第15話(2) ボウリング
土曜日。早坂家で一緒に朝食を取った後、私とソフィアちゃんは電車を乗り継ぎ、二人でボウリング場に向かう。
ボウリング場の
そんなこんなでソフィアちゃんの家から五十分程の時間を掛けて、ボウリング場の最寄り駅に到着する。
駅を出て、辺りを見渡す。
探すまでもなく、お目当ての建物はすぐに私の視界に入った。
大きな物なので、嫌でも目立つ。
ソフィアちゃんと連れ立って、私はその建物の方に歩みを進める。
歩く事数十秒。私達は早くも、ボウリング場の敷地に足を踏み入れた。
広大な駐車場の向こうに、白く巨大な四階建ての建物が建っていた。あれこそが私達の今日の目的地スタンボウルだ。
建物内にはボウリング場の他に、ダーツやビリヤード、ゲームセンター等の遊戯施設が入っているらしい。前者はともかく、後者には後で行ってみてもいいかもしれない。
駐車場を抜け自動扉を潜ると、案内板に従いエレベーターを使って二階に上がる。
程なくして、エレベーターが二階に到着した。
扉が開――いた瞬間、音が波のように私達を呑み込んだ。
BGM、マイク越しのスタッフの声、人の話し声、笑い声、ボールの走る音、ピンが倒れる音……。様々な音が混ざり合い、大きな
ちらりと、隣に立つソフィアちゃんの様子を
ソフィアちゃんは目の前の光景に圧倒されているのか、少し驚いた表情を浮かべていた。しかし、その中には確かに期待の色も見て取れて……。
「行こ。ソフィアちゃん」
ソフィアちゃんの手を取り、私は受付へと進む。
受付を見様見真似でなんとかこなし、まずはシューズを取りに行く。
シューズの貸出機の所に移動すると、私はソフィアちゃんの方を振り返る。
「自分の
あえてふざけた感じでそう私は、シューズの借り方をソフィアちゃんにレクチャーする。そして実際にやってみせる。
「こんな感じ? 分かった?」
「もう
ボタンを押し、落ちてきたシューズを取り出す。
「おー。完璧」
「だ、か、ら、子供じゃないって」
と言いつつも、
「じゃあ、とりあえずレーンに向かおうか」
まだボウリングのボールも選ばなければいけないが、シューズと同時にはさすがに持てない。
受付で渡された札に書かれた番号のレーンに向かう。
七レーン、七レーン……あった。
上部に設置されたモニターには、いおとソフィという文字が二つ縦に並んでいた。
登録名を記入したのは私だ。
最後の一文字まで入れるか一瞬悩んだが、結局愛称っぽく見えるので入れずにィのところで止めておいた。
椅子に腰を下ろし、靴を
シューズのデザインがダサいのは、盗難防止らしい。これはこれで好きな人もいそうだが、続いているという事は効果があるのだろう。
「よし。じゃあ、ボールを取りに行こう」
向かいに座ったソフィアちゃんが靴を履き替え終えたタイミングで、私は立ち上がりそう声を掛ける。
「どのくらいの重さがいいの?」
遅れて立ち上がったソフィアちゃんが、私にそんな事を聞いてくる。
「うーん。大体十ポンド前後っていうのが相場かな」
確か、自分の体重の十分の一の重さのボールを選ぶといいと、何かで聞いた気がする。
ボウリングの場合、ボールの重さはポンド表記。一ポンドがおよそ〇.四五キロなので、十ポンドは約四.五キロ、そこから一ポンド毎に〇.五を増減させればいい。
というわけで、その辺りのボールが並んだゾーンに足を運ぶ。
「ソフィアちゃんの体重は五十キロだから――」
「そんなにないわよ」
背後から、ツッコミという名のチョップをくらう。
ソフィアちゃんの体重は四十キロ台。
知ってどうするという話ではあるが、ソフィアちゃんの情報は例え体重であろうと貴重だ。
……何かの役に立つ事はおそらくないだろうけど。
重さについては持ってみてもよく分からなかったため、とりあえず私は九ポンドの物をソフィアちゃんは十ポンドの物を選択した。
まぁ、投げてみて重たかったり軽かったりしたらまた換えに来ればいいだけの話だし、まずはこれでやってみよう。
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