File3 二日目
目を覚ますと、カーテンを閉め忘れた窓から、柔らかな日差しが差し込んできていた。
あの後ちゃんと着替えて、改めて床に就いたのだが。幸いにも悪夢などにうなされることもなく、朝までぐっすりと熟睡できたようだ。
寝巻からちゃんとした服に着替えて、黒い髪をとかしてまとめ、部屋に設置された簡単な洗面所で、歯磨きと髭剃りを済ませておく。
身支度を終えると、残った眠気も綺麗さっぱり消え去って。俺は懐の鏡とナイフの感触を確かめてから、軽く伸びをして部屋の外へと出た。
懐中時計で時間を確認すると、現在時刻は午前五時半を過ぎたばかりらしく。朝食には少し早いことが分かる。
だったら食事の支度が整うまでに、軽く調査をしておこう。思考を仕事へと切り替えて、俺は悪趣味な絵画の飾られた廊下を歩き出した。
何かを調べるとしたら、図書室一択だろう。本の中に暗号を隠すというのは、古からの常套手段である。
幸いにも客室のテーブルに、屋敷の簡単な見取り図が書かれた紙が置いてあった。図書室は一階の、一番北にあるらしい。
階段を下りて、一階の廊下を進み。俺は図書室の重そうな両開きの扉の前へとたどり着いた。
扉に手をかけて、ゆっくりと開いた瞬間。中からページをめくる音が聞こえてきて、先客がいることに気が付く。
(誰だ……?)
素早く意識を警戒態勢に移行させながら、俺が図書室の中に入ると。
読書用の机の上に積み上げられた、大量の本の狭間で。布表紙の分厚い本をめくる、リインの姿があった。
蒼い髪はぼさぼさで、目は充血し、形相は鬼気迫るようで。一目見ただけで彼女が眠っていないことが、はっきりと分かった。
「違う……」
小さく呟いて、近くにあったメモを手に取り。リインは目の前の本を閉じると、また別の本を開いてページをめくり始める。
そんな彼女の姿に、俺はしばしのあいだ絶句していたが。やっと衝撃から立ち直ると、リインに近づいて肩を叩いた。
「リイン」
「……シェーマス」
ページをめくる手を止め、リインは振り向く。眠っていないせいで、目の下にくっきりとクマが出来ていた。
「徹夜で、調べてたのか」
リインは俺の言葉に目を逸らすと、そのままテーブルの上に乗ったメモ用紙に視線を向ける。
そこには「くみあげるもの」という文字と、リインの考察がびっしりと書かれていた。
「昨日一晩、屋敷中を回って手掛かりを探した。で、屋敷の各所に文字の一部が隠されていて、全て集めて出来たのがこの一文だった」
そうしていないと落ち着かないのか、リインはページの端を指で弄びながら、苛立たしそうに俺に言った。
「くみあげるもの、組み上げるもの。さすがにこの一文だけじゃ、何のことか分からない。そう思って、図書室に来たんだが。本棚の隙間に、これが挟まっているのを見つけたんだ」
徹夜のせいか、いつもより素直で饒舌になっているリインは、一枚の紙を俺に見せた。そこには50×50のクロスワードパズルが描かれており、キーワードの三分の二が既に解かれていた。
「きっとこれが、二つ目の手掛かりなんだろう。だから今まで、調べながら解いていたんだが……」
そこでリインは言葉を切り、目を瞬かせてごしごしと擦る。
「あと少しなんだが……縦の三十五番が、どうしても解けなくて」
悔しそうに言うリインの頭を、つい昔のように撫でてやりそうになりながら。動かしかけた手を止めて、俺はリインに厳しい口調で言う。
「リイン。努力は認めるが、少し休んだ方が良い。酷い顔してるぞ」
「そんなこと言ったって、あと少しなんだぞ?あと少しで……」
「リイン、体調管理も仕事の内だぞ」
叱るように俺が言うと、リインはびくんと体を震わせて、悔しそうな表情を浮かべる。
「シェーマス、私は……」
「真面目過ぎるところは変わらないな、リイン。だが無理を続けていると、いずれ体を壊すぞ」
「……」
俯くリインの前で、俺は短く息を吐くと、テーブルの上に乗ったクロスワードの紙を手に取って、優しく微笑んで見せる。
「こういうものは、数人で協力してやった方が早く解けるものだ。一人で解くにしても、一旦休憩して頭を休めた方が、いいアイデアが浮かぶものだしな」
うつむいたままのリインは、何も言わなかったが。顔を上げると、不満と嬉しさの入り混じったような、何とも言えない表情を浮かべて言った。
「……仕方ないな」
「ああ。だから少し眠ってくるといい。軽食を用意しておくよう、頼んでおくから」
「余計なお世話だ」
吐き捨てるように言いつつも、リインは俺の横を通り過ぎ、ふらふらと図書室の出口に向かう。
覚束ない足取りに、部屋までついて行った方が良いかと思ったが。さすがに突っぱねられるだろうと、俺は無言でリインの後姿を見送った。
リインが図書室を出て行くと、俺は近くに転がっていたペンを取って、クロスワードに向き合う。
リインが苦戦していた縦の三十五番は、本のページをめくるまでもなくあっさりと解けた。「花弁の裏」は何を意味する比喩かという問題だったが、正解は下品というか、あまり口にできないような言葉であり。ああ見えてまだ初心なところのあるリインが、分からずに詰まるのも無理はないだろう。
それにしても、このクロスワードは随分と意地の悪い問題が多く。先程のように品性のない隠語が正解だったりする一方で、聖貴教会の経典の一節が答えになっているものもある。
とはいえ残りの問題は捻くれてこそいるものの、少し考えさえすれば解けるものであり。一時間もしないうちに、俺はクロスワードを解ききってしまった。
数字の振られたマスを繋ぎ合わせ、俺は組みあがったキーワードを紙の端に書く。
「……これは」
浮かび上がった文章は「のむものあらうもの」というものだった。飲むもの、洗うもの。
「水、のことか」
だとしたらリインが見つけた、「くみあげるもの」は「組み上げるもの」ではなく、「汲み上げるもの」か。
ならば、名前の隠し場所は―――。
ひらめきのままに、俺が立ち上がった時、書庫の扉が勢いよく開いた。
「こんなところに居ましたか、スカイヴェール殿!」
太った腹を撫でながら、図書室に入って来たアキヴァは。テーブルの上に積み上げられた本の山を見て、眼鏡の奥の目を丸くする。
「またこれは、大変なことになってますなあ」
「あ、いや。これは俺じゃなくてリインが」
「そうそう。インソード殿のこともこれから起こしにいくところだったのですが、先程疲れ切った様子で部屋の中に入っていくのを見かけましてな。もしかして、徹夜で?」
「……あの子は昔から、無茶をするところがありますから」
呟きつつ、俺は何となくリインがめくっていた本を閉じる。ページはめくっていたものの、眠気と疲労のせいで、きっとまともに読めていなかっただろう。
「人質のメイド殿が、朝食が用意できたといっておりましたぞ。なので食堂に一番乗りした某が、お二人を探してくることになったのですがな」
「ああ、ここを片付けたらすぐに行きますよ。少しぐらい料理が冷めても、俺は気にしませんし」
俺がそう言って本を片付け始めると、アキヴァも近くの本を手に取って、本棚へと戻し始める。
「ならば某もお手伝いいたしますぞ。あの広い食堂で、一人で食事をするのは少々寂しいものがありますからな」
「ありがとうございます、ヴァーハラさん」
礼を言い、片付け作業を進めながら。俺はテーブルの上に置かれたメモを畳んでポケットに入れる。
