街巡り
「ギルさん! 起きてください!」
翌朝、セビアの声で目が覚めた。
「……学園は行かなくていいのか?」
窓から差し込む陽の光を見るに、恐らく普段なら学園へと赴き授業を受けている時間帯だろう。しかし何故か目の前にいて、そして自分をゆすっているセビアに対して疑問を口にする。
「今日は休みですよ。どうです? 今日は僕と一緒に街でも回りませんか?」
ギルの疑問に即答したセビアはそのままギルをデートに誘う。彼女には街を一緒に巡れる友達など今は一人もいなかったため、すでに行く気満々で支度をしていた。余談だが、昨日は夜中目が覚め、そのまま眠れなかったらしい。
「断る……と言いたいところだがいいぞ、俺も暇だしな。たまには休むのも大事だろう……ところでセビア、一つ忘れてないか?」
セビアの誘いには乗りつつも、出した課題については忘れずに指摘した。1日サボるだけでも完成までは程遠くなってしまうのだ。
「え? なんですか?」
ギルの指摘になんのこっちゃと、首を傾げる。
「
「あ……忘れてました! 今日はたまたまですよ!? 本当に!」
「ああ、見てれば分かる。昨日は出来てたし何より
これだけ大幅なアップとなると、文字通りずっとやっていない場合は厳しいモノだろう。増えた
「信じてもらえて何よりです!」
「それで、どこにいく? 俺は街のことなんて全く分からん、よって1から10までお前に任せる事になる」
5000年強も経てば、街並みなんてモノはほとんど……否、面影もないほどに変わっていた。奴隷商もなかったし、定食屋もなかったのだ。
「私も普段遊びになんて行かないので分かりません……」
友達が一人もいない中街に遊びに行くのもなかなかきついものがあるのだろう。どちらも街については殆ど知らない、という状態であることが知れて、二人の間に沈黙が流れた。
「本屋……でいいですか?」
先に沈黙を破ったのはセビアだった。唯一知っている場所、本屋というアイディアを出す。というかそれ以外は出ない。
「本屋か……まあ一番情報が集まるのはそこだろうな」
「……はっ! 本屋はダメです、別のところにいきましょう!」
セビアが何かに気がついたように本屋という案を即刻破棄する。
(情報なんて集めさせたらギルさんがどっかいっちゃう……!)
ギルが去った後、セビアはやっぱり寂しかったのである。セビアは決意した。必ずかの放浪主義な
「ギルさん! その辺を適当にぶらぶらしましょう!」
本屋……というよりは情報が集まるようなところには絶対行かせてはならない、と考えたセビアは、自分が先導する事で、彼を情報から遠ざけることを選んだ。
「それ楽しいのか?」
「女の子は街を歩くだけで楽しいんです!」
正確には『ぼっちは』である。そもそも誰かと街を歩く、という経験自体がほとんどないがため、彼女からしたらギルと共に街を歩く事自体が非日常なのである。
「……それに俺の楽しみというのは全く待って入れられてないことは分かった。まあいいぞ」
ギルは小言を言いながらも、しっかりと了承して、セビアについていくことと決めた。
「それじゃあ行きましょう! レッツゴーです!」
セビアはギルの手を引き元気よく街へと繰り出した。
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