第6話おじいちゃん

僕には、中学二年までおじいちゃんがいた。

入退院の繰り返しで、幼い頃は病院が遊び場だった。

僕が小学生の時、おじいちゃんは僕を呼び焼酎のお茶割りを作らせた。

両親は、じいちゃんに飲酒を辞めさていることを知っていたので、両親がいない昼間じいちゃんに焼酎のお茶割りを飲ませた。

すごく喜び、あの長い湯呑み茶碗の焼酎を一気に飲んだ。

そして、僕をお利口お利口と頭を撫でた。

それは、時々続いた。小学校高学年になると、おじいちゃんはほぼ寝たきりになった。

1日中ベッドに寝て、窓から見える木々や花を眺めていた。

冬になると、葉も散り花も咲かない。それでも外を眺めていた。


僕は枯れ枝に、ミカンを刺し鳥が食べにくるようにした。

すると、ヒヨドリやメジロなどがミカンをついばむ。

それを嬉しそうに眺めていた。

それから、1年後介護施設におじいちゃんは行ってしまった。

中学一年の時、おじいちゃんに会いにいった。

すると、おじいちゃんがは、

「あなた様は、どちらさんですか?」

「ボクだよ!おじいちゃんの孫の〇〇だよ」

「はて、うちにはそんな人はいませんが」

それが、見舞いに行った最後であった。


翌日、修学旅行だったが、その前夜おじいちゃんは逝ってしまった。

父方の祖父母は天国に昇ったのだ。

唯一、母方のおばあちゃんが僕が28歳まで生きた。健康そのもので、98歳で大往生した。

いつも、思う。僕もおじいちゃんになるのだ。

だから、おじいちゃんおばあちゃん、身体が不自由な人には親切にしないと、バチが当たる。必ずしっぺ返しを喰らう。

じいちゃんの遺影を持ち、霊柩車になり泣いた。

父は亡くなったので、母は長生きしてもらいたい。これが、願いである。

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