アライブ・イン・マイアース 2

4424:名無しの>1天推し

天才ちゃんなんでスデゴロなの……

 

4425:名無しの>1天推し

天才ちゃんで魔法使いなのになんで素手でも強いの……

 

4426:ステゴロお嬢様

私の存在意義が……

 

4427:名無しの>1天推し

最強フォームお披露目の時と同じ反応で草

 

4428:名無しの>1天推し

まぁそうなる

 

4429:1年主席天才

真面目に言うと魔法同時展開しまくってるから、

思考領域の都合でスデゴロのほうが楽なんだよ。

特に次元封鎖はわりとリソース使ってるから、筆剣をオート戦闘にして自分で殴ったほうがてっとりばやい

 

4430:名無しの>1天推し

うーんこの……

 

4431:冒険者公務員

ていうか! 今回は私達いかなくていいでありますか!?

完全装備で暴れるでありますよ!?

 

4432:自動人形職人

確かに

 

4433:アイドル無双覇者

ライブの時間にゃ!?

 

4434:暗殺王

我が筋肉が脈動を打つ時か……!?

 

4435:元奴隷童貞冒険者

最終決戦っすもんねぇ!

 

4436:サイバーヤクザい師  

こっちも装備アップデートしてるンだぜェ?

 

4437:ステゴロお嬢様

脳髄ニキにだけいい格好させらないですわー!

 

4438:勇者

ぐぎぎぎぎ……私も、行きたい……!

ユーマ、だめかな!?

 

4439:泥の子

お姉ちゃん? お姉ちゃんいないとこっちの作戦成り立たないからね?

最高火力抜けたら話にならないよ? 流石に艦長に怒られるよ?

 

4440:名無しの>1天推し

勇者ちゃん草

 

4441:名無しの>1天推し

なんか新顔いる……?

 

4442:名無しの>1天推し

クリスマス面子は違うなと思ったら別方面から火力高いの来たな

 

4443:1年主席天才

勇者ちゃんは置いておいて……実際君たちを呼ぶかは迷ったんだけどね。

一定以上の戦力いるに越したことはないし。

 

だが、プラスよりもマイナスが大きくなる可能性が高いので今回は無し。

 

4444:名無しの>1天推し

マイナスが大きくなる可能性?

マイナスがじゃなくて?

 

4445:1年主席天才

さっきも言ったけど、今アース111は次元封鎖を行っている。

これでゴ―ティアの逃亡を防いでるわけだ。

 

で、仮に掲示板勢を呼び出して倒す……まではいいんだけど。

何度か説明したとおり、ゴーティアは他人に寄生して、

しかも休眠状態だと僕でも感知しきれないことが多い。

 

4446:1年主席天才

だからゴ―ティアを倒したけど、生き残りが君たちのうち誰かに寄生して

そのままそれぞれのアースに帰ってから活動再開されると、

今回の決戦の意味が無くなっちゃうんだよな。

 

4447:名無しの>1天推し

こわっ……。

 

4448:名無しの>1天推し

B級ホラーになるじゃん

 

4449:自動人形職人

あぁ……だからマイナスが大きくなる可能性ってわけですね。

その場での勝率は高くなっても、その後が困るっていう

 

4450:冒険者公務員

えぇぇぇ……先輩殿と合体技したかったであります

 

4451:名無しの>1天推し

この人妻、最近欲望隠さねーな

 

4452:冒険者公務員

だって脳髄ニキはそっちにいてなんか

合体ロボで大怪獣バトルしてるんでありましょう!?

 

4453:超脳髄氷炎魔人脳髄キング

―――今脳髄が迸り!

―――燃えるこの手が叫び!

―――凍えるこの手も吠える!

―――嗚呼、矛盾を抱きしめて、今解き放てぇぇぇぇ!!

 

おっと、失礼。俺とル・トのテーマソングが混線してしまったな!

やはり超必殺は主題歌と共にぶち込まないとだ!!

 

4454:Everyone

エンジョイしすぎだろ!!!

 

4455:1年主席天才

まぁ脳髄ニキはともかくそんな感じで

 

4456:名無しの>1天推し

まぁ>1たちなら心配要らないか……

 

4457:名無しの>1天推し

それで言えばよぉ

 

4458:名無しの>1天推し

おぉ?

 

4459:名無しの>1天推し

>1たちの実力は勿論、天才ちゃんがいるから俺らとしては

まぁなんとかなるだろ感あるけど。

 

あのお姫様は大丈夫なんか?

 

4460:名無しの>1天推し

あー

 

4461:名無しの>1天推し

アレスくんが頑張ってくれてるんじゃ……

 

4462:名1年主席天才

あぁ、安心したまえ。

 

彼女、強いよ。

 

 

 

 

 

「第一ファースト・開戦戦型マークボレアス!」

 

 アレスは重装強襲型に≪偽神兵装≫、さらにその砲撃特化形態となり、全周囲に砲火を叩き込んだ。

 両肩、両腰、両腕にそれぞれ魔力砲、物理砲弾、衝撃波と差別化し、さらにその上で、

 

「行け、ビット―――!」

 

 フレームウィングを自律駆動させ、周囲の魔族を撃ち抜いていく。

 アルマの筆剣に比べれば精度は遥かに劣るが、重装形態の隙を埋めるのには十分。

 模倣したのは、先の戦いのマキナのものなので、劣化しているのはあの脳髄が悪いと自らを納得させつつ、アレスは破壊を振りまいた。

 王城正門の宙域は、戦いが始まった時ほど敵は密集していなかった。

 小中型の群れが多く、五メートル以上の大型はそれらに少数混じっている程度の数。

 大型の大半や十メートルを超える超大型の類は王城上空のアルマが引き寄せているからだろう。

 そのアルマがちょっと意味わからないレベルで無双しているが、それは頭から追い出しておく。

 それよりも、

 

「ヴィーテ―――」

 

 心配なのは、やっと再会できた最愛の人。

 正直、ヴィーテフロアの戦闘能力についてアレスは詳しく知らない。

 アクシア魔法学園、その生徒会に内定済みだったということはある程度の強さはあるだろう。

 あの学園の生徒会に入るには地位だけでは足りない。

 それにしたって心配してしまうのは止められない。

 アレスは迫ってきた蝙蝠型の魔族を、腰から撃ち出したマイクロミサイルで殲滅しつつ、地上を進む彼女に視線を送り、

 

【病ん姫:心配しすぎですよ? アレス】

 

「うわ、なんだ!?」

 

 視界、声と共に半透明の文字が浮かんだ。

 

【うぃる:あれ、これDMですか?】

 

【天才:あ、そうそう。魔力供給のついでにDM……念話と文字による通信機能付けといたから。乱戦だとノータイムの伝達は大事だからね。話したい相手思いうかべれば勝手に反応して、回線を開いて声と文字届けるから上手く使ってね】

 

【鬼姫様:流石だアルマ殿。あれやこれや便利魔法を持っている】

 

【先輩さん:この名前はアルマさんが付けてるんですか?】

 

【天才:そうそう掲示板の流用】

 

【赤龍:ケージーバン?】

 

【巫女:はいカルちんスールーしとこー】

 

【病ん姫:……あの、私の病ん、というのは一体。全く病んでるつもりはないですけど】

 

【Everyone:…………】

 

【病ん姫:アレス?】

 

【唸る後輩:え、あ、うん………………いや、なんだ俺のやつ! よくわからないけど、絶対先輩のせいだろ!】

 

【>1:え? なんで?】

 

【唸る後輩:クソ……!】

 

【鳥ちゃん:というか文字だけだとトリウィアが先輩で、アレスはウィルさんのことだけ先輩って呼ぶからなんか紛らわしいね……】

 

【Everyone:あー】

 

 何故納得されたのはわからなかった。

 言われてみれば、ウィル以外のことは名字に先輩と付けている気がする。

 

