第13話 伝説の五人組

「ワープホールリング」

どうやらこれは、一方のリングに物を通すと、もう一方から出てくるのか?いわゆる転移とか、魔方陣移動のアイテム版か?

やってみよう。


小さいリングだが、材質は柔軟性があり、ゴムみたいに伸びる。しかもその形状のまま維持できるようだ。丸めるようにするとまた小さくなる。なるほど持ち運びも便利だな。


片方を前世のフラフープぐらいの大きさに広げて、ナルモに持たせた。

もう一方も同じようにして、こっちはマールに。

それぞれ部屋のはじとはじに待機。

俺はマールが持っているそのリングに枕を入れてみた。

途端にナルモ側のリングからポトンとその枕が出て来た。


「「おお~」」と女子二人。


次に部屋にあったほうきを入れてみた。

入れた途端、もう一方からほうきの先端部分が出て来た。

つまり半分はこっち、半分はそっちと。

「おもしろいにゃ~」


「でも人間や生き物はだめだな」

リングの大きさも、直径2mぐらいまでなら大丈夫そうだ。

あまり無理して壊してしまうのももったいないからな。


「なんかいろいろと使えそうね」

「そうだな、まあ使い方はおいおい考えるか」


次に俺たちはステータスの確認をしてみる。あのダークダストイーターの討伐でかなりの経験値が入ったからだ。

俺については、厳密に魔物討伐では無いが、結果としてダンジョンを清掃したと認識されたようだ。


【名 前】 ケンタ 

【年 齢】 15

【JOB】 掃除人

【職業レベル】 10

 HP  195 

 MP   21

 筋力   29(+50)

 体力   34(+60 +30)

 知力   20  

 魔力   17

 敏捷   22(+30)

 運    18(+10)

【一般スキル】<清掃 SL④><裏・清掃 SL④>

【特殊スキル】<アイテムボックス><鑑定><ステータス操作> 

【ユニークスキル】 

【装備】

「濁流のモップ」

「剛腕のグローブ+30」

「ミスリルベスト+20」

「万能長靴+30」

「身代わりのペンダント+3」

「主張の指輪」


【一般スキル】

<清掃>   SL①:掃除用具装備可能

       SL②:吸い寄せ(半径3mのゴミを一か所に集める)

       SL③:重量軽減(重たい器具やゴミ等を少し軽くする)

       SL④:浄化(微量)


<裏・清掃> SL①:裏・掃除用具装備可能

       SL②:吹き飛ばし(半径3mのゴミを吹き飛ばす)

       SL③:斬撃(剣の斬撃と同じ 裏・掃除用具専用)

       SL④:廃物利用

          (周囲のゴミを宙に浮かせ対象に投擲する)


次にマール。

【名 前】 ライム・フォン・レストラーデ

【年 齢】 12

【JOB】 魔導士 

【職業レベル】 14

 HP   51(+68)

 MP  488 

 筋力   21(+25)

 体力   24(+25)

 知力  435  

 魔力  401

 敏捷   28(+45)

 運    30(+10)

【装備】

「守りのワンド+15」

「マジカルハット」

「涼風のチュニック」

「安寧の指輪」

「俊足のブーツ+25」

「アイテムボックス(小)付きベルト」

「マスカレードマスク+50」

「身代わりのペンダント+5」

【一般スキル】

<火魔法 SL④><水魔法 SL④><風魔法 SL④>

<土魔法 SL④><雷魔法 SL④><召喚魔法 SL④>

【特殊スキル】 

【ユニークスキル】

<全てを慈しむ者>


【一般スキル】

<火魔法> SL①:ファイヤ

      SL②:ファイヤボール  

      SL③:ファイヤアロー  

      SL④:エクスプロード

          着弾と同時に爆発(小)する

  

<水魔法> SL①:ウォーター

      SL②:ウォーターボール  

      SL③:ミストウォール

      SL④:アイスニードル

          氷結効果(小)を与える      


<風魔法> SL①:ウィンド

      SL②:ウィンドバリア    

      SL③:ウィンドアタック

      SL④:トルネード

          竜巻(小)を生成する  


<土魔法> SL①:クレイ

      SL②:アーストリック

      SL③:グラウンドアップ

      SL④:クラック

          大地に亀裂(小)を生じる 


<雷魔法> SL①:スパーク

      SL②:ボルトショット

      SL③:スパークチャージ

      SL④:サンダーアタック

          稲妻(小)を呼び寄せる


<召喚魔法>SL①:アルラウネ 

      SL②:狛犬

      SL③:ウリ坊

      SL④:鬼火

          対象にまとわりつき生気を吸いあげる 

          20体まで可能   


最後はナルモ。

【名 前】 ナルモ(ラッキーキャット族)

【年 齢】 10

【JOB】 シーフ

【職業レベル】 11

 HP  70

 MP  39

 筋力  19(+30)

 体力  18(+35)

 知力  19  

 魔力  27

 敏捷  42(+40)

 運  999(LOCKー3)

【一般スキル】

<トレジャーハント SL④><弓術 SL④>

【特殊スキル】 

【ユニークスキル】

【装備】

「ライトニングボウ」

「ウィークポイントアロー」

「トレジャーアイ」

「やまびこのイヤリング」

「頑丈なチュニックワンピース+10」

「束縛のブレスレット」

「疾風のサンダル」


【一般スキル】

<トレジャーハント>   

       SL①:マッピング

       SL②:ピッキング(簡単な鍵、軽微な罠を外す)

       SL③:スティール(盗む 成功率は敏捷値による)

       SL④:エスケープ(100%逃げられる 自分のみ)


<弓術>   SL①:弓・矢 装備可能

       SL②:5m先の的に当てることができる

       SL③:ストライク(ほぼ狙った箇所に当たる)

       SL④:ダブルアロー(2本同時に射出する)


装備は特に変わっていない。せっかく馴染んできたんだし、よっぽどの上位の武防具以外ならしばらくこのままいこうと思う。

ちなみに職業レベルが10を超えたので、SL④が取得できたのだ。

職業レベル:スキルレベル

    1:①が取得可能j

+2  3:②が取得可能

+3  6:③が取得可能

+4 10:④が取得可能

+5 15:⑤が取得可能 ~~。


なので次回は職業レベル15の時にSL⑤が取得できる。

う~ん、先は長そうだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


今晩は久しぶりに外食をすることにした。職業レベルが軒並み上がったお祝いを含んでた。といっても、冒険者ギルドに隣接しているいつもの食堂だがな。


「好きな物食べていいぞ、あのダークダストイーターの魔石が思ったより高く売れそうなんだ。遠慮するなよ。お前たちが倒したんだからな」

「わ~い」とマール。

ナルモは早速黒板に書いてあるおすすめメニューを睨んでいる。


「ねえ、もうこのパーティに誰も入って来ないの?」と食事をしながらマールが聞いてきた。

「そうだな、出来れば前衛が欲しいな」

マールが魔法全般と治癒担当。

ナルモは探索と罠解除およびマッピング。

俺は特に攻撃関連のスキルは無いため、みんなへの指示と行動立案。

まあ、本職は掃除人だからな。


これからはダンジョン下層へと降りていくため上位の魔物とも戦わないと進めないだろう。確かに地下10階までは初級レベルの冒険者用なのでそれほどきつくはないだろうが、今日みたいな突然変異的な魔物も出現する恐れがある。なのでもう一人、できれば戦士や剣士といった前衛職が望ましい。


