パーカー

 遊園地の帰り道、優依と一緒に歩いていた。

 

「あー、遊園地楽しかったなー」

「えっ、あ…うん」

 

 …

 

 なんか優依の様子変なんだよなー。

 

「なー、優依」

「んっ…な、何…?」

「もしかして観覧車で陵となんかあった?」

「…え、、、あたし⁈なんもないよー」

「ふーん」

 

 ないって言うならこれ以上何も聞けないわ

 なー。

 

 よくわからないまま夏が過ぎた。

 

 夏休みが明けて陵と優依の様子を伺ってい

 たけど、特に変わりない。

 

 …

 

 進展したかと思って焦ったわー…。

 

 優依の恋は応援したいけど、やっぱりいざ

 優依が誰かと付き合うってなったら相当キ

 ツイな…。

 

 でも、オレは自分の気持ちを打ち明ける訳

 にはいかない。

 幼馴染の関係をずっと続けるんだ。

 

 

 

 秋になると暑かったり寒かったり気温の差

 がなかなか激しい。

 

 オレは部活も終わり土曜の午後のんびりと

 ゲームをしていた。

 

「あー、いたいた。」

 優依が遊びにきた。

 

「あ、優依。部活は?」

「今日先生の都合で休みなの」

「ふーん、なら一緒にゲームする?」

「うん!やる!」

 と言うわけでゲーム開始。

 

 しばらくすると、

 クッシュん

 と優依がくしゃみをした。

 

「なんかもう冬みたいだねー」

「あー、たしかに少し寒いな。これ着なよ」

 オレは白いパーカーを優依に差し出した。

 

「あったかー。」

 と言いながらオレのパーカーを着てフード

 までかぶる優依。

 

 …そこまで寒いかよ。

 

 それからしばらくゲームして優依がお家に

 帰った。

 

 夜、漫画を読んでたら寒くなったので上着

 を着ようとした。

 

 あ、あった。

 はー、あったけー……

 

 ⁉︎

 

 …

 

 そういえば、このパーカーって昼間優依が

 着てたんだったな…。

 

 パーカーから優依のシャンプーの香りがほ

 のかにした。

 

 オレは慌ててパーカーを抜いだ。

 

 こんなん着れねーよっ‼︎

 

 優依に包まれているような感覚になった…

 

 だからパーカーは、すぐさま洗濯した。

 

 優依…

 

 

 気を取り直して湯船にざバーンと入った。

 はぁー…

 バシャバシャと湯船で顔を濡らした。

 

 そして犬みたいに首を横に激しく振り、邪

 念を取り除いた。

 

 とれた?

 ん?

 …

 とれたのは顔と髪についた水滴だけだった。

 

 モヤモヤは、とれませんでした。

 

 そしてオレは、白いパーカー恐怖症になり

 つつあるのでありました。

 

 

 

 続く。

 

 

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