そんな俺に対し、数冊の本をまとめて本棚に突っ込みながら、アキヴァが言った。
「それにしても、インソード殿はここまでして、一体何を調べてたんでしょうな」
「……そんなの一つしかないでしょう。上級悪魔を祓うための、名前の手掛かりですよ」
「はあ……ところで上級悪魔を祓うのに、なぜ名前を探す必要があるのか、よろしければ某にご教授願えないでしょうか」
重い本の山を抱え上げながら、アキヴァは興味津々と言った様子で俺に訊いてきた。もしこれが演技だとしたら、相当な名役者に違いないだろう。
「構わないですけど、長くなりますから、朝食を食べながら話すというのはどうでしょうか」
俺がそう言うと、また数冊の本をまとめて突っ込んだアキヴァは、心底嬉しそうな笑顔を俺に見せた。
「是非ともお願いいたします、スカイヴェール殿」
今のところ、害はなさそうに見えるものの。あくまで他人であるこの男を、そう簡単に信用することは出来ない。
リインの見つけた手掛かりは、この男には言わないでおこう。敵対した場合、俺とリイン対アキヴァという、二体一の構図を作るためにも。
なんて。心の中で冷めた分析を行いながら、俺はアキヴァに営業用の笑顔を浮かべつつ頷いた。
「ええ、そんなことでよろしければ、お安い御用です」
片付けを終えて、朝食を食べ終えた後。
俺はリインの様子を見てから、手掛かりが示しているであろう井戸を探すことにした。
人質のメイドに簡単な軽食を用意してもらい、俺はリインの部屋に向かう。
扉をノックしても、中から返事はなく。耳を押し当てると、微かな寝息が聞こえた。強がってはいたものの、とっくに限界だったのだろう。
俺は部屋の前に、軽食の乗ったワゴンを置いて。ドアの隙間から部屋の中へと、一枚の紙を滑り込ませる。
紙にはクロスワードの答えと、そこから導き出された「井戸」という答え。それからゆっくり休むようにという、彼女にとっては余計なお世話であろう、俺からの忠告を書いておいた。
もう一度、リインの微かな寝息を聞いて。彼女がちゃんと生きているという事実を確かめてから、俺は扉を離れて屋敷の外へと向かう。
玄関から外に出て、庭へと出ると。ろくに手入れがされておらず、枯れきった生け垣や花壇に、進入した野生動物に荒らされた芝生、雨で他と同化した遊歩道など、素敵な光景が俺を出迎えてくれた。
恐らくタティウスが悪魔に憑依されてから、それなりの時間が経っているのだろう。枯れて変色した芝生の上を進みながら、俺はストモルイ親子のことを考えた。
親子がいつ上級悪魔に憑依されたかは分からないが、長い間自我を奪われ洗脳された彼らが解放されたとき、荒れ果てたこの庭を見て一体何を思うのだろうか。
手塩にかけて育てられてきたのであろう、オレンジの木が腐っているのをちらりと見やってから、俺は引き続き広い庭の中で井戸を探す。
朝の晴れ模様は嘘のように空は曇り、庭には濃い霧が出ていて。屋敷の中から持ち出した古いカンテラで照らしても、数メートル先ですら見通せなかった。
「これは……骨が折れるな」
ため息を吐きだし俺が一度足を止めて、カンテラの中に立つ蝋燭を確認した時のことだった。
背後から足音が聞こえてきて、俺は即座に振り向いて身構える。
「誰だ!」
得物であるナイフを取り出そうとしながら、俺が対峙した人物に向かって叫ぶと。霧の中から、見覚えのある姿が現れた。
「そ、某でございます、スカイヴェール殿!」
「……ヴァーハラさん」
両手を上げて目を白黒させるアキヴァの前で、俺はひとまず警戒態勢を解いた。
「すみません、驚かせてしまって」
「いえいえ。某の方こそ、何も言わずに近づいたりして申し訳ない」
「それよりも、何故ここに」
カンテラを揺らしながら俺が尋ねると、アキヴァは太った腹を両手で撫でた。
