底辺ハンターのリベンジダンジョン!~モンスターに全てを奪われたので、雑魚の俺が最強の役職『覚醒者』を駆使して復讐しようと思います~

近度 有無

プロローグ

「この扉の先に奴が待っているようだね」

「そうね。これで全てが終わるわ」

「行こう。人々の平和を守るために!」



 ―ガチャン!


 青年はあの時の光景を思い出していた。

 ずっと青年の脳裏に張り付いている、最低で最悪な日の光景だ。


 ~~~~~~


「キャー!」

「助けてくれー!」


 ―ドガァァン!!!


「ハハハ! 何と素晴らしい光景だ!」


 青年の住む街全体を、モンスターが滅茶苦茶にしている。

 どれだけ逃げ回っても、モンスターからは逃れられず、結局は殺されてしまう。


「パパ! ママ!」

「……っ、ああぁぁぁぁぁ!!!」


 親を殺され、一人だけ生き残った子供たちや、その逆の親たちの泣き叫ぶ声が多く響き渡る。


「父さんのことはいいから、逃げなさい」

「っ……ぅ……おにぃぢゃん! お父さんとお母さんを助けてよ!!!」

「っ、ごめん……」

「おにぃぢゃん!」


 青年とその妹もその中の一人である。

 しかし、青年はモンスターを倒すハンターだった。

 それなのに、両親を助ける力を持っておらず、逃げ回ることしかできなかった。


「っ……絶対に強くなって復讐してやる……」

「そして、この世界を悲しみの声が無い、平和な世界にしてやる!」


 この日の出来事は、青年の頭の中に嫌というほど強く残っている。



 ~~~~~~



「お前だけは、お前だけは絶対に許さない!!!」


 その時に心に誓った『平和』と『復讐』の戦いが今、始まろうとしている。


 この物語は、一人の底辺ハンターである青年が『復讐』と『平和』のために全力で戦い、成長していく物語である。



 ◆



「明日は高校の入学式だー! 早く寝ないとなー!」


 ―ザッ


「明日が楽しみだー! ガァー! スゥー ガァー! スゥー」


 その青年は、自分がこの物語の主人公になるとは知らずに、呑気に眠りに着いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る