからない攻撃を試してみることにした。

　万が一失敗しても、優羽（ゆう）が助けてくれるだろう。

「行くぜ！　連続スキル【炎爆（フレイムバースト）×4（モーティプルフォー）！】」

　―ババババァーン！

「よし、上手くいった！」

「四発連続ってすごー！」

　俺は炎爆（フレイムバースト）を四連続で使い、火力を底上げした。

　初めてで上手くできるかわからなかったが、完璧に決めることができた。

　次第に煙が掃けていく。

「アイテムがドロップしてる。倒せたみたいだな」

「D級ダンジョンもこれなら大丈夫そうだね！」

「そうだな！」

　そして、ゾンビは跡形もなく消え去った。

　アイテムが落ちていたため、倒せたと分かるが、何も落ちていなかったら不安になってしまう。

　―ピコンッ

　～～～～～～

　経験値を100獲得しました

　レベルが10上がりました

　レベル11/15　次のレベルまでの必要経験値150

　体力　　11/15

　打撃力　11/15

　防御力　11/15

　魔力　　11/15　

　瞬発力　11/15

　～～～～～～

「レベルアップで確認ができて便利だな」

　不安はすぐに解消された。

　俺たちは、自信満々に進んでいく。

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「おっ、出てきたな！　お前なんかもう余裕だぜ！」

　気持ちに余裕ができ、完全に相手を舐めている。

　そうして、さっきと同じように連続でスキルを発動させようとする。

「これでくたばりな！　連続スキル【炎爆（フレイムバースト）×4（モーティプルフォー）！】」

　……

　……

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「何も起きないよ？」

「なんでだ⁉　もう一回だ！」

「連続スキル【炎爆（フレイムバースト）×4（モーティプルフォー）！】」

　……

　……

　―ゔ、ゔゔぁ、ぁ

「やっぱり何も起きないね」

「や、やばいぞ！　なんでなんだ⁉」

「スキルだから、使用制限とかがあるんじゃないの？」

　俺は慌ててステータスを表示する。

　～～～～～～

　炎爆（フレイムバースト）｜　次、使えるまでの時間　2:36:03

　～～～～～～

「本当だ……」

　優羽（ゆう）が言っていたように、使用制限が表示されていた。

　俺は、一気に落ちていくような感覚に襲われた。

　これじゃあゾンビを倒せない。

　どうしようか焦っていると、

「私に任せなさい！」

「ゆ、優羽（ゆう）⁉」

　優羽（ゆう）が自信満々な様子で俺の前に立つ。

　その姿は、とても頼もしかった。

　―パチン！

　―キランッ！

　優羽（ゆう）が指を鳴らすと、魔法使いの服へと変わった。

「魔法戦士ゆーちゃんに任せなさい！」

　優羽（ゆう）は、ノリノリでアニメのようなポーズをする。

「かわいい……」

　俺は、その姿を目に焼き付けることで精一杯になっていた。