第136話 えびえびしすたーず「偽物本物」
ある日の二年三組での会話。
「先生、先生のコスプレについて質問があります!」
「授業中に、えびえび姉は、いきなり何を言い出すのだ!」
「私が聞きたかったからに決まっています!」
「……ほかの生徒だって、私のコスプレなど興味ないでしょ?」
クラス一同の声。
「「「「副担任からのお話で、写真から動画まで観ました」」」
「後輩はどこに行った!?」
後輩は、すでに逃亡していた!
「……あー、私の教員生活終わった」
「先生。何を心配しているのです?」
「生徒会長か……。私のキャリアも終わったと黄昏ていたのよ」
「先生。その程度、採用前の身辺調査で確認していますから、何も問題はないですよ」
「……生徒会長。貴女が私の生徒で良かったと思うわ」
「人生、楽しい方が素晴らしいではないですか」
「先生。私の質問を聞いてください!」
「はいはい。それで、えびえび姉は何を聞きたいの?」
「先生。お姫様のコスプレをしていた時のティアラが、本物か偽物かでクラスの意見が分かれたのですが、あのティアラは本物なのですか?」
「あー、確か何かのゲームのキャラのコスプレね。あの時のティアラって、えびえび姉も知っているヨーロッパから留学してきた、私の大学時代のお友達の実家の持ち物なのよ」
「……先生?」
「えびえび姉も最後まで聞きなさい。まったく、元有力貴族のお姫様なのに、ほいほい私のコスプレ撮影に、実家に無断で伝統あるティアラを小道具として撮影会場に持ち込んで、撮影終わった後に」
クラス一同、固唾を呑む。
「これ本物なのですよって言ってきてさ。もう、速攻で次の撮影中止して返却に走り回ったわよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます