第十五話 最高の仲間
―ピンホーン
「……」
「やっぱり出ないか……」
俺は今、
あの日から家に引きこもっているので、心配になる。
やはり、まだ心の整理ができていないのだろう。
「食べ物置いとくから、ちゃんと食えよ」
聞いているがわからないが、玄関のドアノブに食料の入った袋を掛ける。
そうして、自宅へと足を進めようとした時……
―ガチャ
「ん?」
俺の背後から、ドアの開く音が鳴った。
そうして、弱々しい
「
「よう。元気……じゃあないよな」
「……」
「……」
俺は、かける言葉が無く、気まずい雰囲気が流れる。
「……少し、時間ある?」
先に沈黙を破ったのは、
俺は、少し片言になりながら答えた。
「あ、う、うん」
そうして、家の中へと入っていく。
部屋の中は、何もなく、生活感が全くなかった。
「座ってて。飲み物を入れるから」
「うん。ありがとう」
そうして、俺は背の低いテーブルに対して、
そうして
―カチャン
「どうぞ」
「ありがとう」
そして、
「……」
「……」
再び、沈黙が流れる。
「何か話があるのか?」
俺は、思い切って聞いてみることにした。
「……うん。ハンターのことなんだけど……」
「ハンターのこと?」
「うん。
「どうするって?」
「えっと、高ランクのダンジョンを目指すのかとか……」
俺は、辞めたいとか、行きたくないとかかと思っていた。
「ああ、俺は、もっと上を目指すよ」
「上って、もう
当たり前の反応をされた。
それもそうだ。
「これを見てよ」
そうして俺は、自身のステータスを表示した。
「役職、『覚醒者』? それに、スキルも最大能力値も増えてる……」
「そうなんだ。これからもっと頑張れば、上を目指せる」
「すごい、いつわかったの?」
「昨日のダンジョンでだよ」
「ダンジョンに潜ったの⁉」
「うん。一人で行ったんだけど、オークが出てきてさー」
「一人で⁉ しかも、オーク⁉」
三段階で驚く姿を見ると、少しは元気が出てきたように感じられる。
「そうだよ。死ぬかと思ったよー! でさでさ……」
そうして俺は、昨日の出来事を話した。
次第に
「本当に凄いね! アニメの世界じゃん!」
「俺も本当にビックリしたよ。それで、
笑顔で話す
―ドンッ!
「わぁ⁉ 急にどうした?」
急に
「今からダンジョンに行こうよ!」
「ちょっ、なんで急に⁉」
俺は
そして、ダンジョンがある場所へと走っていく。
「
「ハハハッ! いいじゃん! 頑張ろうぜ!」
突然の
俺は、これからの道のりが楽しみでワクワクしていた。
「よし、着いた!」
「着いたって、ここはD級ダンジョンだぞ? 俺らは入れないぞ?」
着いた場所はD級ダンジョンの近くの物陰で、ゲートの前には監視員が立っている。
俺らが入れるはずがないのに、どうしてここに来たのかがわからない。
「来た来た」
「これからダンジョンを攻略するチームか?」
そこに、五人組のハンターがやってきて、監視員と話してダンジョンに潜っていった。
すると、監視員はどこかに行ってしまった。
「おい、もしかして……」
「えへへ! 行こ!」
「おい! マジかよ……」
後を追って、俺もついていく。
「『早く高みを目指すなら、多少の無理をするしかない』ってことだろ? まあ、賛成だな」
D級ダンジョンには、これまで以上の強敵が待っている。
しかし、俺たちにとって、これは過程にしか過ぎないのだ。
そうして、俺たちは、ゲートの中へと吸い込まれていく。
―キュゥゥゥゥ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます