第13話 探偵、参上
今日、自分の家からの最寄り駅での待ち合わせだ。
しばらく待つと、二人の少女がやってきた。
「おはようございます」
一人は蛍ちゃんである。
そしてもう一人は、蛍ちゃんと比べてわずかに背の高いメガネっ子だ。
「おはようございまーす」
しぐさや見た目から、蛍ちゃんと同じJCだと察する。
「おはよう」
「あなたが蛍の彼氏ですか?」
興味津々で詰め寄られる。
「ええ、そうですよ」
「ふむふむ。やっぱりそうなんですね」
俺はとにかく自己紹介する。
「ただのしがないサラリーマン、育滝波彦です。今日は来てくれてありがとう。よろしくね」
「蛍ちゃんの従妹の三谷春<みたに はる>。あなたが蛍の彼氏にふさわしいか、見極めさせてもらいますね」
キュピーンとカッコつける春ちゃん。
もしかして中二か?
「ちなみに何年生?」
「高校一年生です」
中二じゃない!?
「——というのは表の顔で、世の中の、ありとあらゆる謎を解き明かす【探偵】を生業にしてるのさ」
いや、ハートが中二だ!!
さらにキュピーンとカッコつける春ちゃん。
中二病が抜けきっていない様子がたまらないですな。
俺は蛍ちゃんと話す。
「かわいいお姉ちゃんだね」
「はい、わたしも春ちゃんはとっても可愛いと思います。
コナンが大好きで、いつも探偵ごっこしてるんです」
「こら、ごっこじゃないわよ」
「ごめんなさい」
仲良さそうにじゃれあう二人。
仲良し姉妹に見える。
「うん。それじゃあ俺のおうちに行きますか」
「はい」
こうして歩こうとしたとき、春ちゃんがこそっと俺に話しかけた。
「言っとくけど、わたしの目はごまかせないんだからね」
「え」
「あんたみたいなロリコンが、好き勝手出来るとは思わないことね。
すぐに証拠を見つけてブタ箱行きなんだから」
俺はそう言われて、運がいいと感じた。
これぐらいの緊張感がないと、俺は自分を制御できる自信が無いからだ。
「もちろん。俺が変なことをしてたらすぐに警察に連絡してくれ」
「……」
というわけで、3人、俺が住んでるアパートに向かうのだった。
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