「いやあ朝食の後、腹ごなしに軽く散歩でもしようと思いましてな。庭に出て歩いていたのですが、この霧ですっかり迷ってしまって」
「……そうですか」
果たして彼の言葉は、嘘か誠か。探る様にアキヴァの顔を見据えてから、俺はまた営業用の笑顔を浮かべる。
本当ならこいつは間違いなく無害だろうし。嘘なら嘘で、聞きたいことがある。
笑顔を浮かべたまま、俺はアキヴァに提案することにした。
「だったらもしよければ、手伝ってくれませんか」
「はて、何を」
「実は今、井戸を探していまして。しかしこの霧で、なかなか見つけられずに困ってるんです」
「なるほど。しかし、何故井戸を」
「……そこに、『何か』が隠されていると読んでいるからです」
俺の言葉に、アキヴァは少し黙ってから、ぱっと好奇心に満ちた表情で、目を輝かせて手を叩いた。
「それは素晴らしい!某も是非、お手伝いさせていただきます」
「ええ、よろしくお願いします」
こうして俺はアキヴァと共に、再び井戸探しに戻ったわけだが。
幸か不幸か、井戸はすぐに見つかった。霧で全く見えなかったが、どうやら俺たちは井戸のすぐ近くで話していたようだ。
「いやはや、思ったよりも早く見つかりましたな」
腹をさすりながら笑うアキヴァの横で、俺は発見した井戸を観察する。
井戸は石造りであり、壁面には深緑色の苔が生えている。滑車が錆びついておらず、ロープも腐敗していないことから、しっかりと手入れされていることが見て取れた。
つまり荒れ放題の花壇や生け垣と違って、この井戸だけは最近にも人の手が加えられているということ。
俺はカンテラを地面に置くと、ナイフを取り出して井戸に近づく。
「す、スカイヴェール殿?」
戸惑うアキヴァに一瞬だけ振り向いて、指を口に当て黙るように指示してから。俺はロープに手をかけ、滑車で井戸の中に落ちた桶を引き上げる。
引き上げた瞬間、何かトラップが発動するかと思い、警戒していたわけだが。そんなことは一切なく、桶は俺の目の前まで引き上げられた。
中を覗き込むと、水の張った底に、何か光るものが沈んでいるのが分かった。
「……」
俺は水の中に手を突っ込み、光るものを拾い上げる。
それは防護呪文が施された、一本の小瓶だった。栓は溶接されており、覗き込むと中には丸められた紙が入っているのが見えた。
俺は瓶についた水滴を拭うと、瓶を手に乗せてナイフを向ける。
「―――クリア・スペル」
詠唱の後、解呪呪文の名を口にすると。防護呪文が解けた瓶は、粉々に砕け散った。
いやらしいことに、防護呪文が解除されると、同時に瓶が割れる仕組みになっており。警戒して先に解呪呪文を唱えていれば、水の中で瓶が割れて中の紙が解けていたことだろう。
先に気が付いてよかった。ナイフを仕舞いガラスの破片を取り除くと、俺は中の紙を広げる。
そこには、ただ一言。「ジュルター」と書かれていた。
「……これが、奴の名前なのか」
「なんと!やりましたな、スカイヴェール殿!」
俺が呟くと、いつの間にか背後から覗き込んでいたアキヴァが、興奮した様子で声を上げた。
「これであの、上級悪魔が祓えるのでしょう?スカイヴェール殿とインソード殿なら、きっとイチコロでありますな!」
「……ええ、そうですね」
名前の書かれた紙をポケットに仕舞って、俺はカンテラを拾い上げると。
背後に立つ、アキヴァを振り向いた。
「ところで、あなたに少し訊きたいことがあるんですが」
午後になると霧も晴れて、綺麗な夕焼けが空を茜色に染めていた。
「シェーマス」
腐った実がそこら中に落ちたオレンジの木にもたれかかって、俺がそんな夕焼け空を見上げていると。
