観覧車
オレたちの前に優依と陵が先に乗った。
優依…
いざ観覧車に乗ると奈美さんと意外と近い。
…
「高いところ平気?」
と奈美さんに質問してみた。
すると、
「ちょっとだけ苦手」
と言った。
「オレも」
と二人でクスクス笑った。
「ねぇ、優依のことどう思う?」
え…
いきなりの奈美さんからの質問…
オレは優依たちの乗っている方に目を向け
た。
どんどん上に上がる観覧車。
優依たちがよく見える。
…ってかさ、優依なにしてんだよ。
なんだか立ち上がり手をぱんぱんしている
優依。
おいおい…ムード台無しじゃんかよ…。
「優依はー…アホだけど面白いやつだよ」
「たしかに」
奈美さんは、踊っている優依をみて笑った。
「奈美さんは陵のこと、どう思う?」
「陵はー…」
プッ
奈美さんが陵の方をみて吹き出した。
また変顔してるわー…
「陵もアホだけど面白いよ」
と笑いながら言った。
「だな」
「「あはは」」
オレたちは、観覧車の中で二人をみて笑っ
た。
何してんだよ。
あの二人。
「あっ」
奈美さんのバックが落ちたのでオレは拾お
うとかがんだ。
そしたら、奈美さんも同時にかがんで…
⁉︎
なんとオレの髪と奈美さんの髪留めが絡ん
でしまった。
なので二人してかがんで絡んだ髪を丁寧に
ほどいた。
「あー、やっと取れたわー。髪の毛痛くなか
った?」
「ううん、平気。それよりもう着いちゃうね。
景色見れなくてごめん」
と謝られた。
「いいよ。オレ高いところ苦手だからむしろ
よかった」
「「あはは」」
とまた二人で笑い合った。
先に観覧車を降りていた二人は、オレたち
をじっと見ていた。
「お待たせ」
「あー、二人なんかあった?」
と心配そうな顔の陵。
「え?」
とオレが答えると、
「あ、いやなんでもない」
と言った。
「あ、わたし手洗ってくる」
と優依がオレと目が合うとパッと逸らして
走って行ってしまった。
どうやら観覧車の中に蚊がいたらしい。
だから観覧車の中で優依は、手をぱんぱん
していたのか。
で、そろそろ帰ろっかということでまた電
車に乗った。
優依は、奈美さんと楽しそうに話をしてい
たけど…
なんかたまに心ここにあらずみたいになっ
ていた。
実は陵も同じだった。
…
もしかしてオレたちが観覧車でかがんでい
たとき、二人なんかあったのかな…⁉︎
なんだよ。
何が起きてたんだよーー…。
よくわからないけど、変な汗が出てきた。
続く。
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