詩 調合士ヴィンセントの調合薬

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「せんせい、このあいだのおくすりありがとう!」


「ここでもらえる薬はとってもよく効くんですよ」


 まるで魔法のようだねと

 患者は微笑み

 礼を言う


 けれど

 理想とは

 程遠く


 改善すべき

 点は多い


 調合薬の種類を減らせる

 即効性をもっと高めろ

 苦みをなくして飲みやすく

 のどとおらぬ者にも与えたい


 終わりは見えぬ

 いつまでも


 どれだけ

 なおして

 いけばいいのか


 魔法のようだと

 いわれるたび

 足りぬものばかり

 目について


 満足いかない

 薬よと

 呪わしく思い

 重さに潰れる


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩 調合士ヴィンセントの調合薬 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