第2話 コロポックル先輩救出チームの冒険
人喰い書庫内部にある自由スペース、類田の酒場。普段は暇な大学生が集まる憩いの場が緊張感に包まれていた。これからコロポックル先輩を魔王ヘルバーンから救出するコロポックル先輩救助隊の出陣式が行われるからだ。
「只今からコロポックル先輩救助隊の出陣式を行います」
類田ブックセンター会長の挨拶が酒場から響き渡ると暇な大学生から歓声が響き渡った。ちなみに大半の参加者はイベントごとに飢えた大学生だ。やれやれハロウィンパーティのポスター作成がこんな大事になるとは思っていなかった。
「まずは救助隊の発起人の野田くん」
「どうも……」
俺は適当に挨拶した。
「魔術研究サークルに所属している狩野さん」
魔女っぽい格好をしている狩野さんが静かに会釈した。
「悪魔祓いの一族の末裔の田沼くん」
田沼くんはにこやかに挨拶をした。
「いつの間にか人喰い書庫に棲み着いたゴースト、クーデリカ」
ゴーストの少女は手を降って無邪気に手を振った。
「以上4名がコロポックル先輩救助隊のメンバーです。無事にコロポックル先輩を救出して戻ってください」
類田ブッククラブ会長の言葉を胸に俺たちは魔王ヘルバーンが住んでいる人喰い書庫の奥地に向かうのであった。
◆◆◆◆◆
情報筋によると、魔王ヘルバーンは人喰い書庫の下層地下13階に拠点を構えているらしい。俺たちはエレベーターで地下13階まで降りてきた。
「ここから先は魔王ヘルバーンが支配する敵地、気を引き締めていこう」
田沼くんが救出チームに声をかけた。地下13階のフロアは薄暗くいかにも魔王が支配する領域を演出していた。
「間接照明ぐらいは用意しろよ」
俺は魔王ヘルバーンに毒づいた。まぁそんなことを言っても始まらないのだがあまりにも部屋が暗すぎて人間のことを考えていないように見えるので、つい毒づいてしまった。
その時、館内アナウンスが暗いフロアに鳴り響いた。
『暇な大学生諸君、ようこそ吾輩の支配する地下13階へ……コロポックル先輩を救出しに来たようだが、おいそれとコロポックル先輩を返すわけにはいかない……我らがヘルバーン四天王を倒し吾輩の場所までやってくるがよい』
「どうやら……行くしかないようですね」
狩野さんは救出チームの顔を見渡した。
「とりあえず進むしかないだろ」
俺たちは意を決して暗いフロアを進んでいった。
◆◆◆◆◆
薄暗いフロアは曲がりくねった迷路のようになっていて、俺たちは何度も迷子になりそうだった。コンパスはどういう仕掛けなのか分からないが磁場か狂っていて正確な方角がわからないようにしていた。おそらく魔王ヘルバーンの仕業だろう。ふらふらとフロア内部をさまよっていると広い場所に出た。そこには人影がぽつんと立っていた。
「ククク……勇者よ、よくぞここまでやってきた。しかし貴様らの冒険はここで終わりだ。ヘルバーン四天王のミノタウロスによってな!」
ヘルバーン四天王、ミノタウロスは不敵に俺たちの敗北を宣告した!
「ミノタウロス……こいつが魔王ヘルバーンが言及していたヘルバーン四天王か」
「どうやら……対決は避けられないようですね」」
ざわつき出した俺たちにミノタウルスは不敵に笑った!
「誰から俺と戦う……来た順に返り討ちにしてやる!」
ミノタウルスはやる気満々だった。俺たちコロポックル先輩救出チームに緊張が走った!
「では私が出ましょう」
狩野さんがミノタウルスの前に出た。
「私はお絵描き魔術の使い手……いでよクエレブレ!」
狩野さんが懐からタブレットを取り出すとタブレット画面からドラゴンが飛び出した! 突然の出来事にクーデリカは驚いた!
「迷宮の番人であるこのミノタウルスにドラゴンを召喚した対抗するとは片腹痛いわ! 返り討ちにしてやる」
ミノタウルスは背中を担いだ斧でクエレブレを斬りつける!しかし、クエレブレはノーダメージだ!
「クエレブレは鋼のように硬い鱗を持っています……クエレブレ、火炎放射よ!」
狩野さんはクエレブレに攻撃を指示した。クエレブレは火口から炎を吐きミノタウルスを焼こうとする!
「ぐぬぬ……心頭滅却すれば火もまた涼し!」
ミノタウルスは火炎放射を耐える!そこにクエレブレは丈夫なドラゴン腕でパンチした!
「グワーッ!」
ミノタウルスは重い一撃にノックダウンした!
すると不思議に曲がりくねった迷宮みたいなフロアが変化し眼の前に扉が開いていた。
「これはどういうことだ」
「おそらくミノタウルスの能力でこのフロア全体が迷路と化してたのでしょう」
田沼くんは静かに解説をした。
「まぁ、とにかく次のフロアに進もう」
俺は次のヘルバーン四天王と戦うために次のフロアに進むのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます