第9話 貧乳相談
【すみません。聞きたいことがあります】
いつも通りの朝。
突如、蛍ちゃんから話題を切り出された。
【育滝さんは、女性の胸の大きさについてどう思いますか?】
俺は蛍ちゃんを二度見する。
【おっぱいの話?】
【はい。そうです】
おっぱいの大きさかぁ。
【もっと詳しく悩みを聞いてもいいかな】
蛍ちゃんは答える。
【昨日、育滝さんはセクシーな本を読んでいるとおっしゃられましたよね。
ということは胸の大きな女性が好きなんじゃないかと、想像しました】
それは半分誤解であり、半分正しい。
貧乳も巨乳もどっちだって愛するのが俺だ。
【でも、私の胸は他の子たちに比べて全然大きくならないので、どうしても気になってしまうのです。
男の人はわたしのような人をどう思うのでしょうか?】
俺は蛍ちゃんの胸をまじまじと見る。
推定70前後の貧乳。
もしくは見間違いで、実測値は60台なんて可能性もあるだろう貧乳。
俺は率直な感想を書いた。
【最高】
「え、えと……」
【俺はそう思う】
蛍ちゃんは照れてるのか、恥ずかしいのか、よくわからない表情をする。
【ほかの男がどう考えてるのか俺には分からない。けど、俺のこの思いだけは確かだよ】
蛍ちゃんは照れくさそうに、文字を書いた。
【もう、エッチ。私の胸ばかり、じろじろ見ないでください】
「え——!」
突然の罵倒におののく俺。
「ふふっ……」
いたずらっぽく笑う蛍ちゃん。
どうやら冗談のようだ。
【将来、私の胸が大きくなったらどうするんですか?】
【その時考えればいい。きっと未来の俺なら喜んでくれるよ】
【もう、エッチな人ですね!】
俺は蛍ちゃんにいじられる。
本人はうれしそうな表情だ。
が、そろそろお別れの時間だ。
【私の悩みを聞いてくれてありがとうございます】
【どういたしまして】
「またね」
そういって、蛍ちゃんは去るのだった。
「ふぅ」
俺は一息ついた後、メモ書きを読み返す。
【将来、私の胸が大きくなったらどうするんですか?】
【その時考えればいい。きっと未来の俺なら喜んでくれるよ】
【もう、エッチな人ですね!】
(……これってもしかして、揉ませてくれるのを許可したってことになるのかなぁ)
いや、よそう。
犯罪者になったら、蛍ちゃんと会えなくなるし。
今の幸せを噛みしめるのが、大切なのだから。
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