3
もちろん、兄妹で結婚することができないことは(今はもうちゃんと)わかっている。
だけど実際に大好きな兄が結婚をすると聞いたとき、湖はショックのあまりそのまま気を失ってしまった。(自分でもびっくりした)
そのとき、清志郎と一緒に結婚の報告をするために青竹家に来ていた糸はとても驚いて、慌てて青竹家のみんなと一緒に湖の介抱をした。(その話は今では青竹家の家族のみんなが集まると絶対に話題に出る笑い話になっていた)
「湖ちゃんは清志郎さんのどんなところが好きなんですか?」糸は言う。
すると湖はすぐに「全部です」と自信満々の顔をして糸に言った。そう言ってから湖は「あ」と言って、すぐに自分の簡単な嘘がばれてしまったことに気がついて、その顔を赤い色に染める。(まあ、もともとみんな知っていることなんだけど……)
「お茶のおかわり入りますか?」
にっこりと笑って糸は言う。
「えっと、はい。いただきます。あ、いや、私がやります」
そう言って湖はお茶の準備をする。(私がやりますよ、いや、私が、というやりとりを糸をしてから)
二人はお茶を飲んで少しの間、無言になった。
糸は古い振り子時計を見る。
時刻はもう八時半を過ぎていた。
いくらなんでも、遅すぎると糸は思った。連絡もなしにこんなに帰宅が遅れることは今まで一度もなかったことだ。
だんだんと糸は本当に清志郎のことが心配になってきた。
どこかで事故にでもあったのではないだろうか? そんな空想が糸の頭の中には思い浮かんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます