玄関

 そんなモヤモヤの日々。

 

 オレはモヤモヤだが街はすっかりクリスマ

 スモードだ。

 

 キランキランだ。

 

 …

 

 クリスマスかー…

 

 

 

 去年のクリスマスを思い出していたら、い

 つの間にか寝落ちしていた。

 

 

 

 

「おーい、和希」

「んー…」

 

 朝オレは寒くて布団から出れないでいた。

 なのに優依は、朝から元気いっぱい。

 

「クリスマスケーキ、やっぱり生クリームだ

 よね?チョコも捨てがたいんだよ。」

 と、毎年くだらない質問をしてくる優依。

 

「朝からケーキとか考えらんねーよ」

「なら、何なら考えられる?わたし?♡」

「あー、朝からウザ元気ー…」

 とくだらないやりとり。

 

「あ、でさ。クリスマス会今年もみんなでや

 るよね?ってか、やるよ‼︎」

 と、また強制クリスマス会が開催されるこ

 とになった。

 

 …去年のプレゼント交換したやつ、優依…

 陵からのキーホルダーまだバックにつけて

 んだよな。

 

 …

 

 どんだけだよ。

 

 あー、今年のプレゼント何にすっかなぁ…。

 

「ねー、和希」

「んー?」

「今日部活ないんでしょ?」

「うん」

「なら、クリスマス会のプレゼント一緒に買

 いに行こーよ」

 と誘われた。

 

 …

 

 ま、いいか。

 

「あー、いいよ」

「んじゃ、早く朝ごはんたべてよね。わたし

 も朝ごはんのデザートにバナナとヨーグル

 トとシリアル食べてくるから」

 と部屋を出て行った。

 

 …朝ごはんの後それ食うのかよ。

 ってか、それ朝ごはんの人いるよな…。

 優依の胃袋どんだけだよ。

 

 優依の胃袋の大きさに相変わらずびっくり

 するオレは、パンをひとかじりした。

 

 パクっ。

 モソモソモソ

 パクっ。

 モソモソモソ

 

 …

 

 もうお腹いっぱいなんっすけど…。

 やっぱり優依すげ〜よ。

 

 朝が弱いオレはホットミルクでパンを流し

 込んだ。

 

 

 支度が終わり優依を迎えに行こうとしたら

 玄関のドアを勢いよく開ける優依。

 

 オレもちょうど開けようとしていたので、

 思わず優依を抱きしめてしまった。

 

「うおッ…、わりぃ」

「あ、ううん。こっちこそごめん」

「うん…」

「そんじゃ、行きますか!」

「あぁ、行こっか」

 

 と何事もなかったかのように会話しだす優

 依。

 

「今から行くお店にねーかわいいのがあって

 さー」

 と。

 

 でも、オレは優依を抱きしめた感触が忘れ

 られないでいた。

 

 しかも抱きしめた時、またシャンプーの匂

 いがしていたのだ。

 

 …

 

 そしてパーカー恐怖症から、玄関を開ける

 の恐怖症になりつつあるオレなのでした。

 

 続く。

 

 

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