「優依さ、……やっぱなんでもない」

「えーっ、気になるー」

 

 …

 あー、なんて言えばいいんだろ。

 

「あのさ、…」

 

「そこのカップル‼︎今だけケーキ半額だけど

 買う?」

 といきなり呼び込みのお店の人に声をかけ

 られた。

 

 ⁉︎

 オレたち⁉︎

 

「あー、オレたちカップルじゃないんで…」

「あ、そうなんですか。すみません」

 と店員さんに言われた。

「ふふ、カップルかー。わたし達カップルに

 見えるんだね。しかも半額…」

「あー…、カップルかー。オレと奈美さんっ

 てカップルにみえる?」

「えっ?何その質問ー。のろけー⁈」

「あー、そう言うんじゃないけどさ」

「んー、まぁカップルなんじゃん」

「そうなんだ。」

「うん。どうして?」

「なんかさー、なんかなー」

「倦怠期⁇」

「そういうんじゃなくてな…」

「どうした⁈落ち込んでるならさあ、どうぞ。

 わたしのむねでお泣き」

 大きく手を広げる優依。

 

 …

 

「おまえ、男にそんな事気軽にいうもんじゃ

 ないよ」

「え、男って…。和希は、幼馴染だから特別

 だよ」

「…幼馴染ってなんだよ」

「幼馴染は、……なんだろ。うーん…」

 

 ギューっ

 

 「え…」

 

 

 オレは思わず優依を抱きしめてしまった。

 

「あ、わりぃ」

「えと、う、ううん」

 

 慌てて優依から離れた。

 

 …

 

 あーーーーー‼︎‼︎

 オレは何をしてるんだーーー‼︎

 

 なんて訂正すればいいんだ。

 

 …

 

 それから家までお互い無言だった。

 

 そりゃそうなるよなー…。

 彼女いるのにいきなり幼馴染に抱きつくと

 か意味わかんねーよなー…。

 

 何してんだよ。

 オレーーー‼︎

 

 

 

 

 でも、オレは気づいてしまった。

 

 やっぱり優依が好きなんだと…。

 もうオレの気持ちは抑えきれない。

 

 よし‼︎

 決めた‼︎

 

 このままじゃいけないとオレは決めた。

 まず奈美さんと別れる事にした。

 

 

 優依を突発的とはいえ、抱きしめてしまっ

 たのだから。

 

 …

 

 

 奈美さんは、意外とあっさりだった。

 

 …ま、たしかにオレたち付き合ってるって

 言っても事務的なことしかしてこなかった

 しな…。

 

 しかも奈美さん…

 他に好きな人いるっぽいもんな。

 

 でも、なんでオレと付き合ってたんだろ。

 

 謎。

 

 理由はよくわからなかったけど、とりあえ

 ずオレたちは、別れたけど友達に戻ったの

 だ。

 

 続く。

 

 

 

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