「…………ヴィーテ! 大丈夫か!?」

 

【>1:アレスくん! もうちょっと僕にやさしく】

 

 無視した。

 ついでに会話に裂かれていた意識をヴィーテフロアに戻し、

 

「……!?」

 

 地上の彼女へと魔族が殺到するのを見た。

 

 

【唸る後輩:ヴィーテ……!】

 

「――――全く、心配性ですねぇ」

 

 苦笑しつつ、ヴィーテフロアはゆっくりと正門へ続く石畳の道を歩みを進んでいた。

 王城は丘の上にあるから、道は登坂。

 その足取りは、軽く、気楽さすら伴っている。

 なぜなら、

 

「家に帰るのに、畏まる必要などないでしょう」

 

 全身を包み折り重なる科装の薄いベールを棚引かせ、彼女はくすりと笑う。

 その周囲、先程襲ってきた魔族たちがいる。

 狐や熊といった哺乳類型のそれらは、

 

「■■■……!?」

 

 地に伏し、立ち上がろうとする動きは見せながらも失敗し、崩れ落ちていた。

 

【病ん姫:これ、口頭でも皆さんに通じるんですか?】

 

【天才:そのつもりで喋れば通じるよ】

 

「いいですね。それでは私の≪偽神兵装≫の説明についてさせていただきましょう」

 

 ヴィーテフロアは変わらず散歩するような気軽な足取りと共に言葉を紡いだ。

 その間も、魔族たちは迫ってくる。

 次は、空から全身をドリルのように回転させ彼女を貫こうとする猛禽たちだった。

 だがヴィーテフロアは笑みを浮かべたまま、足を止めない。

 

「≪偽神兵装≫はアース・ゼロの神話を基に、それぞれの概念干渉能力を発動します。……と言っても、ゴ―ティアから聞きかじった情報を、それぞれの使用者に合わせて能力が発揮されるので、あんまり元ネタって言えるようなものではないのですが」

 

 苦笑する彼女に、猛禽型魔族が突っ込み、

 

「私の場合、あやかった神格はウェヌス―――美と愛の女神です」

 

 自らヴィーテフロアを避け、地面に激突した。

 

「美と愛とはなんぞや、という問答はとやかく。私に発現した能力は単純明快」

 

 それは、

 

「≪一実恋愁ウェヌス・リバース≫――――私を対象とした攻撃を失敗させる、というものです」

 

 語りながらも魔族は襲ってくる。

 獣を模した瘴気の塊はそれぞれの持つ爪や牙、体躯を活かした攻撃を行うが、そのどれもが彼女には届かない。

 真っ直ぐに、ただ歩くだけの少女の歩みを止められずにいる。

 十数歩歩くだけで、その足跡には大量の魔族が転び、崩れ落ちている。

 

「まぁ、つまりは誘惑とか骨抜きとかそういうイメージですよね。単純な物理攻撃は相手が無意識で外してしまうし、魔法だったら術式を失敗する。ただそれだけの、他の面子に比べたらじみぃーな能力ですよね」

 

【鬼姫様:地味か?】

 

【鳥ちゃん:めっちゃ性質が悪いと思う】

 

【天才:聖女って感じの能力じゃなくて面白いよね】

 

 なんてことを言うのだろう。

 こんなにも清純な身だというのに。

 

「私を対象として攻撃をする相手を対象とするので防御性能は高いんですが、まぁどうも概念強度というか魔力によっては抵抗できるので、万能ではないんですよね。多分、皆様には妨害程度ですし、アルマ様には全く意味がないでしょう」

 

 なのでまぁ、とヴィーテフロアは両腕を広げた。

 掌に浮かぶのは黒紫と乳白の光球。

 くるりと反転しつつ、軽い動きで放り投げた。

 二色の光球は山積みになった魔族へと飛び、

 

「≪究極魔法アルテママジック≫―――――≪光と闇の境界ツインカラー其は溶け合わず離れ合わぬものアナイレイション≫」

 

 それらはぶつかりあい、しかし融合することはなかった。

 一瞬の拮抗。

 拡散と圧縮がせめぎ合い。

 全方位への斥力が乱反射し。

 進むはずの時間が封印され。

 収束と吸収が打ち消し合い。

 一点への加重が浄化によって意味を失い。

 ――――五つの境界が、一瞬で崩壊し、全て飲み込む虚空を生む。

 次の瞬間、その虚空が魔族を巻き込み、消滅した。

 ヴィーテフロア・アクシオスの≪究極魔法≫。

 トリウィアのように対消滅を起こしてエネルギーを発生させ利用するのではなく、発生させた対消滅自体で敵を消し去る範囲魔法。

 

「こうして隙を作って自前で攻撃するわけです。私、光と闇属性の二重特化なので」

 

【天才:中二そっち系か――――!!】

 

【>1:か、かっこいい……!】

 

【Everyone:えぇ……?】

 

【>1:かっこいいですよ! …………でも、聖女様なのに光と闇……?】

 

【天才:まぁこの世界、アースゼロみたいに闇=悪、みたいなイメージないしね……】

 

 そういうばゴーティアも似たようなことを言っていたなと、ヴィーテフロアは思い出す。

 どうも他の世界では闇というのはネガティブな印象が強いらしいが、このアース111ではそんなものはない。

 二種特化した属性はかっこいいので気に入っているのだが。

 

「私の≪究極魔法≫は威力だけなら然程ですが、コスパがいいので連発しまくれるのが強みです。今みたいに球体で飛ばさなくても、任意の形状で境界崩壊できるので使い勝手もいいですのでよろしくお願いします。工夫すれば他人にエンチャントとかもできますし」

 

 十種類は、保有系統としては、この世界では比較的少ない。

 ≪究極魔法≫を発動可能な最低ライン。

 それでも、二つの属性の運用技量は、それだけで生徒会への内定を勝ち取るほどの高みに至るものだった。

 

「さて、次は」

 

 言って、振り返った瞬間。

 

「まぁ」

 

「■■■―――!」

 

 眼の前に赤雷の砲撃が天から降り注ぎ、大型魔族を蒸発させていた。

 次いで降りきたのは重装の黒鎧。

 

「それ、顔が見えないからあんまり好きじゃないです」

 

「…………」

 

 頭部の兜が変形し、顔が露出する。

 そこにはアレスの苦い顔だ。

 

「ヴィーテ、余裕なのはいいけど後ろががら空きだったよ」

 

「あぁ、私の≪一実恋愁ウェヌス・リバース≫、無効化対象を私が目視してないといけないんですよね、そこは弱点です。いやぁ、助かりましたアレス。ちょっと油断していました」

 

【天才:わざとだよね】

 

【鬼姫様:わざとだな】

 

【先輩:わざとですね】

 

【鳥ちゃん:わざとでしょ】

 

【赤龍:わざとじゃのぅ】

 

【巫女:わざとだねー】

 

【>1:凄い、アレスくんには念話を飛ばさず、これだけの共感を……!】

 

 念話がうるさい。

 確かに、目視出来てなくても魔法による感知はしていたので気づいていたし、カウンターを叩き込むことが出来たのだが。

 それはそれ、これがこれ。

 好きな男の子に助けてもらう場面は何度あっても良い。

 それに、

 

「何があっても、アレスが助けてくれると信じていましたからね」

 

「…………全く」

 

 仕方無さそうに嘆息しつつ、それでも拒否をしないアレスの顔も見たかったし。

 これから、ずっとそんな顔やそれ以外の表情を見たい。

 だから、

 

「行きましょう、私の騎士マイ・ナイト。賊退治です」

 

「―――イエス・マイ・プリンセス」

 

 

 

Alive in Earth111 

アクシア魔法学園新次期一年首席

≪境界の聖女≫ヴィーテフロア・アクシオス

        &

Alive in Earth111

アクシア魔法学園生徒会補佐

≪無二なる雷霆≫アレス・オリンフォス

 

 

 

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