前から名前を呼ぶ声が聞こえて、俺は空から彼女の方へと視線を向ける。
「リイン」
リインは朝よりは随分と顔色が良く、しっかりと身だしなみを整えてはいるものの。目の下に微かにクマが残っており、疲労が完全に癒えていないことが見て取れた。
そもそも十八の少女にしては、彼女はいささか痩せ気味であり。いくら悪魔祓いとして鍛えているといっても、元兄貴分として少々心配になってくる。
「あまり、無理をするなよ」
「うるさい、お前に言われる筋合いはない」
つい口から零れた俺の呟きに、しっかりと噛みついてから。リインはポケットから、俺の書いた二枚の手紙を取り出す。あれからもう一枚、追加しておいたのだ。
「話は分かった。明日の儀式に向けて、いくつか確認することがある」
「やっぱり、俺と協力してくれる気になったのか」
「勘違いするな。お前が足手まといにならないよう、事前の打ち合わせをしておくだけだ」
俺を睨みつけるリインに、俺が微笑み返すと。リインは歯ぎしりをしながらも、何も言わずに俯いた。
しばしの間、沈黙が流れる。遠くで鳥の鳴く声が聞こえ、夕陽の光がリインの横顔を照らし出す。
「シェーマス、私は。ルイン姉さんを殺したお前を、絶対に許すつもりはない」
「……」
長い沈黙の後。今は亡き姉の名を口にしてから、リインはゆっくりと顔を上げる。その瞳には、憎しみと寂しさが入り混じった表情が浮かんでいて。それでも涙を流さないのが、リイン・インソードという少女の強さなのだと思った。
「本当は今だって、お前のことを殺したいぐらいだ。そのために、一級悪魔祓いになったんだからな」
「……でも、お前に俺は殺せない。そうだろう、リイン」
優しく挑発するように、俺が言い放つと。リインは俺のことを真っ直ぐ睨みつけて、言った。
「私が過去の情で、手を下せない女だと思うのなら、それは思い上がりも甚だしいぞ、シェーマス」
「……だったら」
「私刑は法律で禁じられている―――だが。教会の命令があれば、今すぐにでもお前を殺すさ。今すぐにでも、な」
「……かつての、俺のようにか」
彼女に先に言われたら、自分を抑える自信が無かったから。敢えて俺は、自分の触れてほしくない過去に自ら触れる。
低く冷たい口調で放たれた言葉を受け。リインは少し黙ってから、鼻を鳴らして俺に背を向ける。
「言っただろう。私はシェーマス、お前を殺すために悪魔祓いになったんだと」
かつてのお前のように、とは言わなかったが。俺のやったことをなぞる様にして、俺を殺すことが、リインにとっての復讐なのだろう。
俺は目を閉じ、顔を手で覆って、息を深く吸い込んで吐く。自分自身を抑えるために、傷を晒したくせに。過去に置き去りにしたはずの、最悪な自分が蘇って来そうになって、本当に嫌になる。
だから笑ってごまかしてから。俺は手を下ろすと目を開いて、いつもと変わらない口調で、リインに言った。
「打ち合わせは、しなくていいのか」
「……」
立ち去ろうとしていたリインは、立ち止まって振り向く。
「する気が失せた」
吐き捨てるように言って、リインは腐ったオレンジを踏みつけ、俺の元を去っていった。
こうして顔を合わせることはあっても、リインが、あの日々が。俺の元に戻ってくることは、二度とないのだろう。
リインが去った後を、しばらく見つめてから。俺は俯き、懐からナイフを取り出す。
俺が悪魔祓いになった日から、ずっと俺に寄り添ってくれる唯一の相棒を。瓶の破片で傷ついた手で、しばらく弄んでいると。
最悪な気分が、幾分かはましになってきて。俺はオレンジの木を離れて、屋敷へと戻ることにした。
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