甘やかし
そうなるとますます可愛いとは思えなくなり、
もっとも、この甘やかしによって一番甘やかされるのは、実は両親の方である。子供のことを理解しようとせず、何故不機嫌なのかその原因を知ろうともせず、安易に玩具やお菓子を買い与えることで子供を黙らせ、自分が楽をしたかったのだ。結果、莉愛は物心つく頃には手に負えないワガママな子供に育っていた。
何でもかんでも欲しがり、手に入らないとなると大きな声で喚き散らして両親の方を折れさせた。そうすれば自分の機嫌を取る為に両親が言いなりになってくれると学習してしまったということだ。
これは、完全に両親の側の失策であろう。丁寧に子供の相手をしてその目を見、その言葉に耳を傾けて我が子のことを理解するのを放棄したのだから。代わりに玩具やお菓子でご機嫌を取り、小学校に上がる頃にはそれは小遣いという形になった。そして莉愛はいつしか、金が自分を満たしてくれると思うようになっていた。
とは言え、両親の方も無尽蔵に金を渡せる訳ではない。やがて両親に頼るだけでは物足りなくなり、援助交際という手段があると知った彼女は、さほど抵抗もなく自分の体を金に換えた。自分より金が大事だったのだ。しかも、そうやって体を提供すれば、相手の男が面白いように自分に従順になった。自分とヤりたいが為にご機嫌を取り、金を出す。
その事実は、莉愛をさらに増長させた。
が、そんな状態がいつまでも調子よく続く訳もなく、金を払わずに逃げる男がいたり、写真や動画を撮ろうとする男がいたり、首を絞めるような危険なプレイを要求する男なども出てきてしまった。そこで彼女は、援助交際の先輩でもある従姉の
しかしそれは同時に、面白くない現実を莉愛に知らしめることにもなった。受け取った金のうちの三割も店に渡さないといけないというのも業腹だったが、それ以上にムカつくことがあった。
それまでは、小学生というだけでありがたがり、何万円もの金を出す男が自分にかしずいてくれていたと思っていたのが、自分以上にたくさんの客を取ってちやほやされるのがいるという現実を目の当たりにしてしまったのだ。それが面白くなくて、自分よりも年下でたくさんの客を持つ<
さりとて、そんなことで自分の人気が上がる訳でもない。それどころか余計に鬱屈したものを募らせるようになっていくだけでしかないが。
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