第十三話 覚醒
夜が明けると、モンスターたちはゲートの中へと帰ったらしく、そのゲートは消えたそうだ。
そして、避難していた者たちは、地上に出ることができ、それぞれが活動を始めた。
俺と
避難所にいた時に『
俺は、話していた男性二人に声を掛け、詳しく教えてもらった。
~~~~~~
ダンジョンにはゲートがあり、それには、モンスターが外に出ないためのバリアのようなものが張られている。
そのバリアの効果は、ダンジョンの出現から一週間前後しか持たない。
『
しかし、今回の
それは、突如、上空にゲートが現れたと思うと、すぐにモンスターが中から出てきたのだ。
そのため、ハンターが来るのに時間が掛かり、結果的に多くの被害を生んでしまった。
~~~~~~
「まずは、家に行くか」
「お兄ちゃん、どこ行くの?」
「ちょっと出かけてくるよ。ここで待ってて」
「わかった……」
俺が家を出ようとすると、起きたばかりの《ルビを入力…》が、寂しそうに声を掛けてきた。
俺は、家に《ルビを入力…》を連れて行くといけないと思い、待っててもらうことにした。
そうして、一人で家へと向かう。
「やっぱり、みんな作業してるな」
何処の家を見ても、瓦礫の撤去作業をしている。
そんな様子を見ていると、すぐに家に着いた。
「今って、瓦礫が軽くなってるんだよな」
これも避難所で聞いたことなんだが、あるハンターの魔法で、瓦礫が軽くなっているそうだ。
多少、疑いつつも、昨日持ち上がらなかった父さんの上にある瓦礫を持ち上げてみた。
―スッ
「本当に上がった⁉」
本当に軽くなっており、びっくりする。
そうして、瓦礫をどけながら必要なものを探した。
最後に、原形を留めていない父さんと母さんの遺体の始末をして、作業を終えた。
そして、配給を貰ってから《ルビを入力…》の待つ家へと戻った。
その日は、ダンジョンについて勉強し、ゆっくりと休むことにした。
そうして、次の日の朝早く、俺はダンジョンへと向かった。
基本的に、ダンジョンにはランクやその他の条件を満たしているかを確認する監視員がいる。
しかし、Eランク級のダンジョンは死ぬことがほぼないため、監視員も配置されておらず、一人でも潜ることができる。
俺は、そこへ一人で向かった。
「俺は、強くなるんだ!」
その他の人は、雑魚の俺をチームに入れてくれないので、一人でEランク級ダンジョンに潜る。
―キュゥゥゥゥ!!!
「ふぅ、大丈夫だ。落ち着いていこう」
俺は、深呼吸をして心を落ち着かせると、奥へと進んでいく。
―チャプン
「よし、出たな! 対策は十分にできてる」
目の前に現れたスライムに対して、俺は棍棒を持って対峙する。
そして、構えを取り、タイミングを伺うように相手の動きを見る。
―チャプン、チャプン
「まだだ、ちゃんと待って」
―ピュン!
「今だ! おりゃぁぁぁぁ!!!」
―バチャン!
スライムが攻撃してくるタイミングで、カウンターを狙うように攻撃をすることで、足りない力をスライムからの力で補ったのだ。
そうして、一撃でスライムを倒すことができた。
「よっしゃ! どんどん行くぞ!」
そうして、次々に出てくるスライムを全て一撃で倒し、奥へ奥へと進んでいく。
―バチャン!
「そろそろボスが出てくるな」
―ギィー!
「やはり、ボスはゴブリンか。少し大きいが、一体のようだな」
ボスとして出てきたのは、前回と同様に棒を持った魔族のゴブリンである。
前回よりも少し大きいのが気になるが、問題は無いだろう。
「ゴブリンもちゃんと対策を考えてきたぜ!」
―ヒュゥン!
俺は、背中にかけていた刀を取り出した。
この刀は父さんの宝物で、昨日家に行ったときに持って帰ったものだ。
―ギィー!
「単純な動きだけで助かるよ」
ゴブリンは、力は強いが頭が悪いので、直線的な攻撃しかしてこない。
そのため、攻撃を回避した後にこの刀で首を断ち切る。
力の弱い俺でも、ゴブリン程度であれば何とか切れるだろう。
―ビュゥン!
―ギィ⁉
「よし回避は成功だ! 後は首を斬るだけだ!」
ゴブリンは、空ぶった影響でその場に止まっている。
そして、俺はゴブリンの背後にいる。
確実に切ることができる。
「これでダンジョンを攻略できる! おりゃぁぁぁ!!!」
―ビュッ、
「……え? 刃が通らない……」
全力で振り回した刀は、首に引っかかっただけで断ち切ることはできなかった。
―グルゥゥゥ
「もしかして、こいつ、オークなのか⁉」
俺が気になっていたことが、ただの勘違いでないとハッキリした。
俺が今、相手にしているのは『オーク』だ。
『オーク』は、ゴブリンの進化系であり、格段に強くなる。
本では、Cランクダンジョンのボスとして出てくるので、本来ならばこのダンジョンにいるはずがないのだ。
―ドガァァン!!!
「グハッ……」
俺は、棒で頭を叩かれ、そのまま地面に叩きつけられた。
その威力は段違いで、意識が朦朧とする。
「やっぱり、俺は、みんなを守れないのか……」
薄れていく意識の中で、自分の弱さを恨む。
―ギュアァァァ!
狭い視界の中で、オークが腕を上げて振りかぶっている様子がわかる。
そして、俺は、死を覚悟する。
「みんな、ごめん……」
―ピコンッ!
諦めた瞬間、頭の中で通知音のようなものが聞こえた。
「……これは、なんだ?」
すると、そこにはある画面が表示されていた。
~~~~~~
覚醒条件を満たしました。
覚醒をしますか?
<はい> <いいえ>
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