そんな時、近くのテーブルにいた冒険者4人組の会話が聞こえて来た。

どうやら先日この街に来た、ミサトの事で盛り上がっているようだ。


「なんだよあのミサトっていう魔法使い、えらい別嬪だったじゃねえか」

「まったくだ、あれでこの世界最高の魔法使いだってよ、信じられん」

「しかもまだ20歳台半ばだって、ずるいわよ」

「おめえとは全然違うじゃねえか。ほんとに同じ魔法使いか?」

「なんですって!このへぼ剣士、もう一回言ってみな!」

「あはは、でも俺たちもあの世界を救った5人になれねえかなあ」

「でも俺たちも剣士、盾役兼の重戦士、魔法使い、神官のいいバランスだと思うがな」

「あの5人組のバランスってどうだったっけな」

「勇者アレクセイ、忍者ルッツガルド、魔法使いミサト、大聖女マリア、レンジャーのモリノだろ?」

「もう一人剣士がいたって噂だぜ。しかもその剣士がリーダーだったって」

「え?勇者アレクセイがリーダーじゃないの。あたしそう聞いたわよ」

「そうだよな、リーダーだったらもっと名が残っているはずだよな」

「なんかわけがあるのかしらねえ」

「しかもその謎のリーダーはあのマリアの想い人らしいぜ」

「ええ!!なに~俺のマリアちゃんが!」

「がはは!てめえなんぞ何万年かかっても無理だぞ」

「ちげえねえ、しかしなんであんな世界一の美女が一人もんなんだ。まさか人に言えない秘密が・・」

「なんだよあんたら!あたしの憧れのマリア姉さんの悪口いうと承知しないよ!ってみんな、顔が呆けてるよ」

「・・あたりまえだぜ、あのマリアさんの顔を思い出せばみんなこうなるぜ。ありゃ人外の美しさだ。とても同じ人間とは思えない・・」

「たしかになあ・・」

「ああ、・・あんな綺麗な人間なんているもんか」

そんなマリアの話題を聞きながら、ふとマールを見ると顔がほころんでいる。そうかレストラーデの国で、可愛がってもらっていたんだな。そんなことをルッツが言ってたな。


マリアは優しい娘だからな。

自分に降りかかったあのありえない不幸からでも、誰も恨む事はなかったからな。


さっきの冒険者の言葉・・。

「とても同じ人間とは思えない」

この言葉でマリアは何度泣いたことだろう・・。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺が初めてマリアに会ったのは、商売で立ち寄った街の中でだ。その頃は商人の端くれに転生して、あちこちの国を巡っていた。いわゆる行商人ってやつだな。その街ではちょうど、祭りの時期だったようで、あちこちから人が多く来ており、俺の商売もうまくいきそうな予感がしてた。


中央広場では屋台が百軒以上出ていて、美味しそうな匂いが立ち込めていた。みんな陽気に笑いあって、酒を酌み交わしみんな浮かれていた。一年に一度の開放感。そしてその中央には大きなサーカステントが。

獰猛な魔物を操るテイマー、可愛い動物たちのおちゃめな芸、見事な大道芸やパフォーマンス、高い塔に縄を張って渡る綱渡り、観客全員が目を輝かせ大歓声を上げる。


そしてその脇、暗い路地に見世物小屋があった。

檻に入った珍しい動物、奇妙な生き物、怪しい気配を持つ蛇のような動物、短時間で色が変化する鳥。


そして最も暗いじめじめしたところにそれが居た。

小さな檻に入れられ、手足にくさり、足元には食べ物だろうか、残飯みたいなものがこれも汚い入れ物に入れられていた。

身長は120cmくらいだろうか、一枚のぼろきれを身体にまとっていて、その緑色の指で鉄格子を掴んで泣いている。


看板には「世にも珍しいオーク娘」と。


身体全身が緑、顔は豚に近く、大きい鼻が上を向いてる。髪の毛は無い。顔中が醜くはれ上がっていて男女の区別も分からない。

俺が近づくと、怯えて手で顔を覆って、あうあうと叫ぶ。言葉も話せないようだ。そしてずっと泣いてる。


確かにこの娘はオークそっくりだ。

だがまぎれもない人間だ。


そしてこれが、俺とマリアの出会いだった。

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