第42話 神さまへの懺悔


 そのくせ、ひとつ言えるのは……

「困ったときの神頼み」

 これは仏とかキリストとは言わない。

 全部がごっちゃ混ぜとなっている。

 けれど、不義理がたたり、

 いつもふられてばかりだ!

 叶えられた試しがない。

 知っているのは、

 神主と巫女さんの装い

 神社の厳粛な雰囲気だけ。


 おおっ、あったあった。神前結婚式の取り決めと習わし。直ぐに見つかったが、何やら聞いたことのない難しい言葉、熟語がたくさん並んでいる。


 参進の儀、誓杯の儀せいはいのぎ祝詞奏上のりとそうじょう玉串奉奠たまぐしほうてん……高校生の頃、漢文の授業で居眠りこいていた俺には目がまわる。


 立会人とは、結婚の儀を見届ける役割。新郎新婦に続いて、仲人の後、両家の親族代表としてそれぞれ玉串を捧げ、順に巫女が注いだお神酒を戴くひとのこと。

 調べれば調べるほど、重要な役割だと分かってくる。俺は、放蕩三昧のまだ20才過ぎの若輩者。しかも、初めての経験だ。


 それでも、親族代表としてお前にやって欲しいと云われてしまう。お互いによく知る新婦も大歓迎だという。


 俺と正人は高校球児。ピッチャーと捕手のバッテリーの関係。野球で例えるなら、夫婦みたいなもの。こうなれば阿吽の呼吸だ。彼女との馴れ初めも全部知っていた。一方的に正人がお熱をあげている。

 

 きっと、大勢の両家の親類が集まる場となるだろう。無二の親友、仲間の結婚式での失敗は許されない。


 知れば知るほど、難しい。

 

 玉串の持ち方、捧げ方、彼のお母さんのアシストなど。ついでに写真も撮ってあげたい。ああ……忙しい。カメラには少しだけ心得があった。恥ずかしいが、人知れず緊張感が高まってくる。こんな風に緊張するのは大学受験以来となる。

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