ロクでもないことにばかり
店舗の雇われ店長だけでなく、自ら派遣型の風俗店も経営していた
だが、同種の競合店が増えるにしたがって人気が分散。本当に高校生の少女を使うところも出てきたり、当の女子高生や女子中学生が直接自分で客を取るいわゆる<援助交際>も、何年も前に流行語大賞で入賞するなど一般化してしまったことで必ずしも好調とは言えなくなってしまっていたのも事実だった。
しかし判生自身、以前から何度か援助交際で少女を買っており、それによって女子中学生や女子高生とも知り合っていた為、自分が持つ派遣型の風俗店のノウハウを活かし、援助交際を行っている彼女らを利用して商売にできないかと考えてもいた。
そこに、中学生どころか小学生を紹介してほしいと持ち掛けられたことで、ロクでもないことにばかり知恵の働くその頭が、またロクでもないことを思い付いてしまったのだ。
『玲那がいるじゃねぇか。あいつもちょうど十歳になるところだろ』
そう。このどうしようもない下衆な父親は、己の娘を売りに出そうと思い付いてしまったのだ。すると判生はさっそく
「あんたもホントにどうしようもないクズだねぇ」
「うるせぇ。そのクズに寄生してるお前はそれこそ何だってんだよ。いいからさっさと玲那を連れてこい。こういうのはホットなうちに動くのが肝なんだからよ」
そんなやり取りをしていたが、正直、どっちもどっちだろう。「ったく、メンドクサ」と文句を言いながらも、京子は自動車を走らせ、玲那が住む本来の自宅へと向かった。
その頃、玲那は、夕食を終え風呂にも入り、宿題も終わらせてゆっくりと居間でテレビを視ているところだった。すると玄関の鍵を開ける気配がして、ガラッと乱暴に扉を開ける音も聞こえた。
「っ!?」
彼女の体はビクンっと跳ね上がり、心臓が激しく脈を打ち、一瞬で汗が噴き出した。全身が強張り呼吸が浅くなる。
「玲那! 出掛けるよ。そのままでいいからついといで!」
「…!」
ガッと、襖が開けられると同時に掛けられた言葉に、玲那の思考は停止した。逆らう意思も気力も湧いてこない。ただその言葉に従って黙ってついていくだけだった。
青いワンピース以外には下着しか身に着けてない状態でサンダル代わりのビーチサンダルを履き、家の前に止められた自動車に乗ったのだった。
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