第3話
「あぁ、それは俺が食べた後、リーゼロッテさんの分をもらうつもりなので……」
「……はい?」
「えっと、だから――」
「ちょーっと待ちなさい! 今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするわ!」
突然大声で叫び出したリーゼロッテさんに、思わずビクッとなってしまう。……いやまぁ、急に大声出されたら誰だって驚くと思うんだが……。
そんなことを考えていると、彼女はキッとした目つきでこちらを見つめてきた。
「ねぇ、レオくん? 今のはどういうことなのかしら? 詳しく聞かせてもらえるかしら?」
「えっ!? いや、それは……」
「……まさかとは思うけど、私のお弁当を食べたいだけとか言わないでしょうね?」
「…………はい、そうです」
「はぁ……。あのね、さっき私が言ったことを覚えていないの? 残したりしたら許さないって……」
「……すみません」
「まったくもう……」
呆れたように溜息をつくリーゼロッテさん。……くそぉ、そんなにダメなことだったのだろうか?
「……ねぇ、レオくん? 一応聞くけれど、どうしてそこまで私のお弁当にこだわるのかしら?」
「えっと、それは……」
……言えない。リーゼロッテさんの料理が美味しかったからもう一度食べてみたいだけだなんて、口が裂けても言えるはずがない! とはいえ、適当な理由をつけて誤魔化せる雰囲気でもないんだよな……。どうしよう?
「ほら、早く言いなさい。じゃないと、今後一切レオくんのお昼ご飯作ってきてあげないわよ?」
「っ!?」
ふふ、どう? これが一番効くんじゃないかと思ってやってみたけど、効果抜群みたいね?」……確かにその通りだ。だけど、それだけは絶対に嫌だ!
「リーゼロッテさん。お願いします。どうか一度だけチャンスをください!」
俺は必死になって頭を下げて頼み込んだ。すると、彼女は少し考えるような仕草を見せた後に口を開いた。
「そうね……。それなら、私と勝負をしましょうか。それで勝ったら、レオくんにお弁当を作ってきてあげるわ」
「本当ですか!?」
「もちろんよ。ただし、負けた方はなんでも言うことを一つ聞くっていう条件をつけさせてもらうけど、それでも構わないかしら?」……何でも……だと……? 一体何を要求されるんだろうか むしろ、リーゼロッテさんと接点を持てる上に、彼女の手料理が食べられるのであれば、願ったり叶ったりである。
「はい! 受けます、その勝負!」
「よし、決まりね。じゃあ、ルールを説明するからよく聞いていてちょうだい」
「わかりました」
それから、俺はリーゼロッテさんの説明を真剣に聞いた。
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