第8話僕の師匠

僕には、2人の師匠がいて今の性格、知識、文体を得た。

ジビエ料理や、魚釣り、植物の育て方を学んだのは実家の隣に住むじいちゃん。

仕事中に左目に木片が当たり、失明した。だが、車の運転はしたし、なんと狩猟もしていた。

獲物の、キジ、野ウサギ、鹿、猪の枝肉からのばらし方から、調理法もちろん、つれた鯉の捌き方を中学生の時に教えてもらった。

今、僕の実家はなくなり、親戚が土地を買いおじいちゃんは5年前に亡くなった。

植物の育て方も、教えてもらった。畝の作り方、土ずくり、じいちゃんの教えは今も根付いている。


二人目は、パチプロで作家の田山幸憲さん。

僕の今日こんにちの文体があるのは、田山さんの影響が大きい。

東大を中退し、パチプロへ。そして、パチプロ日記なるヒット作を世に送りだす。

Amazonでも高額で売られている。

あれは、高校2年生だったか、時効だから書くが、コンビニのアルバイト代で熱帯魚を育て、釣り道具を買い余ったお金でパチンコを初めて打ってみた。2000円くらい打とうと考えたのだ。

結果は、500円で、1万5千円勝ち。

僕はパチンコにめり込んでいく。

5000円負けた夜は悔しくて眠れなかった。


コンビニにで、雑誌を並べていると「パチンコ必勝ガイド」なるものがあった。430円だし買って読むと、新台情報や作家さんの書き下ろしやら。

僕は1つの文章に目が止まる。

「田山幸憲のパチプロ日記」

読めば、田山さんはナナシーを打っていた。パチンコより、文体が気にいった。17歳の青年の心臓をわしづかみにしたのだ。

パチンコ屋までの道程の描写、パチンコのハラハラドキドキのスーパーリーチの描写、素晴らしいとしか言えない。


晩年、田山さんは舌ガンで手術をして一時は復活したが、再発し亡くなった。


僕には、2人の師匠がいる。決して2人の教えは忘れない。

パチプロには鳴らないが、料理の出来る旦那になった。

17歳でパチンコを打っていた青年にも、12歳の息子がいる。

時代は流転する。仕事が決まったら青汁でも購入しようかな?

なんだか、長生きしたくなった。

注意……今は時効はありません。

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