Sid.24 彼女は幼女に会いに来る

「蒼太君」


 体を寄せてくる咲奈が居る。甘えた感じで言葉を発してるし、ボディタッチもあって、そのお陰で賢者が凡夫になってきてるんだよ。

 どうしたんだ?


「あのさ」

「まだ時間あるよ」


 旺盛だなあ。性欲。

 当然そうなると我慢なんてするわけもない。互いにケモノになるしかないのだ。

 事が済むとお風呂入って行けば? と言われ一緒に入浴タイム。

 そこでも一発決めるとは。すごいな。咲奈って見た目とは裏腹に性豪かもしれん。

 いや、地味だからこそ旺盛ってのもあるのかも。こっちが先にギブアップ状態になるとは、想定外だったぞ。


「今日も乃愛ちゃんとお風呂入るの?」

「毎日だからなあ」

「じゃあ、今日は触られても反応しなくて済むね」


 無反応になるように搾り取った?


「乃愛ちゃん、蒼太君のこれに興味津々だもんね」

「なんでか知らんけどな」

「でも、あたしは分かる気がする」

「父親の触ってたからか?」


 そうじゃないらしい。確かに幼少時にぶらぶらしてると、気にはなるそうだ。ただ、ある程度年齢が行くと、父親のブツに興味は無くなり、他人へとそれが向くとか言ってる。


「たぶん健全な成長だと思うんだ」

「俺の股間に興味を抱くのがか?」

「だって、血の繋がりないんだよ」


 意識するしないに関わらず、感覚として男を意識するようになる、そう思うらしい。

 呼び方こそ「ぱぱ」なんて言っても、実態は異性。

 いずれ異性として強く意識するかも、とか言ってるし。


「あとね、女子が男子に関心示さなくなったら、子どもなんてひとりも居なくなるよね」

「確かにそれはある」

「だからね、触ろうとするのも必然かなって」

「咲奈は俺のを触りたいのか?」


 抵抗はないし、好きな相手だからこそ、だそうだ。俺もまた咲奈に触れたいのだろうと。

 男は女子相手なら大概触りたいんじゃ?

 そこは女子とは違う部分だと思う。相手をそれほど選ばないし。やるだけ、とか触るだけとか。相手が限定される女子に対して、限定される相手が極端に少ないのが男子。きっと本能なんだろうな。そこを責められても困る。

 結局、乃愛が俺に触れることに関して、エロいだの変態だの、一切言わないそうだ。


「思うことも無いよ」

「そう? ロリコンとか」

「それは別の性癖でしょ」

「まあそうだけど」


 俺がそうであるなら、さすがに気持ち悪く感じるそうだ。


「無いな」

「じゃあ別に気にしないから」


 ノーマルに感謝だ。もし変態だったら気持ち悪がられるわけだし。やっぱ無いよなあ。女子から見れば。

 夕方までエロトークも交え、真面目な話もしながら過ごすと、乃愛も気になるから帰ることに。


「明日の夜まで両親居ないんだよ」

「泊まれってか?」

「じゃなくて、あたしが」

「来たければ遠慮は要らん」


 じゃあ、と言うことで替えの下着や服を用意し、一緒に家に行くことになった。


「乃愛ちゃんにも会いたいから」

「可愛いだろ」

「前はそんなこと、言わなかったよね」

「人は変わるもんだ」


 家に帰りポストを覗くと通知書が来てる。差出人を見ると家庭裁判所だ。中身は分からんけど、家裁に呼び出しか、それとも調査官が来ると言ってたから。

 玄関を開けると乃愛が飛び出して来て、俺にしがみ付くし。

 どんだけ頼られてるんだか。


「愛されてるね」

「愛?」

「うん。すごく愛されてる」


 母さんが出てきて「泊まるの?」と。

 すかさず咲奈が「お邪魔します」とか言ってる。それを見て歓迎する意向を示すのは、いつものことだ。泊まりたければ遠慮はいらない、と普段から豪語してるわけだし。


「いずれ結婚するんでしょ」


 気持ちさえ続けば、の条件付きであっても、今はその気持ちが強かろうと。

 で、母さんに手にしていた通知書を渡す。


「これ来てたぞ」

「呼び出しね」

「またか」

「でも、これで先が見えてきたわけだしね」


 後日、父さんと母さん、それに乃愛も連れて行くそうだ。

 絡み付く乃愛と一緒にリビングに行き、その後方に咲奈が居てソファに腰掛ける。


「乃愛ちゃん、また遊ぼうね」

「うん! おねえちゃんとあそぶー」


 実に微笑ましい光景だな。

 今日は搾り取られ過ぎて、しっかり賢者になってるからな。何があっても動じない自信がある。乃愛が握ったとしても無反応で居られるぞ。

 夕飯の支度と言うことで、キッチンに入る母さんだが、咲奈も「お手伝いします」と積極性を見せてる。


「じゃあ少しお願いしようかしら」

「はい。なんでもします」

「野菜の下ごしらえ頼める?」

「ひと通り学んでますから大丈夫だと思います」


 意外と料理もこなせるのか。勉強だけじゃなくて。


「あんたも覚えた方がいいからね」

「大学受かったらな」


 乃愛の世話をして受験勉強して、学校に行ってとか、これ以上何かさせられてもパンクする。

 何かひとつ無くなれば、そこに別のことを押し込めるだろうけどな。

 今どきは男女ともに家事ができて当たり前の風潮だ。できないと女性側の不満が溜まるだけで、いずれ破局を迎えるんだろう。できないより、できるに越したことは無い。

 円満な家庭生活を営むためにも。


 夕飯が済むと勉強したいんだが、どうやら咲奈が乃愛の面倒を見るらしい。その間、勉強してていいよと。


「咲奈は?」

「あたしは蒼太君と違って、普段は時間あるから」


 だよな。乃愛の世話する必要ないし。

 とりあえず咲奈に乃愛の世話を任せ、勉強していると覗き込んでくる。乃愛も咲奈もだ。乃愛はちんぷんかんぷんでも、咲奈は見れば理解できるようで「そこ、違うよ」と。俺より優秀だ。

 他より遅れが生じてそうな。


「咲奈って呼んでるのね」


 くそ。つい口にしたら「別にいいことでしょ」だとさ。それだけ互いの距離が縮まってるのだと。

 勉強していると「乃愛ちゃんとお風呂入ってくるね」と。それも任せられるなら、少しは遅れを取り返せそうな。

 咲奈に丸投げして勉強することに。


「まあ、仕方ないかもね」

「母さんが何もかも押し付けるからだ」

「でも、子育てに自信付いたでしょ」


 結婚して子どもが生まれたら、そうやって各々分担するものだと。一方に押し付けて知らん顔では、すぐに夫婦生活は破綻するから、だそうだ。

 貴重な経験は将来必ず生きるからと。


 その後、父さんも帰宅してきて、咲奈が居ると鼻の下伸びてるし。家の中が華やいでいいなあ、じゃねえよ。

 母さんが萎れてるって、言外に言ってるようなもんだろ。母さんも何も言わないけど、失礼なとか思ってんじゃないのか。

 だが萎れてるのは事実だ。本人がどう思おうともな。


 乃愛を寝かせる時間になり、咲奈と同室とし寝かしつけてるようだ。

 俺の部屋が定番だけど、咲奈が来る時だけは一緒に寝てるからな。そしておねしょ攻撃を食らうのだ。その後処理は俺の仕事なんだよ。咲奈も自分でやる、と言っても俺に押し付ける母さんだし。なんでだっての。


 寝かしつけるとリビングに来て、暫し父さんの話し相手になってる。

 俺と咲奈が寝る時間になると、残念そうな父さんだけど、知らんがな。あとは母さんと親睦を深めればいい。萎れた者同士でな。


 朝になるとやっぱり、おねしょの処理に駆り出される。


「朝からあれだな」


 下半身丸出しが定番だ。さすがに動じることは無い。無いのだが、視線は暫し固定される。


「おねしょって、いつまで続くんだ?」


 シャワーだけ浴びたい、とする咲奈が「小学校低学年くらいかな」とか言ってる。良く揺れる尻を突き出して、スカートを履いて風呂場に向かうようだ。乃愛も一緒にだけど。

 戻ってくると着替えて、朝食を済ませ母さんから、小遣いを渡されてお出掛けになる。


「一緒に住めたらなあ」

「無理だろ」

「うーん。無理かもしれないし、許可出るかもしれないし」

「出んのかよ」


 道中、そんな話をしているわけで。


「頻繁に寝泊まりしに行ってれば、もういっそ住んじゃえば、って言ってくれることを期待してるの」


 そんなことを目論んでたのか。まあでも、俺もその方がと思うけど。


「今度聞いてみるね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る