第9話 不思議な出会い
「わたし、何度か寝台特急に乗ったことがあるの」
「そうなんだ。良いなあ……。俺っち、初めて」
「銀河を駆け抜けるようで窓からの星がとても素敵」
「ちょっとだけ、待ってね」と言いながら、沙織は上着のポケットから紫色のものを取り出すと、黙ったまま大切そうにカバンにしまう。
それは
かつて実母が仏壇にしまっていたので直ぐに分かる。やはり、彼女には他人には言葉にしづらい何かあるのだろうか。
女性の誘いに応じて、財布だけ手にすると、4号車に向かって歩きだす。窓からは夜景がいっそう輝いて見えてくる。これが沙織との “偶然と呼ぶ” にはもったいない不思議な最初の出会いとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます