簡単なあらすじ2(ネタバレあり)

【第二部】


 夏休みのある日、いおはソフィアに誘われて彼女の祖母の家に行く事に。なんでも両親が急に一緒に行けなくなり一人で行くのは心細いという事で、それならといおにおはちが回ってきたらしい。


 ソフィアの祖母――ライラの家は隣県りんけんの田舎、その更の山奥にあった。ライラはそこにソフィアの従姉の望愛みあと二人で暮らしていた。


 大きな家と田舎の生活を満喫するいお。水着での川遊び、旅館のように立派なお風呂でのはだかの付き合い。非日常な空間も相まって、二人の距離はわずかに、しかし確実に深まっていった。



 八月の初旬に行われる夏祭りに、いおとソフィアは一緒にやってきていた。少し前に買ったお互いが送り合ったおそろいの髪飾かみかざりりを二人共に挿して。


 出店を十分堪能して花火の会場に向かおうと移動を開始した直後、いおは自分の髪から髪飾りが無くなっている事を知る。その事実に慌てるいお。そして気付く。思っている以上に自分が、ソフィアから送られた髪飾りを大切に思っていたのだと。


 今来た道を引き返し、必死に探すも髪飾りは見つからない。そんな中、いおにラインが届く。差出人はクラスの陽キャ女子であるさくら。いおの髪飾りらしき物が本部に届いているという。彼女はいおと数十分前に会っており、髪飾りをしている姿を見ていた。


 本部に向かい、無事髪飾りをその手に取り戻したいお。桜にお礼を言い、いおとソフィアは当初の予定通り花火会場に。


 花火が上がるのを待つ間、いおは隣に立つソフィアに対する自分の思いを確認する。それはただの友達に対したものではなく、特別な存在に対するものだと。まだその思いに名前を付けるのは怖い。だから今は名無しのままでいい。花火が上がる。その光景を綺麗きれいと言うソフィアの横顔に、いおも同じく綺麗と言う。だけど、その言葉は花火の上がる夜空に向けたものではなく、隣に立つソフィアに向けたものだった。



 二学期が始まり、体育祭の時期が近付いていた。いおは中学校時代に陸上部に所属していた事もあり、走り幅跳びとスェーデンリレーに出場する事に。ソフィアは同じく中学時代に陸上部に所属していた事もあって、百メートル走とスワェーデンリレーに出場する事になった。スワェーデンリレーの他のメンバーは、桜と文化祭以降なぜかいおになついている紗良紗さらさ


 四人での合同練習やソフィアによる個人練習をて本番当日。個人種目を、いおは二位、ソフィアは一位で終える。昼休みを挟み、いよいよ最終種目であるスワェーデンリレーを迎える。


 いおのクラスは、この種目の結果次第では優勝が可能な位置に付けていた。一走の桜は、ぶっちぎりの一位で二走の紗良紗にバトンを渡す。しかし紗良紗はバトンを持ち変える際バトンを落としてしまい、拾っている間に順位は三位まで後退。申し訳なさから紗良紗は泣きながら、三走のいおにバトンを渡す。そんな彼女にいおは大丈夫と笑う。それは、アンカーのソフィアへの信頼と、ソフィアがなんとか出来るところまでは自分でも持っていけるという自信から来るものだった。一人抜いて尚且なおかつ一位との差も縮めた状態で、ソフィアに後をたくすいお。ソフィアは任せてといおに言い、一位の背中を追って走り出す。そしてソフィアはその言葉の通り、見事一位でゴールを駆け抜け、クラスも優勝を果たすのだった。



 体育祭の後、ソフィアの家を訪れたいおは、そこで大量の段ボールを目撃してしまう。それはまるで引っ越しの準備のようで……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る