汚れた言葉

Re:over

第1話

 こちらの天気は晴れですが心のレンズは曇ってます

 どうしてでしょうか、君に聞くことじゃないね

 さよならにまたねしよう

 まだ君とこのままで


 もう何通やり取りしただろうか。僕が手紙を二つ送り、三通目を書いている間に彼女から一通やってくる。そういった関係だ。それが全てだった。


 コーヒーを飲む朝は君のこと考えて涙が出ます

 どうしてでしょうか、苦さは慣れてるはずなのに

 鞄に詰め込めなかった

 思い出色褪せることもなく


 遠距離恋愛になってからもうすぐ二年になる。ここまで続くのは稀だろうが、僕はまだ、この関係を終わらせたくない。新しい恋を見つけるチャンスだっていくらでもあったはずだ。だけど、僕はその全てから目を背けた。


 出来るのなら忘れたい

 出来るのなら忘れられたい

 天秤が釣り合うことはもうないのかも

 それでも縋っていたい

 窓を開ければ君がいることを願って


 彼女は僕の書いた詩をすごく気に入ってくれた。僕が彼女を好きになったのは、彼女が僕を認めてくれるからかもしれない、と思い始めたのはつい最近のことだ。


 たらればなんか要らないよ

 ただ君が記憶の底に眠っていれば、それだけで、それだけで救われるんだ

 食べ物なんか要らないよ

 ただ君がくれた言葉を食んでいれば、それだけで、それだけで満たされるんだ


 もう、いつ彼女からの手紙が途絶えるか分からない。もしかしたら、もう来ないかもしれない。だから、どうしたら返信が来るか考える。くだらない文字列が並んでいく。おおよそ、意味の無い文字たちが、消費されていく。もはや、彼女のためではなく、自分のための言葉。

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汚れた言葉 Re:over @si223

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