第一話 ダンジョン

「これでダンジョン攻略だな。みんな、無事か?」


『ダンジョン』それは突如、人間世界に出現した謎の多い洞窟。

 そんなダンジョンの出現と共に、人々の生活は一変した。

 ダンジョンから得ることのできるアイテムによって、医療の発展や環境の保護などの多くの良いことが得られるようになった。


「はぁ、はぁ、もう限界だ」

「大丈夫か⁉ 早く手当てを!」


 しかし、良いことの裏側には多くの人々の苦労や犠牲がある。

 それは、『モンスター』と呼ばれているダンジョンに潜む怪物の様な存在によるものである。

 モンスターには『スライム族』・『ヒト族』・『ケモノ族』・『魔族』と四つのタイプに区分けがされている。

 これは大きな区分けであり、タイプごとにさらに細かく分けられている。



『スライム族』とは、液状の自身の身体を自由に変形させることによって戦う。

 このスライム族は、どれも同じ特徴しか持たないので、タイプの中で唯一、区分けがされていない。

 スライム族のモンスターは、身体が液状であるため攻撃力が非常に弱く、四つのタイプの中では最弱である。


『ヒト族』は、名前の通りで人間の様に二足歩行をするモンスターのことを指す。

 この区分では、知能を持たない『ノーマル』と反対に知能を持つ『インテリ』の二つに分けられている。

 もちろん、知能を持つ『インテリ』の方が強い。

 ヒト族のモンスターは力は弱いが、自由自在に身体を操ることができるので、スライム族よりも強いが、他の区分よりは弱いという立ち位置にいる。


『ケモノ族』は、一言で言うと動物の様なモンスターだ。

 鳥の様なモンスターを『鳥獣ファルコ』。オオカミの様なモンスターを『狼牙ボルク』など、他にもたくさんの種族が存在する。

 獣の感と、高い知能を持つので人間たちは苦戦を強いられる。

 ケモノ族は、二番目に強いが、種類によっては魔族を超えることもある。


『魔族』は、莫大な魔力を持つモンスターのことを指す。

 魔力とはモンスターの力の源となる生命エネルギーである。

 これまでの三つのタイプも、魔力は持っているのだが、魔族の魔力量とは比べ物にならない。

 そのため、モンスターの中で頂点に君臨し、圧倒的な力でハンターたちに襲い掛かっている。

 魔族のモンスターに関しては、戦いに勝つことすら難しく、生きて帰ってくる者がごく僅かであるので、情報がほとんどない。



 モンスターは、発見されているだけでも一万種類以上存在し、未だに発見されていないのもいる。

 そんなモンスターがダンジョンに入り込んだ人間を襲ってくるのだ。


「グゥー」

狼牙ボルクか。まだ残っていたのか」

「グワァー!」


 ―ビュン!


「グゥゥゥ……」

「これで全部片づけれたな」


 ダンジョンを放置していると、放出リリースが起こり、中からモンスターが出てきて、人間に被害を及ぼしてしまう。

 それを防ぐために、ダンジョンに潜り凶暴なモンスターを倒すのが『狩人ハンター』と呼ばれる人間だ。

 ハンターは、普通の人間よりも身体能力が高く、特別な『ステータス』というものを持っている。

 その与えられた強力な力でモンスターと戦い、ダンジョンを攻略しているのだ。


 そんなかっこいい職業のハンターだが、学生からの人気は絶望的に低い。

 それは、学生ハンターは生活のほとんどをダンジョン攻略でつぶれてしまうからである。

 そして、ハンターは高校一年生の時の適正検査で選ばれた者しかなることができない。

 大抵の人がハンターとは無縁の楽しい学校生活を送る。


「じゃあな、俺の青春……」


 俺も、そのハンターとは無縁の生活を送ると勝手に決めつけていた。


「ハンター適正、ありです!」

「よっしゃぁぁぁぁ!!!!!!!」


 そして、いつの間にかとてもちっぽけな理由で、青春という名の高校生活を捨て、ハンターになることを望んでいた。

 あの時の俺は、こんなことになるなんて思ってもいなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る