電車の中でJCをナンパしたら、毎日が電車デートになりました

第24話 ラッキースケベ

「へ、いやいや……マッサージって」

　明らかにドン引きしてる春ちゃん。

　当然の反応である。

「絶対に気持ちいはずです。

　わたしもちょっと恥ずかしかったですけど、それ以上に、本当にすごかったんですよ」

「えぇ……」

　春ちゃんは、妙に冷たい目で俺を見た。

「あんたさ……何やったん……」

「ただのマッサージなんだけど……」

「ふぅん……」

　俺は蛍ちゃんを説得することにした。

「春ちゃんは男の人に触られたくないんだって。

　蛍ちゃんの気持ちはわかるけど、尊重してあげないかい？」

「でも、春ちゃん、勉強でとっても疲れてそうで、何かしてあげたかったのですが……」

「蛍……」

　じん、と胸に響く思いやりだった。

　うんうん……なんて思いやりのある子なんだろう。

「あ、そうだ！」

　何かを思いつく蛍ちゃん。

「育滝さん。わたしにマッサージを教えてください

　——わたしが春ちゃんにマッサージします！」

　なるほど、そういうことか。

「うん分かった。蛍ちゃんにマッサージを伝授しよう」

「はい！　ありがとうございます、育滝さん」

「師匠と呼ぶのじゃぞ」

「はい！　師匠！」

　おいおい、と突っ込む春ちゃんを横目に、マッサージのコツを教えるのだった。

＊＊＊

「あ、あ、やばいやばい——ひゃぁああ！」

　蛍ちゃんのもみもみに、色っぽい声が出ちゃう春ちゃん

「効く！！　効くぅ！！」

　そこそこ大きな胸が揺らしながら、悶えるのだった。

「はい、これでおしまいです」

　ばたんと倒れる春ちゃん。

「はぁ……はぁ……ひぃん……」

「どうでしたか？　わたしのマッサージは？」

「きもひよかったれす……」

　紅潮しながらも正直な感想を述べる春ちゃん。

　実質百合だな。

「育滝さん直伝ですよ」

「うぅ……なんだか負けた気分だ……よりにもよって……こんな男に……」

　散々な言われようである。

「育滝さん」

「なんだい」

「今度は、わたしの番、ですよ」

　どうやら蛍ちゃんは、俺のマッサージを求めているようだ。

　俺は唾を飲む。

「ああ、分かった——」

　蛍ちゃんの肩に触れる寸前で——

「それはダメだ！　あたしが許さんのだ！」

「うわっ！」

　春ちゃんが、俺にとびかかった。

　思わぬ攻撃に、俺は体勢を崩してしまう。

「きゃ！」

「う”」

　それに巻き込まれる少女二人。

「あ——」

　つい、変な声が出た。

　床には少女二人。

　そして押し倒す俺——。

　両手に、柔らかい感触があった。

　右手には明らかに小ぶりの胸が——

　左手にはダイフクのような胸が——

「す、すまん」

　謝るも、すぐに動けなかった。

「……」

「……」

　蛍ちゃんも、春ちゃんも、明らかにフリーズしていた。

　当然、この事故にショックを受けているに違いない。

　内心、あわわわわとなっている俺。

　ラッキースケベと喜ぶ前に、これはヤバいという罪悪感のような感情が先に出る。

　もし、もしもだ。

　こんなのが他の誰かに見つかったら？

　例えば、蛍ちゃんの両親とか——

「——あなたたち」

「「「！！」」」

　突然、静寂を切り裂く声が聞こえた。

　女性の声だった。

「一体、何やってるの？　——その男は、だれ？」

「ママ！？　なんで家にいるの？？」

　蛍ちゃんの驚く声を聴いた俺は、気絶しそうになるほどの衝撃を受け、そして察した。

——おれ、今日でブタ箱行き確定だわ……